グリーンティー
原名:Green Tea
種類:オード・トワレ
ブランド:エリザベス・アーデン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:1999年
対象性別:女性
価格:50ml/3,800円、100ml/5,500円
コスパ最強のティーフレグランス

©ELIZABETH ARDEN

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1878年12月31日にカナダ・トロント近くの貧農の娘として生まれ育ったフローレンス・ナイチンゲール・グレアムが、ニューヨークに出て、素性を隠し、5番街にあるエレノア・アデールのアンチ・エイジングの美容室のレジ係として働くようになったのは1907年のことでした。
そして、美容クリームの発明者であるエリザベス・ハーバードと出会い、1910年にトータルビューティのはしりとなるサロンを5番街の一角にオープンしました。この時から彼女はエリザベス・アーデンを名乗るようになりました。
広告コピーや商品名で人々を魅了するセンスに長けていた彼女は、ここから美容帝国を築いていくことになるのですが、とにかく謎の多い人物です。
そんなエリザベス・アーデンという化粧品ブランドの知名度を日本で一躍高めたのが、1999年の世紀末に発売されたフレグランス「グリーンティー」でした。「ル マル」で彗星の如く現れたフランシス・クルジャンにより調香されました。
冷蔵庫にキンキンに冷やして、飲むように浴びたいお茶の香り

©ELIZABETH ARDEN

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「グリーンティー」に先立つ7年前の1992年に、ジャン=クロード・エレナにより、史上初めてのティーフレグランス「オ パフメ オーテヴェール」がブルガリより発売されました。
すぐに「トミーガール」「シーケーワン」といった後発のティーフレグランスが発売され、その流れを汲み、コストパフォーマンスの良さで、「グリーンティー」は今も根強い人気を誇っています。
多くの人々にとって、ラーメンと言えば、1000円近くする手作りラーメンだけでなく、インスタントのサッポロ一番塩ラーメンが安定の美味しさであるように、バタークッキーと言えば、エシレのバターサブレではなく、ミスターイトウのバタークッキーで十分な時があるように、この香りは、最上級のティーフレグランスやリセット・フレグランス(「ガイアック10」のような)でなくても、お茶漬けの味のような〝気安くリセットする〟感覚を求めるときの絶好な香りと言えます。
ただ安いだけでなく、静謐なる竹林を思わせるグリーンの匂いと、小川の清流に冷やされたレモンの輝き、よく冷えた緑茶ののど越し、そういったものが絶妙なバランスでひとまとめになっている〝お茶の香り〟。それは、エネルギッシュなレモンを中心としたピリっとした柑橘類と、ミントとルバーブの透き通るような煌めきからはじまります。
すぐに、まずは温められ、そして冷えてゆき、円やかにフレッシュに広がるグリーンティーの茶葉のほのかな苦みに全身が包み込まれてゆきます。お茶の香りの唯一無二な感覚とは、洗い流してくれる、または洗い清めてくれる、つまりは、外側からではなく、内側から、色々な心の澱みを流してくれるところにあります。
やがて、ふんわりと甘いジャスミンとスパイスの効いたカーネーションが、心地よく、グリーンティーに添えられていくのです。特に、隠し味としてフェンネル(ウイキョウ)が効いており、あくまでも軽やかな甘くて苦いグリーンアロマの余韻で、朝の目覚めの一杯のような気持ちの高まりを感じさせてくれます。
この香りのもうひとつの面白さは、この香りを使った後で、「オ パフメ オーテヴェール」を使うと、その繊細さに驚かされる点にあります。インスタントラーメンの素晴らしさは、改めて手作りラーメンを食べる時に、その魅力を再認識させてくれる点にもあるのですが、それと同じです。
冷蔵庫で冷やして使う人が多い、飲むように浴びるティー・フレグランスの代表格です。
広告キャンペーンにはキャサリン・ゼタ・ジョーンズが起用されていました(初代は、アンバー・ヴァレッタでした)。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ちょっと理解に苦しむのだけど、どうしてエリザベス・アーデンは1999年にグリーンティーのフレグランスを発表しなきゃならなかったのか」
「その6年前にはブルガリの「オ・パフメ オーテヴェール」がこの特殊なスタイル―空気のように軽いレモン様のフローラルがグリーンティーになるーを確立しているというのに」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:グリーンティー
原名:Green Tea
種類:オード・トワレ
ブランド:エリザベス・アーデン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:1999年
対象性別:女性
価格:50ml/3,800円、100ml/5,500円
トップノート:ペパーミント、レモン、オレンジピール、ベルガモット、ルバーブ
ミドルノート:スイートジャスミン、カーネーション、フェンネル、ホワイトアンバー
ラストノート:グリーンティー、キャラウェイ、セロリシード、オークモス、ムスク、クローブ