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ジェームズ・ボンド

ロジャー・ムーア6 『007 私を愛したスパイ』1(2ページ)

ジェームズ・ボンド
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サファリ・ジャケットを着るジェームズ・ボンド

今となってはご愛嬌となった、ムーア=ボンドの腰の入っていないキック。

コットン素材のジャケットの優雅な動きが感じられるフォト。

背景には、「千の塔の都」カイロのミナレット。

モカシン・ローファーの形状が分かるフォト。

ベージュのジャケットとスカイブルーシャツにストライプタイの見事なアンサンブル。

ノーフォークジャケット風バックベルト。

袖元のバックルに注目!格闘後タイを直すボンドのお馴染みの姿。

ジェームズ・ボンド・スタイル2 サファリ・ジャケット
  • テーラー:アンジェロ・ローマ
  • ベージュのサファリ風スポーツコート、エポレット付き、フラップポケット、シングル、2つボタン、ワイドラペル、ノーフォークジャケット風バックベルト(30年代の流行)、トレンチコート風バックルスリーブ
  • ストーンカラーのワイドなトラウザー、ベルトなし
  • 水色のストライプ・シャツ、フランク・フォスター
  • ネイビー・ストライプ・アメリカンスタイル・ネクタイ
  • ブラウンのホースビット・モカシン・ローファー、サルヴァトーレ・フェラガモ
  • セイコークオーツLC

ロジャー・ムーア=ボンドの黒歴史的な側面を持つ、サファリ・ジャケット。しかし、この作品のサファリ・ルックは悪くないです。

ただし、21世紀においても、サファリ・ジャケットは全くリバイバルする気配がないことも事実です。

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ボンド・ムービーの魅力=古代遺跡でタキシード姿の美学

世界中の魅力的なスポットで、敵と戦い、美女と遊ぶ男=ボンド。

こんな場所でタキシードを着てるのか?というシーンこそがボンドムービーの醍醐味なのです。

ヴォーグのファッション・フォトのようなシーンを創り出すことこそがボンドムービーの真骨頂。

ブラックドレスを着たバーバラ・バックの存在感は過小評価されています。

この二人の並びこそが、ボンドムービーの醸し出す大人のオーラ。

ラペルの大きさは1977年的だが、ボウタイの小ささは、現代的である。

ルクソールでおどけてみせるロジャー・ムーア。

埃だらけになってもまったかっこいいボンドという男。

ジェームズ・ボンド・スタイル3 タキシード
  • テーラー:アンジェロ・ローマ
  • ミッドナイトブルーのウール/モヘアのダブルのディナージャケット、ワイド・ピークドラペル、6つボタン、ベントレス
  • ミッドナイトブルーのトラウザー、サイドポケットなし、両サイドに黒いサテンのストライプ、ベルトなし、少しフレア
  • 白のドレスシャツ、フランク・フォスター、テッド・ラピドスが考案したタブカフ
  • 黒のサテンシルクのボウタイ
  • サルヴァトーレ・フェラガモの黒のパテントレザー・スリッポン
  • セイコークオーツLC

エジプトのルクソールのカルナック神殿で戦うボンド+トリプルXとジョーズ。その時のファッションが、ブラックタキシードとブラックドレスなのが、ボンドムービーらしくてとてもカッコいいのです。

タキシードをはじめとする全てのボンドの衣裳を仕立てたのは、ダグラス・ヘイワードではなく、ブリオーニのテーラーだったアンジェロ・ヴィトゥッチによって1963年に創立されたアンジェロ・ローマによってでした。そして、このタキシードは、オープニングのガンバレル・シークエンスでも着用されているものです。

本作は、1976年8月31日から撮影が開始され、翌年1月26日に撮影終了し、1977年7月7日にロンドンでプレミア公開されました。エジプトの現地ロケは、1976年10月に、カイロ市内や、ギザの三大ピラミッド、スフィンクス、ルクソールなどで4週間かけて行われました。


エジプト・ロケのある日、冷蔵庫のボタンを押し忘れたスタッフによって、昼食が腐ってしまいました。そこで急遽プロデューサーのアルバート・ブロッコリが、食材をかき集めて、ミートソースのスパゲティを大量に作ったのでした。上記の写真は、ロジャー・ムーア自身がディナージャケットを脱ぎ捨て、ブロッコリと共に撮影隊のスタッフために、スパゲティをサービングしている姿です。

ロジャー・ムーアが演じるジェームズ・ボンドの魅力は、こういった彼の素の姿にあるのではないでしょうか?映画の中で、どんなに冷酷なことをしても、女たらしでも、緊張感を失わせるジョークを言っても、全て許されてしまうのは、どこか一流にはなり切れない人の良さを感じさせるからなのです。

ムーア=ボンドを愛せる人は、男らしさに余裕を求める人です。一方、ムーア=ボンドを愛せない人は、男らしさに緊張感を求める人なのです。