エリザベス・テイラー

エリザベス・テイラー8 『バターフィールド8』3(3ページ)

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作品名:バターフィールド8 BUtterfield 8 (1960)
監督:ダニエル・マン
衣装:ヘレン・ローズ
出演者:エリザベス・テイラー/ローレンス・ハーヴェイ/ダイナ・メリル/エディ・フィッシャー/スーザン・オリバー



リズ・テイラーとダイナ・メリル

見事なまでのトラペーズライン・コートです。

印象的なパネル・ショルダー。当時の夫エディ・フィッシャー(No.4)。

リゲットの妻との遭遇。そのエレガントさに圧倒されるグロリア。

一分の隙もないリゲット夫人のスタイリング。演者はダイナ・メリル(本物のアメリカ上流階級出身)。

こちらは本編とは違う、ミンクコートを着るリゲット夫人。恐ろしいまでの格の違い。

グロリア・ルック9 ウールスイングコート
  • オレンジのトラペーズラインのウールスイングコート、厚手、大きなオレンジボタン
  • 黒のレザーグローブ
  • 黒のレザーハンドバッグ
  • 黒のレザーパンプス

最も残酷なシーンともいえるのがこのトラペーズラインコートのシーンです。初めて本気で愛した男性の妻と遭遇し、その圧倒的なエレガンスを前にして、グゥの音も出ずに、自分自身が、他人のミンクのコートを着て悦に浸っていた低劣さを骨の髄まで思い知らされるシーンです。それはファッションの魔物について教えてくれる貴重なシーンとも言えます。

それはハリウッドの女帝リズ・テイラーと、社交界の名士が女優をしているようなダイナ・メリルとの資産家(総資産50億ドル以上、ちなみにこの後リズ・テイラーが『クレオパトラ』で獲得するギャランティが100万ドル)としての格の違いを冷酷なまでに示しているシーンとも言えます。

ファーとは気品が伴わなければ、それはコールガールの象徴にしかなり得ないということです。それはシューズに関してもいえることなのですが、クリスチャン・ルブタン・クラスの販売員の友人からよく聞く言葉を借りれば、「歩き方で、大抵の女性の背景は分かる」ということなのです。ファーとピンヒールは、女性を裸にするファッション・アイテムなのです。



総資産50億ドルを持つ女優ダイナ・メリル

リズ・テイラーさえもその資産と美貌により一目置いた女優ダイナ・メリル。

ダイナは本気で女優になりたかったにもかかわらず、その資産ゆえに同じような役柄ばかりあてがわれました。

リムジンから出てくるシーンのあの笑顔。グロリアが圧倒される上流階級スマイル。グレース・ケリーと同じ類の気品です。

リゲット夫人のスカートスーツスタイルは、魅力的であるという次元を超えた本物の持つオーラに満ち溢れています。グレーのスカートスーツの上に茶色のミンクのストールを緩やかに羽織り、黒のハイヒールパンプスを履いて軽やかに歩くその姿。そこに白手袋、ハンドバッグ、二連真珠、金のチェーンバッグといった当時の上流階級の奥様の4種の神器のアンサンブル。もう言葉もありません。

この作品のファッション的な特色をひとつ挙げるとするならば、出演者のほぼ全員が、パールのネックレスを上手くファッションに溶け込ませている点です。それはリゲット夫人の母親や、グロリアの母親の親友にいたるまでです。



1960年1月11日号のライフの表紙を飾るダイナ・メリル

1960年1月11日号のライフの表紙を飾る。

その中のグラビア・ショット。圧倒的な洗練です。

ダイナ・メリル(1923-2017)は173cmの長身にクール・ビューティーな容姿を持つ女優さんなのですが、彼女に唯一の欠点があるとするならば、庶民を演じることが出来なかったことでしょう。アメリカ有数の資産家の娘として生まれ、一貫して50億ドル以上の資産を持つハリウッド一裕福な女優の地位に君臨した彼女は、その人柄云々の前に、有り余る資産ゆえに、慈悲に満ちた女性としてハリウッドスター達からも一目置かれた存在でした。

この作品におけるダイナの一挙手一投足は、等身大の上流階級の女性の優雅さが、映像に反映させている役柄ですので、全ての物腰が現代女性にとっては新鮮かつ参考になることでしょう。

この部屋着もとても美しく、フローラルプリントされています。

良くも悪くも女優らしさのない人。

ヘレン・ローズでさえもダイナ・メリルの衣装デザインには、違う意味で神経を配ったと回想しています。それは本物の上流階級の女性だからこそ、ごまかしが利かないという意味においてです。



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