メイキング・オブ・峰不二子
本作のコスチューム・デザインを担当したのはガイア・ロマニーニ(1923-1990)です。カトリーヌ・スパークの『女性上位時代』(1968)でも、同じテイストのスタイリングで魅せてくれました。
しかし、本作において何よりも面白いのは、ロッサナ・ポデスタの夫であり、本作の監督のマルコ・ヴィカリオです。ジュネーブのスイス銀行クレディ・スイス前で撮影するために、偽造した真面目な映画のシナリオを提出したというから、この男こそが、アルベール教授の精神を地で行く人だったわけなのです。
そういう意味においても、60年代という時代は、何でもありの素晴らしい時代だったわけなのです。この夫にして、この妻ありなのです。かくして、ジョルジアは、モンキー・パンチの峰不二子の創造に少なからぬ影響を与えたのでした。
リアル・ファーを抱きしめたい!
リアル・ファーを抱きしめられる女でありたい。誤解を得るような言い方になりますが、女は動物に囲まれて生きると美しくなります。
ステラ・マッカートニーの哲学はそれはそれで素晴らしいのですが、それは生まれながらに何不自由のない生活を送ってきたものの境地とも言えます。
もしあなたが庶民の子として生まれ育ったならば、大人の女になってから、リアル・ファーやリアル・レザーに対する憧れが生まれて当然です。グリーン・ファッションは生まれながらの特権階級の戯言とまでは言いません。しかし、だからと言って、リアルなファーやレザーを否定する風潮が行き過ぎるとファッションはただの〝清潔感〟に満ち溢れたつまらないものになります。
ジョルジア・スタイル7
ブラック・コート
- 黒のミンクコート
- ラウンド・シェイプド・グラス
- 黒のショートブーツ
- ベージュのパンスト
彼こそが、モリアーティ教授だろう
<番外編>教授スタイル
- ダークグレーの山高帽
- ベージュのレインコート
- 首元にアスコットタイ
- ブラウンのレザーグローブ
- 真鍮のついたステッキ
男を裏切る女になろう!
男を裏切る女になろう!そして、いつも許される女に。女は男を裏切った分だけ美しくなります。そして、そんな男に許された分だけ、さらに魅力的になります。
逆に言うと、良い男は、良い女に裏切られた数だけ磨き上げられていくのです。つまりは、女を騙す男は、男として磨かれないということです。
これは丁度、ラグジュアリー・ファッションを扱うブランド販売員と同じ感覚です。良い販売員は、良いお客様を騙せる販売員です。そして、本当にそれほどの価値があるのか誰も分からないものを購入するために色々な場所で騙され、良いお客様は、人としての器を磨き上げていくのです。
一方、良い販売員も、他のブランドで騙されているからこそ、売れる販売員になれるのです。そういう意味においてはファッションとは騙し合いの美学なのです。一方、〝安くても素晴らしい〟を標榜する、ファスト・ファッションは、その真逆を行く美学の存在しない消費活動にすぎません。
ジョルジア・スタイル8
ピンクガウン
- 白のフェザーのついたピンクのミニドレス
- 黒縁メガネ
アニマルを着ると、アニマル柄を着るの違い。
アニマル柄を着ると二種類の女が生まれます。
1.若作り。もしくは、若いというよりもチープな00年代ギャルがタイムマシーンに乗って現れる。
2.ゴージャスなイタリア女のような気品の中に情熱をひめた女の誕生。
そこには、アニマル柄を着ているのと、アニマルを着るの違いがあります。この作品のジョルジアは、まさにアニマルを着ているのであり、アニマルと同化しているのです。
真にアニマル柄を着るという事は、その柄の動物性とフュージョンするようなところにあるのです。だからこそ、このジョルジアは、しなやかでしたたかな美しさに満ち溢れているのです。
ジョルジア・スタイル9
レオパルド・コート
- レオパルド・ファー・コート
- レオパルド・ハット
- 白のショートグローブ
- ダークブラウンのショートブーツ。または、黒のハイヒール・パンプス
ジョルジア・スタイル10
ジョルジア・スタイル10 スパンコール・ドレス
- ゴールド・デコルテドレス、背中はVライン、少しチャイナドレス風
ちょっぴりオシャレなアイビールック
作品データ
作品名:黄金の七人 Sette uomini d’oro (1965)
監督:マルコ・ヴィカリオ
衣装:ガイア・ロマニーニ
出演者:ロッサナ・ポデスタ/フィリップ・ルロワ