ボンド・ガール

ジェーン・シーモア2 『007 死ぬのは奴らだ』4(2ページ)

    作品名:007 死ぬのは奴らだ Live And Let Die(1973)
    監督:ガイ・ハミルトン
    衣装:ジュリー・ハリス
    出演者:ロジャー・ムーア/ジェーン・シーモア/ヤフェット・コットー/グロリア・ヘンドリー/マデリン・スミス



    70年代のファッション業界に、カフタン旋風が巻き起こる。

    ソリテアのタロット占いのための専用椅子がすごく豪華です。

    まるでリオのカーニバルの衣装のように豪奢に飾りつけられています。

    水色のカフタンドレスが美しい。

    ソリテア・ルック4 水色のソリテアドレス
    • 水色のカフタン・マキシドレス、Vネックと袖周辺に金と白の刺繍
    • 水色のプラットフォームサンダル

    タロット占い師という役柄上、ボンドガール史上最もドラマティックな衣装に身を包むソリテアの、水色のカフタンドレスがとても美しいです。

    カフタンとは、14世紀以降のオスマン帝国時代のトルコにおいて、スルタンが着用した伝統的な衣装です。基本の形状は長袖・袷仕立ての長い前開きのガウンで、現在ではアルジェリアやモロッコ、セネガルで盛んに着用されています。やがて、ヨーロッパにおいて、フランスのファッション・デザイナー・ポール・ポワレが1920年代にカフタンドレスを発表し、1950年代に入ると、クリスチャン・ディオールクリストバル・バレンシアガもカフタンからインスパイアーされたルーズ・シルエットのイブニング・ガウンやローブを発表するようになります。

    やがて、ハイファッションの枠を超えて、1960年代後半から70年代にかけて、アメリカのヒッピームーブメントに連動するかのように、カフタンは大衆のファッションに浸透していきました。時の『ヴォーグ』編集長ダイアナ・ヴリーランドベイブ・ペイリーバーバラ・ハットンといったトレンドセッター達も、この時期カフタンドレスを愛用していました。

    エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの2回目の結婚式。1975年。

    更に70年代に入ると、エリザベス・テイラーが、ティア・ポーターのデザインしたカフタンドレスを着るようになり、カフタン旋風はここで沸点に達しました。そして、1975年には、リチャード・バートンとの二度目の結婚式で、エリザベス・テイラーがジーナ・フラティーニのデザインしたカフタンを着用しました。



    プリンセス天功のプロトタイプ!

    ボンドガール史上最も豪華な衣装であることは間違いない。

    この衣装が目指したものは、リズ・テイラーの『クレオパトラ』だった。

    まさに、孔雀人間=孔雀姫の誕生である。

    ジュリー・ハリスのデザインが頂点に達した瞬間。

    リオのカーニバルか、それとも、小林幸子か・・・

    この王冠とガウンは、椅子に取り付けられているものだった。

    ファッション・ショーのランウェイを歩いてきたばかりのようなヘアメイク。

    おでこには蛇の紋章のビンディー。

    ソリテア・ルック5 孔雀姫
    • リオのカーニバルのような赤と緑と金の王冠
    • おでこにはブルガリのような蛇のジュエリー、金/緑のアイシャドー、赤リップ、頭は中国風お団子ヘアスタイル
    • 孔雀の羽根モチーフのジュエリーが散りばめられたガウン
    • レッドシルク・ジャージードレス

    「素晴らしいファッションとは、それぞれひとつづつならば美しいものを組み合わせて、不安を憶えさせるスタイルを創造することです」。もはや小林幸子の原点とも、プリンセス天功のプロトタイプとも、クレオパトラの再来とも、何と呼ぼうとも、このソリテアのスタイルには、70年代という時代を振り切っているファッションの普遍性が存在します。

    このファッションの魅力的なところは、幸福感とは全く無縁の、悪魔に魂を売った黒魔術的な雰囲気にあります。そのリアル・フォウ・ムラサメ的なサイコミュを搭載してそうな、ガウンと王冠が一体式になっている椅子は、まさに悪魔の操縦席のようです。そんな派手なファッションを、無垢な美少女ソリテアが、ケバケバしいメイクを施されて、身につけるからこそ、何とも言えぬ魔性の魅力が生まれるのです。

    そして、私たちは思い知らされるのです、ファッションとは悪魔崇拝の一つの形態であると。



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