ウエディングドレスよりも、遥かにたくさん喪服を着るスカーレット
『風と共に去りぬ』でスカーレットが着るドレスは、両手で数え切れないほどなのですが、そのうち喪服を四度着ることに対して、ウエディングドレスは一度しか着ていません。
しかし、16歳のはじめての結婚式(1861年春)のときに着ている、この一度限りのウエディングドレスは、ジゴ袖(レッグ・オブ・マトン)をはじめとする独特なシルエットで、今もウエディングドレスをデザインする人々に大いなるインスピレーションを与えています。
ちなみにこのウエディングドレスとヴェールは、新郎が南北戦争出征のため、結婚式が急遽行われたため、母エレンのものを着ています(エレンは1844年に15歳のときに結婚しています)。
衣裳デザイナーのウォルター・プランケットは、このことを考慮して、ドレスをエレン役のバーバラ・オニールに合わせて作りました。だから、スカーレット=ヴィヴィアン・リーが着ているこのウエディングドレスはぶかぶかに見えるのです。
スカーレット・オハラのファッション3
ウエディングドレス
- 白ではなくアイボリーのウエディングドレス、ジゴ袖(レッグ・オブ・マトン)、絹の葉と蔓が縫い付けられている
- 三連パールネックレス
- アイボリーのサテンのロンググローブ
- 膨らみのあるウエディングベール
スカーレット・オハラのファッション4
喪服ドレス
- 黒の喪服ドレス、クリノリンスタイル、フロントに沢山のくるみボタン
- 黒のヘッドドレス(あご紐をリボン結び)とシフォンショール
- 黒のショートグローブ
- 黒のショートブーツ
スカーレット・オハラのファッション5
喪服ドレスPART2
- 黒の喪服ブラックドレス、クリノリンスタイル、スタンドカラー
- オニキスのブローチ(母がスカーレットの結婚式につけていたもの)
1860年代のクリノリン全盛期において、ボリュームのあるフープスカートの大きさに比例して、ジュエリーもより大きなものを付けるようになりました。
特に、トパーズ、アクアマリン、アメジストなどの色石と、エメラルド、ルビー、サファイア、ダイヤモンドなどの貴石、そして真珠が使われるようになりました。
3年間喪服で過ごさないといけなかった時代
19世紀半ばの南部において、未亡人は3年間ブラックドレスを着なければなりませんでした。そして、レース、リボン、花飾りといった類の派手な装飾は一切身につけることは許されませんでした。
だからこそ、人一倍自分を飾り立てることに喜びを感じるスカーレットは、慈善パーティーでレット・バトラーの誘いに応じ喪服で踊り狂い、周りの顰蹙を買うのでした。
さらに室内でオニキスのブローチとパープルのヘッドドレスをつけて自分を哀れみ、「悲しいふりをするのなんてもう嫌!」とベッドに泣き伏せるのでした。
これはあなたのボンネットです。このグリーンの色合いを着こなせる人が他に誰がいますか? 君の瞳の色に合うようにチョイスしました。
レット・バトラー
そんな彼女の心を知るレットは、グリーンのヘッドドレスをプレゼントしました。この作品におけるグリーンは、スカーレットにとって善悪を超えた生命力を呼び覚ます意味合いを持っています。
スカーレット・オハラのファッション6
クリスマスドレス
- ダークグリーンのシルクブロケードドレス、クリノリンスタイル
- 白襟にカメオブローチ
- 鶏冠のようなグリーンのヘッドドレス
スカーレット・オハラのファッション7
クリスマスドレスPART2
- 赤と白のクリスマスカラードレス、クリノリンスタイル、パフスリーブ
- 赤いヘアリボン
- 白いサッシュベルト
作品データ
作品名:風と共に去りぬ Gone with the Wind (1939)
監督:ヴィクター・フレミング
衣装:ウォルター・プランケット
出演者:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/オリヴィア・デ・ハヴィランド/レスリー・ハワード
- 【風と共に去りぬ】スカーレット・オハラという女の一生
- 『風と共に去りぬ』Vol.1|ヴィヴィアン・リーとスカーレット・オハラ
- 『風と共に去りぬ』Vol.2|スカーレット・オハラ役のオーディション
- 『風と共に去りぬ』Vol.3|スカーレットのウエディングドレスと喪服
- 『風と共に去りぬ』Vol.4|スカーレットの夕陽の中での下剋上宣言
- 『風と共に去りぬ』Vol.5|コロンを飲むヴィヴィアン・リー
- 『風と共に去りぬ』Vol.6|ヴィヴィアン・リーとウォルター・プランケット
- 『風と共に去りぬ』Vol.7|スカーレットの伝説のワインレッドガウン
- 『風と共に去りぬ』Vol.8|アカデミー主演女優賞を獲得したヴィヴィアン・リー
- 『風と共に去りぬ』Vol.9|オリヴィア・デ・ハヴィランドという天使
- 『風と共に去りぬ』Vol.10|オリヴィア・デ・ハヴィランドとアカデミー賞