ブルース・リー

ブルース・リー1 『死亡遊戯』(2ページ)

    作品名:死亡遊戯 Game of Death(1978)
    監督:ロバート・クローズ
    衣装:記載なし
    出演者:ブルース・リー/コリーン・キャンプ/カリーム・アブドゥル=ジャバー

    白人、黒人が、黄色人種に憧れた日。

    「考えるな!感じるんだ!」そうすればキミも空を飛べるんだ!

    ジョニー大倉も面接を受けていたという『死亡遊戯』。あわよくばブルース・リーの替え玉にというジョニーの攻めの姿勢が素晴らしい。

    今の、世界中の男子に必要なものは何か?女性目線で考えたとき、細身のパンツをひょろっとした長身で履きこなしユニセックスな美しさを漂わせている男子よりも、筋肉が程よくついた肉体で、背が低くとも野性味を漂わせている男子の方が、同じ空間にいてドキドキさせられるという絶対真理に気づかされます。そんな時ふと思い浮かべるのが、ブルース・リーなのです。「アチョー」と叫ぶあの男から漂う異様な熱気と哀愁。10代から30代の女性でブルースを知らぬものは人生を損しているとまで言い切れるほどに女性が男性の魅力を知るための指針になる人。そう「舞うように闘う人」ブルース・リー。

    今世界中の男子に必要なものは何か?それは間違いなくサンローランやアクネのスキニーなジーンズよりも、ジョン・ローレンス・サリバンのセットアップよりも、ジークンドーを学ぶことだろう!と私は声を大にして言いたい。

    さてファッション感度が高いということイコール白人文化や黒人文化に対する憧れに繋がりやすく、私たちはどうしても黄色人種であるアイデンティティーを無視するか放棄しがちです。特に男性においてはその傾向が顕著です。しかし、1970年代はじめ、一人のアジア人男性の存在が、白人男性や黒人男性にとって、自分の肌の色を黄色く変えたいとまで願わせたのでした。

    170cmあるかないかのアジア人の小男に世界中の男たちは一瞬にして夢中になったのです。後のディスコ映画の傑作『サタデーナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタの部屋に彼のポスターが貼られ、ディスコ文化のアイコンにまでなり、世界一クールで強かった男。その人の名をブルース・リー(1940-1973)と言います。

    ブルースの登場により、世界中の白人及び黒人の若者たちは、黄色人種から、自分達にはないエキセントリックな魅力を感じるようになったのです。それは『燃えよドラゴン』(1973年8月17日全米公開、ブルースの死後)の世界公開から導火線に火がつき、その5年後に公開された全身イエローのトラックスーツを着た本作『死亡遊戯』により決定付けられたのでした。

    そして、この流麗で荘厳なオープニング・スコア。作曲は、ジェーン・バーキンの元夫で、当時再婚ホヤホヤだったジョン・バリーです。数々の007シリーズのスコアを作曲してきただけあって、ブルース・リーの最後の作品に相応しい品格を見事に与える役割を一人で担ったのでした(最後のブルース・リー本人が登場するまでの80分間のつまらなさを帳消しする役割を担う)。

    全身イエローのトラックスーツとスニーカー。

    今でもリスキーな全身イエローというカラーチョイスを自分のものにしたブルース・リー。

    リスクを侵した果てにあるのは、個性の確立です。

    そこにイエロー・ヌンチャクが加わればもう鬼に金棒です。

    ロールアップして逞しい腕を見せるのがポイントです。

    このバランス感覚と柔軟性を見よ!

    1973年7月20日ブルース・リーは32歳で死にました。そして、その5年後に公開された作品が、本作『死亡遊戯』です。この映画に出演するブルース・リーは僅か10数分です。しかし、この時に、彼が着ていたコスチュームが、ブルース・リーという存在のみならず、21世紀のファッション・シーンに不動の影響力を与えることになるのでした。

    太目の黒のサイドラインの入ったイエローのトラックスーツ。そして、イエローのスニーカー。いずれもオニツカタイガー(後のアシックス)に特注して作らせたものでした(ブルースの替え玉のシーンではイエローのアディダスのスニーカーが使用されている)。そして、鯨のひげとも象の尻尾とも言われるブレスレット。ブルース・リーは、当初、イエローとブラックのトラックスーツを発注していました。しかし、カリームのキックを受け、大きな足型がつくシーンのことを考えて、イエローを着ることに決定したのでした。

    ブルースにしては珍しく、一切肌を露出せずに全身を布地で包んでいることは、病いもしくは過労で、細くなった肉体を隠すためとも言われています。しかし、理由はどうあれ、背中のチャックで着脱するという、尿意を催すと恐ろしく不便なこのトラックスーツのシルエットは、ブルースの引き締まった肉体に見事に密着していて素晴らしいのです。



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