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ジェームズ・ボンド

『007 ゴールデンアイ』Vol.2|ブリオーニを着るピアース・ブロスナン

ジェームズ・ボンド
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ミスター・ブリオーニ=ケッキーノ・フォンティコリ

この作品からボンドスーツがはじめてラグジュアリー・ブランドのテーラーにより、より洗練されたシルエットを生み出していくことになります。

そして、原作ではサヴィル・ロウのスーツを着ているという設定のジェームズ・ボンドが、はじめてイタリア製のスーツを仕立ててもらうことになるのでした。そのブランドの名をブリオーニと申します。そして、そのマスターテーラーこそが、伝説のテーラー、ケッキーノ・フォンティコリでした。

ここでブリオーニというブランドについて軽く説明するならば、1945年にマスターテーラーであるナザレノ・フォンティコリ(1906-1981)によってローマで創立されたブリオーニは、1952年、世界中で史上初めてのメンズ・ファッションショーを、フィレンツェのピッティ宮殿で開催しました。

これはイタリア製のスーツが、サヴィル・ロウのスーツに対して遜色がないという評価を生み出す原動力となりました。ケーリー・グラントやヘンリー・フォンダのような当時のハリウッド・スターから、ケネディ兄弟といったVIPまで世界中のセレブがこぞってブリオーニでスーツをオーダーするようになりました。まさに50年代から60年代にかけての〝黄金のローマ時代〟を作ったブランドのひとつだったのです。

ケッキーノは、創業者ナザレノの甥っ子であり、20歳のときから、彼の下でテーラーとして修業しマスターテーラーへと上り詰めていきました。

この作品で使用されたボンドのスーツはそれぞれ約24時間かけて、7000もの手縫いで作り上げられたのでした。

ケッキーノ・フォンティコリとピアース・ブロスナン。

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9年前の、幻の四代目ボンド事件

ブリオーニのタキシードにワルサーPPK。

ポイントは肘の下に添えられた手の甲。

1986年に一度四代目ジェームズ・ボンドに確定したピアース・ブロスナンは、TVドラマ『探偵レミントン・スティール』の契約上の問題により急遽出演できなくなりました。そして、9年の時を経て、五代目ボンドに就任するのですが、そこまでの流れは平坦ではありませんでした。

※もし、1986年当時四代目ボンドに就任していたら、同時期に撮影されたこのダイエットコークのコマーシャルのような若々しくも魅力的なボンドが誕生していたことでしょう。

一作限りの出演を希望していた四代目ボンド=ティモシー・ダルトンは、複数に渡る出演を拒否し、降板しました。一方、初代ジェームズ・ボンドであるショーン・コネリーメル・ギブソンを推薦しました。しかし、当時メルは、『ブレイブハート』(1995)の撮影で忙しく出演はかないませんでした。

かくして、リーアム・ニーソン(1952-)に五代目ボンドのオファーが打診されたのですが、当時のリーアムはアクション映画に興味がなく断られてしまいます。

そして、ポール・マッギャン(1959-)でほぼ確定していた所に、ピアース・ブロスナンが名乗りを上げ、『ミセス・ダウト』(1993)の監督クリス・コロンバス(ボンドムービーの大ファン)の推薦により実現したのでした。

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ジェームズ・ボンド・スタイル3

タキシード
  • ブリオーニ、ブラック・ディナージャケット、1つボタン、ピークドラペル、ダブルベンツ、ウィリアム ハルステッド製のウール・モヘア混(60%キッドモヘア/40%ウール)
  • ブリオーニ、ショールカラーのベスト
  • ホワイト・シルク・ポケットチーフ
  • Sulka(シュルカ)のホワイトドレスシャツ、ダブルカフス、フロントプリーツ
  • ブラック・ボウタイ
  • チャーチのバルモラル、ブラック
  • オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00

ブリオーニーブロスナンーオメガの黄金比率。

ドレスシャツのフロントプリーツが最も良く分かる写真。

やはりボンドには、タキシードはマストだ。

下にジャケットと同色のベストを着ています。

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ジェームズ・ボンド・スタイル4

ダークネイビー・ブレザー
  • ブリオーニ、ダークネイビーのダブルブレザー、6つの真鍮ボタン、ダブルベンツ、幅広のピークドラペル
  • Sulka(シュルカ)、フレンチブルーコットンドレスシャツ、白いグリッドチェック
  • ブリオーニのベージュ・ウールパンツ、トリプルリバースプリーツ
  • チャーチのチェットウィンド、ウォールナット・ブラウン、ネバダレザー
  • オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00
  • ブラウンレザー・ベルト

オナトップ役のファムケ・ヤンセンと共に。

ブルーシャツとブラウンベルトとベージュパンツの見事なアンサンブル。

チャーチのチェットウィンド

ネイビーブレザーとブルーシャツのコントラスト。

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アラン・カミングの出世作

レザージャケットにプリントシャツ。

無精ひげに、やたらにおしゃれなメガネ。

この作品のアラン・カミング(1965-)はコンピューターおたくなのですが、いかにも世紀末のおたくそのもののファッションで現れます。

しかし、このスタイルこそが、21世紀に主流になるファッション・スタイルであることに驚かされます。

  1. オシャレなメガネ
  2. レザーダブルライダースジャケット
  3. カナダグースのようなダウンパーカー
  4. 無精ひげ
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ジェームズ・ボンド・スタイル5

プリンス・オブ・ウェールズチェックスーツ
  • ブリオーニ、プリンス・オブ・ウェールズチェックスーツ、2つボタン、シングルベント、ノッチラペル、生地はバウアーローバック
  • Sulka(シュルカ)、アイボリードレスシャツ
  • Sulka、ブルーとゴールドの正方形パターンのネクタイ
  • ブルーシルク・ポケットチーフ、パフドスタイル
  • オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00

マネーペニー役のサマンサ・ボンドと共に。

本作のボンドは、柄が主張するタイを着用しています。

少しリチャード・ギアに似ています。

作品データ

作品名:007 ゴールデンアイ GoldenEye(1995)
監督:マーティン・キャンベル
衣装:リンディ・ヘミングス
出演者:ピアース・ブロスナン/イザベラ・スコルプコ/ファムケ・ヤンセン/ショーン・ビーン/アラン・カミング