エッフェル塔からセーヌ川へ!ハーフカーに乗って
ロジャー・ムーアのジェームズ・ボンドは、世界大紀行のプレゼンテーターでもありました。彼のボンド時代に私たちは、タイ、エジプト、ブラジル、ギリシア、インドといった色々な国を訪れることが出来たのでした。
「わざわざこんなとこまで来て、ここまでやるか!」という突飛なアクションシーンこそが、ムーア=ボンドの真骨頂なのでした。
そして、本作においても、パリの名所で、コサキンのような格好をしたメイ・デイを追っかけるため、ボンドが乗るルノー・11は、ハーフカーになりながらも難易度の高いカースタントを連発するのでした。

タキシードを着て、ハーフカーに座るボンド。堂々と喜劇をするロジャー・ムーアこそ芸人の鑑だ。
ジェームズ・ボンド スタイル4
ブラック・タキシード
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- ミッドナイトブルーのディナージャケット、ダブル、ピクドラペル、サイドベンツ
- 黒いサテンストライプつきのトラウザー
- フランク・フォスターのホワイトフロントプリーツシャツ
- ブラックボウタイ
- サルヴァトーレ・フェラガモのブラック・パテントレザーローファー
- セイコーH558-5000 ハイブリッドダイバー
この作品において、ジェームズ・ボンドは2種類のタキシードと1種類のモーニングコートというこれまでにないフォーマルな装いを連発するのですが、意外なことにカジノシーンはこの作品には登場しませんでした。

ロジャー・ムーアにはタキシードがとても似合う。

ハーフカーにはマフラーがないため恐ろしい騒音で走りました。

セイコーH558-5000 ハイブリッドダイバー

アーノルド・シュワルツェネッガーが『コマンドー』『プレデター』『バトルランナー』でつけていました。

エッフェル塔のレストランにて(セット)
ジェームズ・ボンド スタイル5
グレー・ツイードジャケット
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- グレーのツイードジャケット、ノッチラペル、2つボタン、3つのパッチポケット、センターベント
- チャコールグレーのフランネルトラウザー
- フランク・フォスターのライトブルーのオックスフォードシャツ、ワイドスプレッドカラー
- ブラックレザーベルト
- タータンチェックのネクタイ
- ブラックレザーローファー
- セイコー 6923-8080

奥の女性は、のちに『インディ・ジョーンズ最後の聖戦』に出演するアリソン・ドゥーディです。

タータンチェックのネクタイがかなりお洒落。
ルイ・ヴィトンを持つ男
セント・ジョン・スマイスとしてマックス・ゾーリンのシャトーに侵入するボンド。召使(パトリック・マクニーが好演)をいびり倒す浪費癖のある金持ちのイメージを作るためにルイ・ヴィトンのモノグラム・アイテムが大量に投入されています。
イギリスにおいては、これが、最も下品な金持ちのイメージなのです。実に興味深いのは、イギリスのお金持ちはルイ・ヴィトンを好まないという点です。

ティベットが運ばされるラゲージも全てルイ・ヴィトン。

フィリップスのシェーバー型盗聴器探知機が入っているミニバッグもルイ・ヴィトン。

コピー機能付き小切手ホルダーもルイ・ヴィトン。
ジェームズ・ボンド スタイル6
ホワイトタキシード
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- アイボリーシルクディナージャケット、ノッチラペル、1つボタン、サイドベンツ
- フランク・フォスターの白のコットンのフロントプリーツシャツ
- ブラックトラウザー、サイドにサテンストライプ
- ブラック・ボウタイ
- サルヴァトーレ・フェラガモのブラック・パテントレザー・ローファー
- 鼈甲のサングラス

窓ガラスの反射を除去して室内を見通すことが出来る偏光サングラス。

ノッチラペルのタキシードは非常に珍しい。

フロントプリーツのシャツに葉巻。
ジェームズ・ボンド スタイル7
ベロアトラックスーツ
- FILAのミッドナイトブルーのベロアのトラックスーツ、ラグランスリーブ
- ブルー・クルーネックシャツ
- ブラック・スニーカー

オフショットで、FILAのジャンパーを着用しているボンド。
作品データ
作品名:007 美しき獲物たち A View to a Kill (1985)
監督:ジョン・グレン
衣装:エマ・ ポーテウス
出演者:ロジャー・ムーア/クリストファー・ウォーケン/グレイス・ジョーンズ/タニア・ロバーツ/アリソン・ドゥーディ
- 【007 美しき獲物たち】三代目ボンド=ロジャー・ムーアの最終作
- 『007 美しき獲物たち』Vol.1|ロジャー・ムーアとデュラン・デュラン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.2|ロジャー・ムーアとルイ・ヴィトン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.3|ロジャー・ムーアとレザーブルゾン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.4|クリストファー・ウォーケンとカルティエ
- 『007 美しき獲物たち』Vol.5|クリストファー・ウォーケンとドルフ・ラングレン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.6|グレイス・ジョーンズとアズディン・アライア
- 『007 美しき獲物たち』Vol.7|グレイス・ジョーンズとジャン=ポール・グード
- 『007 美しき獲物たち』Vol.8|タニア・ロバーツという悲劇のボンドガール
- 『007 美しき獲物たち』Vol.9|タニア・ロバーツの80年代プレイメイトルック
- 『007 美しき獲物たち』Vol.10|アリソン・ドゥーディと取貝麻也子