サファリ・ジャケットを着るジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド・スタイル2 サファリ・ジャケット
- テーラー:アンジェロ・ローマ
- ベージュのサファリ風スポーツコート、エポレット付き、フラップポケット、シングル、2つボタン、ワイドラペル、ノーフォークジャケット風バックベルト(30年代の流行)、トレンチコート風バックルスリーブ
- ストーンカラーのワイドなトラウザー、ベルトなし
- 水色のストライプ・シャツ、フランク・フォスター
- ネイビー・ストライプ・アメリカンスタイル・ネクタイ
- ブラウンのホースビット・モカシン・ローファー、サルヴァトーレ・フェラガモ
- セイコークオーツLC
ロジャー・ムーア=ボンドの黒歴史的な側面を持つ、サファリ・ジャケット。しかし、この作品のサファリ・ルックは悪くないです。
ただし、21世紀においても、サファリ・ジャケットは全くリバイバルする気配がないことも事実です。
ボンド・ムービーの魅力=古代遺跡でタキシード姿の美学
ジェームズ・ボンド・スタイル3 タキシード
- テーラー:アンジェロ・ローマ
- ミッドナイトブルーのウール/モヘアのダブルのディナージャケット、ワイド・ピークドラペル、6つボタン、ベントレス
- ミッドナイトブルーのトラウザー、サイドポケットなし、両サイドに黒いサテンのストライプ、ベルトなし、少しフレア
- 白のドレスシャツ、フランク・フォスター、テッド・ラピドスが考案したタブカフ
- 黒のサテンシルクのボウタイ
- サルヴァトーレ・フェラガモの黒のパテントレザー・スリッポン
- セイコークオーツLC
エジプトのルクソールのカルナック神殿で戦うボンド+トリプルXとジョーズ。その時のファッションが、ブラックタキシードとブラックドレスなのが、ボンドムービーらしくてとてもカッコいいのです。
タキシードをはじめとする全てのボンドの衣裳を仕立てたのは、ダグラス・ヘイワードではなく、ブリオーニのテーラーだったアンジェロ・ヴィトゥッチによって1963年に創立されたアンジェロ・ローマによってでした。そして、このタキシードは、オープニングのガンバレル・シークエンスでも着用されているものです。
本作は、1976年8月31日から撮影が開始され、翌年1月26日に撮影終了し、1977年7月7日にロンドンでプレミア公開されました。エジプトの現地ロケは、1976年10月に、カイロ市内や、ギザの三大ピラミッド、スフィンクス、ルクソールなどで4週間かけて行われました。
エジプト・ロケのある日、冷蔵庫のボタンを押し忘れたスタッフによって、昼食が腐ってしまいました。そこで急遽プロデューサーのアルバート・ブロッコリが、食材をかき集めて、ミートソースのスパゲティを大量に作ったのでした。上記の写真は、ロジャー・ムーア自身がディナージャケットを脱ぎ捨て、ブロッコリと共に撮影隊のスタッフために、スパゲティをサービングしている姿です。
ロジャー・ムーアが演じるジェームズ・ボンドの魅力は、こういった彼の素の姿にあるのではないでしょうか?映画の中で、どんなに冷酷なことをしても、女たらしでも、緊張感を失わせるジョークを言っても、全て許されてしまうのは、どこか一流にはなり切れない人の良さを感じさせるからなのです。
ムーア=ボンドを愛せる人は、男らしさに余裕を求める人です。一方、ムーア=ボンドを愛せない人は、男らしさに緊張感を求める人なのです。