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『トゥルー・ロマンス』Vol.5|クリスチャン・スレーターとM65フィールドジャケット

その他の男優たち
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クラレンスのM65が、モードミリタリーを生み出した。

この作品の撮影がはじまる初日に、監督のトニー・スコットは、クリチャン・スレーター(1969-)が、クラレンス像をまだまだ掴みきれていないと感じました。そしてクリスチャンに『タクシー・ドライバー』のビデオテープを渡しました。

クラレンスは、ロバート・デ・ニーロが演じたトラヴィスと同じくM65フィールドジャケットを着ているのですが、実は彼は二種類のM65を着ています。

一つ目のM65は、使い古しの伍長の階級章のついたもので、どうやら叔父さんがベトナム帰還兵で、譲り受けた大切なものでした。

一方もうひとつのM65は、ドレクスルと戦う時に着ているもので、沢山のワッペンが付いており、彼の世代のストリート着として改造されたものでした。この作品におけるクラレンスの最も素晴らしいスタイリングとして、このジャケットを挙げるべきでしょう。それは若者の特権としてのミリタリー・スタイルの楽しみ方の提案なのです。

20代の季節にだけ許される、ミリタリーにカワイさを投入するゆとりっぷりが、大人の男子のミリタリーとの無骨な向き合い方に対するアンチテーゼになっています。

この〝クラレンスが着るM65〟の登場により、多くのラグジュアリー・ブランドのファッション・デザイナーは、ミリタリー・テイストに、遊び心を付け加えていく勇気をもらうことになりました。まさにモードミリタリーはここから始まったのでした。

是非、若い男子にして欲しいスタイリングです!若い子にならワッペンが沢山ついていてもオシャレなはず。

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クラレンス・ウォリーのファッション3

ミリタリールック
  • M65フィールド・ジャケット
  • ブルーのフーディパーカー
  • グレーの格子柄のフランネルシャツ
  • 黒のカットソー
  • チャコールグレーのデニムジーンズ
  • シルバーのエルヴィスサングラス

一着目のM65は、使用感たっぷりです。

ソニー千葉の映画を観た後、カラテごっこする二人。腕には伍長の階級章が見えます。

二着目の派手なM65。ここで初めてエルヴィス・サングラスも登場する。

ブラッドチット(戦闘員人物証明書)も背中にちゃんとあります。

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クラレンス・ウォリーのファッション4

レザージャケット
  • ブラックレザージャケット、シングル
  • ネオンオレンジ色のフーディパーカー
  • パープルの格子柄のフランネルシャツ
  • 黒のカットソー
  • リーバイス501 オリジナルフィット
  • ブラックブーツ

クリスチャン・スレーターは、クラレンス役の役作りとして、表情の作り方などを『シャイニング』(1980)のジャック・ニコルソンから多くのインスピレーションを得ていました。

デニス・ホッパーの出演が、父と子の関係に現実味を与えました。

このシーンだけレザージャケットを着ているクラレンス。

ここでは、ネオンオレンジ色のフーディパーカーを着ています。

90年代の若者らしく下にはフランネルシャツを着ています。

パープルピンクキャデラックの上の二人。

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ラスヴェガスを経由して、さらにエルヴィス化していくクラレンス

厳寒のデトロイトから、温暖なロサンゼルスへと移動する二人。

ファッションも一気にパステルカラーへと変わってゆきます。

ここで登場するパープルピンクキャデラック(エルドラド74年型)は、ハリウッドでこのキャデラックを目撃したトニー・スコットが、「この作品には、この車しかない!」とナンバープレートを控えておき、後日映画撮影のためにそれを購入させたものでした。そして、撮影終了後にこの車はパトリシア・アークエットにプレゼントされました。

デトロイトからラスヴェガスでバカンスを楽しんだクラレンスとアラバマは、ファッション・テイストが一変します。アラバマは、バービーガールに、クラレンスは、より本格的にエルヴィス・プレスリー化していくのでした。

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クラレンス・ウォリーのファッション5

ボーリングシャツ
  • ターコイズブルーのボーリングシャツ、半袖、右胸に三つのダイヤモンド、フロントボタン
  • 半袖のホワイト・アンダーシャツ
  • リーバイス501 オリジナルフィット
  • ホワイトバックス
  • シルバーのエルヴィス・サングラス、プラスチック製にメタリック塗装

電話ボックスで愛し合う二人。デトロイトでは考えられない解放感を満喫しています。

ボーリングシャツの三つのダイヤモンド。

1950年代に流行したホワイトバックス。

エルヴィス・サングラス

同じサングラスを『キル・ビル Vol.1』(2003)のユマ・サーマンがつけることになります。

本家エルヴィス・サングラス

本家エルヴィス・サングラス

そして、エルヴィスが愛用したホワイトバックス。

作品データ

作品名:トゥルーロマンス True Romance(1993)
監督:トニー・スコット
衣装:スーザン・ベッカー
出演者:クリスチャン・スレーター/パトリシア・アークエット/ブラッド・ピット/ゲイリー・オールドマン/デニス・ホッパー/クリストファー・ウォーケン/マイケル・ラパポート