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『007 スカイフォール』Vol.4|44歳のダニエル・クレイグ

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ
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ボンドムービーには10代から20代の若者はほとんど登場しない

1968年3月生まれのダニエル・クレイグは、撮影当時、44歳でした。6代目ボンドとして最も脂の乗り切った姿を披露しています。男が最も魅力的な年代は40代と言われています。

そして、これは実に不思議な現象なのですが、20代のファッション感度の高い男性にとって、彼らのファッション・アイコンは、今では同世代のポップスターではなく、30代後半から40代の男性を選ぶ傾向にあるのです。その流れは性別が逆転した状況においても同様であり、ボンドムービーの復権は、まさしくそんな「華麗なるミドルエイジに憧れる時代」の気風にマッチした作品なのです。

だからこそこの作品には、新しいQをはじめ30代以上の俳優で主要キャストは占められており、子役も含め、若い世代は存在しないような世界観で物語は構成されています。ここに過去に遡るボンド・ムービーの不思議な洗練の世界観を解くキーが隠されています。ほとんどのボンドムービーには10代から20代の若者は登場しないのです。

彼(ダニエル・クレイグ)は信じられないほど熱心で集中力があり、自分自身に対してストイックなのです。 彼は絶対的な完璧主義者です。 一方で彼はとても遊び心があり、とても愚かなところもあります。そんな彼と共演できて私はとても幸せです。

ベン・ウィショー

本作のボンドの最大の武器は、ダンディズムと若々しさのギャップです。

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永遠に色褪せないセンスを知る『男の教科書』

〝タイムレス・エレガンス〟グッチ時代を髣髴させるトム・フォードのピンストライプスーツ。

アストンマーティンから降りるボンド。ネクタイの長さも隙がないです。

1年後には色褪せる流行の中でファッションを楽しむことも、ファッションと生きる喜びであるなら、15年経っても色褪せない不滅のエレガンスを体現することもファッション・センスを身につける喜びです。

007シリーズの魅力は、この二つのファッションの喜びをシーソーのように楽しんでいるところがあります。しかし、本作はどちらかというと後者のファッションの喜びを追及することが徹底されていると言えます。

すべてが決して目立ちすぎず、抑制された最高のもので、肉体を固めているのです。つまり、自分の肉体に合わせて、すべてのファッション・ピースが調整された最高のバージョンを装着しているように第三者に見えるのが、今回のボンド・スタイルの特徴です。

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ジェームズ・ボンドのファッション7

グレーストライプスーツ
  • トム・フォードのグレーストライプスーツ、3つボタン、ナローラペル、シングルベント、ジャケットの丈短め、サイドアジャスターのトラウザー
  • トム・フォードの水色のドレスシャツ
  • 水色のポケットチーフ
  • トム・フォードのネイビータイ、フォアインハンドノット
  • クロケット&ジョーンズのブラック・カーフレザーのダービーシューズ「ハイベリー」
  • オメガのシーマスター「アクア・テラ」

このスーツこそ、本作のアイコニック・スーツです。

襟の姿勢の良さに注目してください。

ネクタイの柄がよく分かる写真。

かつて『ゴールドフィンガー』と『サンダーボール作戦』において活躍したアストンマーティン・DB5が登場します。

スーツ姿で諜報活動に従事するボンド。

アストンマーティンとボンドとM。

後ろから見たボンドスーツのシルエットが美しい。

ロープストライプと言われているスーツのストライプ柄。

3つボタンの真ん中だけをとめています。

トム・フォード・スーツで走る姿も美しい。走るシーンのネクタイは重たい素材で作られています。

決してジャケットのボタンを外さないのもボンドの美学。

とんでもなくカッコいい走り方です。

トム・フォードのグレースーツは汚れても素敵です。

インカムはSPのようで、スーツとの相性がとても良いアイテムです。

埃にまみれても実に美しいグレースーツ。

シューズだけはピカピカなのはご愛嬌。

休憩中のダニエル・クレイグ。すごいオーラです。

スーツの上に羽織っているこのアウターが素敵です。

全身ショット。

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もはや現代社会においては30代が若者なのだ。

60年代のピーター・オトゥールのような不思議な存在感。

今までのQが、研究所で活動していた人なら、 このQはそうではなく、何事もシンプルで洗練されたものを好む禅のキャラクターです。 彼はとても鋭い人で、ボンドはそれにだんだん敬意を払うようになるのです。

ベン・ウィショー

再び登場するQファッションは、正統派プレッピーで、タイムレスなロンドンボーイ・テイストです。「清潔感」と「女性的」を兼ね備えた彼のスタイルに見事にマッチしています。

これこそがミニマルなアイテム使いのモデルケースであり、本来、ミニマルなファッションというものは、ミニマルではない細部の凝ったアイテムから生み出されるのだということを再認識させてくれます。

ミニマルやノームコアというファッション定義は、トレンド用語ではなく、普遍的なファッション用語です。それはフラットなアイテムの組み合わせから生み出されるものではなく、凝ったディテールの立体的なアイテムの組み合わせが、人間の視覚を通して単純化され、美的評価を勝ち取ることから生み出されるものなのです。

だからこそ、そんなスタイルに身を包み込む30代の女性と男性は、ナチュラルに若々しく見えるのです。

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新生Q=ベン・ウィショーのファッション2

ドリス・ヴァン・ノッテン
  • 黄土色ベースのネックラインにあずき、紺色が配されたカーディガン。ドリス・ヴァン・ノッテン、フロント・ジッパー、2011-12AW
  • リース(Reissのピンクとライトグレーのストライプシャツ
  • ZARAの黒のニットタイ
  • ヘンツィ・マンのネイビーとプラムチェックのトラウザー
  • Univo U5C1 アイグラス

Qのマグカップと、腰につく認識票がとてもかわいい。

ジップ付きカーディガンは、ドリス・ヴァン・ノッテンです。

素晴らしい配色センス。

ショルダーからアームにかけての曲線の美しさ。

作品データ

作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス