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【ディオール】ディオール オム パルファン(フランシス・クルジャン)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
クリスチャン・ディオール
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ディオール オム パルファン

原名:Dior Homme Parfum
種類:パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2025年
対象性別:男性
価格:50ml/17,050円、75ml/20,460円
公式ホームページ:ディオール

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まずはオリジナルの『ディオールオム革命』のおさらいから。

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私の香水は、大胆で力強く、それでいてとてもシンプルなことで知られています。ボトルに込められたメッセージが、とてもシンプルに伝わる香水が好きなんです。もしかしたら、それが私の性格なのかもしれませんが、25年前にニューヨークで働いていた時に学んだことでもあります。アメリカでは、要点を絞って、自分の売り込み方をしっかり理解し、すぐにメッセージを伝えなければなりません。フランスのように、待つ時間なんてありません。とにかく、すぐに行動に移さなければならないんです。

フランシス・クルジャン(以下すべての引用は彼からのもの)

(1995年から2004年にかけて)ディオールのパルファム部門のグローバル・マーケティング・ディレクター、サビーナ・ベッリは、1999年に「ジャドール」により見事アメリカ市場を再度席巻することに成功しました。その勢いの中、1997年に「デューン プールオム」が果たせなかった、メンズ・フレグランス市場へ再挑戦したのが、2001年に発売された「ハイヤー」でした。しかし、期待していた成功を収めることは出来ませんでした。

あまり知られていないのですが、2001年(2001-2002秋冬のパリコレクションから)よりクリスチャン・ディオール初のメンズ・ライン、ディオール・オムをスタートさせたエディ・スリマンが「ハイヤー」に深く関わっています。

彼は元々1997年にイヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュのメンズラインのクリエイティブディレクターに抜擢されるも、2000年にイヴ・サンローランがグッチ・グループに買収され、ディオールに移籍することになりました。

ディオール・オムが社会現象と言えるほどに大旋風を巻き起こし、2003年夏に3年間の契約延長をし、メンズフレグランスのクリエイティブ・ディレクターも兼任することになりました。かくして「ハイヤー」に引き続きエディ・スリマンが関わった香りが、ディオール・ラ・コ レクシオン・プリヴェの「ボア ダルジャン」、「オー ノワール」、「コロン ブランシュ」の3つのユニセックスの香りでした。

そして、この延長線上に2005年に生み出されたディオール・オム初のメンズ・フレグランスが「ディオール オム」でした。それはエディが調香界の若き貴公子・オリヴィエ・ポルジュとタッグを組み「21世紀に新たに付け加えられた男性にとってのエレガンスの最後のアイテムとしてのコロンの一提案」として創造されました(IFFにより製造された)。

アイリスを男性用フレグランスのために使用すべく、シャネルのNo.19からヒントを得た画期的な香りであり、アイリスの女性らしさとベチバーの男性らしさが巧みにブレンドされています。まさにメンズ・フレグランスにフローラル旋風を巻き起こすきっかけになりました。

それは、それまでメンズ・フレグランスにおけるフローラル(この香りまで10の香りしか存在しない)と言えば、ラベンダーとローズしかなかったフローラルにおける「第三の男」を生み出した瞬間でした。

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2004年に選ばれなかった男が生み出す〝新しいディオール オム〟

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アイリス パリダは、厳格な特性を持つ神秘的で扱いが難しい花です。崇高で近寄り難く、格好良くありながら反抗的な面を持ち、どことなく捉え難いディオールの男性像にも通じます。新たな香水の創作にあたり、私はアイリスを花から根まで全体的に捉えるというアイデアに取り組みました。アイリスは、繊細な花びらがつく1本の美しい茎をもつように見えながら、実際は力強い地下茎に支えられており、私はそれを力強い香りの〝背骨〟として思い描きました。

