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ボンド ガール

『007/ゴールドフィンガー』Vol.5|黄金美女シャーリー・イートン

ボンド ガール
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映画史上もっとも美しい死体。

一体の黄金の死体が、ボンドガールという存在に特別の意味を生み出すことになりました。その死体を演じたボンド・ガールの名をシャーリー・イートン(1937-)と申します。

映画の前半に5分間だけ登場するゴールデン・デスボディ。それは映画史上最も美しい死体が誕生した瞬間でした。

メインのボンドガールであるプッシー・ガロアを演じたオナー・ブラックマン(1925-2020)に匹敵する存在感を示した彼女は、ゴールデンガールとして、ボンドムービー史に燦然と輝く存在になりました。

金箔を身にまとった美女。グスタフ・クリムトの世界観を現実に蘇らせたような娯楽性とアート思考をミックスしたその着眼点は、21世紀のファッション・シーンにも影響を与え続けています。

そして、何よりも彼女の存在が、ボンドガールのルール(=役割)をはっきりとさせたのでした。

「つかみはOK」な死に様を披露したシャーリー・イートンの金箔無し写真。とても綺麗な人です。

007シリーズ全体を通じての不滅のアイコンとも言える『黄金美女』。

彼女が金箔を塗られてベッドで横たわり、永遠の眠りについた瞬間、007シリーズは永遠の生命を与えられたのでした。

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ボンドガールのルールその① ビキニで現れる

20代半ばにしてオバサン顔のシャーリー。でもスタイルは抜群です。

ホテルのバルコニーでビキニ水着で現れるジル・マスターソン。

ジルは、ゴールドフィンガーのイカサマカードの手助けをしています。

双眼鏡で相手の手札を覗き、ゴールドフィンガーに伝えていました。

植物が沢山あるバルコニー、つまりスイートルームです。

宣材写真のヘアスタイルがすごすぎる。

シャーリー・イートンの庶民的なルックスがまた良い。

監督のガイ・ハミルトンと打ち合わせするシャーリー。彼女はかなり真面目な性格らしい。

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ボンドガールのルールその② 男物のシャツを着る

ジェームズ・ボンドのホテルのルームに忍び込み、男物の部屋着を着る。

太陽のように明るいブロンドヘアに水色のパジャマ。

1957年に結婚して、1994年の旦那の死まで添い遂げました。

1969年に育児に専念するために芸能界を引退しました。

60年代に、女性は男性のシャツを着る〝力〟を知りました。

ケン・アダムのインテリアのチョイスが素晴らしいです。ドン・ペリニヨン53年を手に取るボンドの奥にあるラジオがとても印象的。

二人で一つのパジャマを着る。

この後、彼女はわざわざ金色に塗って殺されるのです。その手間がまたボンドムービーらしくて素晴らしい。

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ボンドガールのルールその③ ボンドに寝返り、即座に殺される

ベッドの上で黄金のデスボディ美女と化したシャーリー・イートン。

「スイスのファッションモデルが全身に金箔を塗り死んだ」(映画秘宝より)

物語が始まり16分後に登場するこのシーンに、世界中が呆気にとられました。

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少林寺十八銅人は、ここから生まれた!

公開当時、「本当に撮影中死亡した」という都市伝説まで生まれました。

すごいポーズです。

女性の美しさを昇華させて死ぬ=女性が最も憧れる殺され方と、公開当時話題になりました。

『黄金美女』の存在が、ゴールドフィンガーを永遠のファッション・ムービーへと昇華させました。

本作にインスパイアされ生み出された『少林寺十八銅人』=『少林寺への道』!!

そして『少林寺への道十八銅人の逆襲』=『少林寺への道2』

全身ゴールドの存在感。後にチャウ・シンチーの『食神』でパロディ化されました。

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わずか5分間の登場シーンで〝永遠〟になったボンドガール

2時間かけて金箔ペインティングを施すシャーリー・イートン。

撮影中、医者と看護婦がスタンバイしていました。

身長170㎝とスタイル抜群のシャーリー・イートンwithコーンブラ。

お腹の部分だけ、金箔を塗らないようにしていました。

イアン・フレミングの原作では、背中のところだけ塗らなければ、皮膚呼吸が出来、死なないと記されていた。

2時間かけて塗りこんだ金粉。落す方が大変だったとシャーリーは回想しています。

実は、この撮影のとき、シャーリーはインフルエンザにかかっていました。

撮影前に、プレスを呼んでお披露目されました。

彼女の死に様が、『007ワールド』とは何かを、世界中に一瞬で伝えてくれる役割を果たしてくれました。

ショーン・コネリーとシャーリー・イートン。

動けないシャーリーの髪の乱れを直してあげるコネリー。

有り得ないシチュエーションがドミノ倒しのように次々と倒れてくるボンドムービーの魅力の始まり。それは『ゴールドフィンガー』からです。

女性がそれを見るとひとたび〝心躍る〟マテリアルは何でしょうか?レザー?ダイヤモンド?クロコダイルレザー?それとも、もしかしたらゴールド?全身くまなく金箔を塗りたくられて皮膚呼吸が出来なくなり窒息死したシャーリー・イートンの姿を見てほとんどの女性が考えることはひとつだけです。

「同じことをしてみたい・・・」

彼女は、この作品の中で、開始16分目で死にます。登場時間は僅か5分間です。でも、ボンドムービーの中で、不滅のミューズとして、21世紀の今でも、永遠に色褪せない存在として煌めいているのです。

下の写真は、1987年に『007/リビング・デイライツ』のボンド・ガール、マリアム・ダボが同じく全身金箔を塗ったオールヌード・フォトとエル・エヴァンスが2014年に米男性誌Maximで撮影した全身金箔フォトです。

ゴールデン・デスボディのコンセプトは、自分自身にペンキを塗って窒息死したスイスのファッションモデルの死からインスパイアされたものですが、実際は、人間は肺呼吸であるため、実際に死ぬことはないのですが、撮影時、プロデューサーや監督は、本当に窒息すると思っており、不測の事態に備えて医師を立ち会わせていました。

マリアム・ダボ様。

エル・エヴァンス。2014年。

同じく。プッシー・ガロアに扮したエル・エヴァンス。

作品データ

作品名:007/ゴールドフィンガー Goldfinger (1964)
監督:ガイ・ハミルトン
衣装:エルサ・フェネル
出演者:ショーン・コネリー/オナー・ブラックマン/ゲルト・フレーベ/シャーリー・イートン/タニア・マレット