そのセンシュアルで意志の強い香りは、まるでチョコレートとも言えるようなほのかなカフェインの香りがします。類まれな品質のトスカーナ産アイリス パリダ バターにより、繊細さと力強さのコントラストを極限まで高めることができました。パウダリーな柔らかさとアンバーベースの力強さヲ組み合わせることで、心を奪われるようなディオール オムが完成しました。

イタリア・フィレンツェのアイリス・パリダが使用されています。この希少で贅沢な根茎を得るために、3年の栽培期間と、さらに3年の乾燥を必要とします。乾燥された根茎は粉末にし、水蒸気蒸留により最低20時間蒸気にさらされます。蒸留後、抽出されたエッセンシャルオイルを冷却し凝固させ、“ バター”と呼ばれるワックス状ペーストが生まれます。

しかし、オリジナルの「ディオール オム」は、2011年のリニューアルと2020年のリニューアルを経て「ディオール オム」の背骨とも言えるアイリスがなぜか取り除かれていました。一方で、2014年に発売された「ディオール オム パルファン」には、アイリスとレザーが残っていました。

そんな中、二代目調香師フランシス・クルジャンがはじめて手掛けた20周年を記念する「ディオール オム」が、2025年1月24日に発売された「ディオール オム パルファン」でした。こちらからはアイリスはそのまま存在しますが、レザーは取り除かれ、グルマンアンバーが強く香るように変更されています。

彼はかつて2004年に「ディオール オム」のコンペで、オリヴィエ・ポルジュに負けた苦い経験がありました。

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香りのテーマは〝偶然の出会いの物語=アイリス×アンバーウッド〟

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男性的なアイリスの優美な力強さを表現しているディオール オム。この特徴的な骨格を出発点にクラシックな構造を再解釈し、魅惑的なシルエットを再デザインしました。空に向かって力強く空高くそびえる高層建築のように、私のディオール オムはセンシュアルな豊かさと、響き渡る強い存在感を纏います。

それは繊細さと力強さコントラストを極限まで高めることができました。パウダリーな柔らかさとアンバー ベースの力強さ組み合わせることで、力強くそびえ立つ高層ビルのように、優美な豊かさと響き渡る力強い存在感を放つ、コンクリートとガラスから浮かび上がるような、繊細で神秘的な花のイメージを伝えています。

〝偶然の出会いの物語〟がテーマであるこの香りは、柔らかくなめらかなアイリスが、パウダリーにフローラルの官能美を広がらせていくようにしてこの香りははじまります。男性の素肌の上に重なり合う愛する女性のくちづけのような、リップスティックを思わせる繊細な愛の花の香りに満たされていくようです。

そしてすぐに猛々しくもクリーミースパイシーなアンバーウッドがバニラとクマリンと混ざり合いながら、躍動する甘さと塩辛さを溶け込ませ、アイリスに華やかでエレガントな男性美の輝きを与えてゆきます。

ベチバーとパチョリにより、アイリスがほのかにコーヒーやチョコレートを思わせる薫りを漂わせているのですが、ウッディさを抑えたこのほのかな余韻が、素肌とぶつかり合うと得も言えぬ香りの奥行きを感じさせてくれます。

やがてすべてがひとまとめになり、ガラスの建物のような、そしてウイスキーグラスのような、クリスタルの煌めくシックな甘い透明感へと移り変わってゆきます。

ディオール・メンズのタキシードラインにインスパイアされた、ブラックラッカーが優雅さを添える、角張ったシルエットのボトルデザインがとても印象的です。

2013年からキャンペーン・モデルは、新しいバットマンであり38歳の映画スター、ロバート・パティンソンがニューヨークの街を駆け抜けます。そして、今回も同じく香りのキャッチコピーは「I’m Your Man」です。

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香水データ

香水名:ディオール オム パルファン
原名:Dior Homme Parfum
種類:パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2025年
対象性別:男性
価格:50ml/17,050円、75ml/20,460円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:アイリス
ミドルノート:アンバー
ラストノート:パチョリ、ベチバー