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ゲイリー・オールドマン1 『トゥルー・ロマンス』6

    作品名:トゥルー・ロマンス True Romance (1993)
    監督:トニー・スコット
    衣装:スーザン・ベッカー
    出演者:クリスチャン・スレーター/パトリシア・アークエット/ブラッド・ピット/ゲイリー・オールドマン/デニス・ホッパー/クリストファー・ウォーケン/マイケル・ラパポート

    自分を黒人と思っている白人ドレクスル・スパイビー

    最後に『トゥルー・ロマンス』と言えばこの男の存在は外せない。

    かつてシド・ヴィシャスを演じ、ウィンストン・チャーチルを演じ、オスカーを獲得した男。ゲイリー・オールドマンです。

    左は当時43歳だったサミュエル・L・ジャクソンです(彼自身も熱烈なるソニー千葉のファン)。そして、勿論秒殺されます。

    オールドマンは、ニューヨークのミート・パッキング・ディストリクトのゲイボーイの着こなしを参考にしました。

    そして、この異様な顔面部の傷と、牙一族のような牙飾り。

    しかも片目は失明しているのです。

    いつ見ても素晴らしいこの肩の落ち感。

    リック・オウエンス風パンツ。

    ドレクスル・スパイビー・ルック1
    • 紫色のシャツ、ネオン柄
    • ブラックサルエルパンツ
    • 獣の牙のネックレスを重ねづけ
    • 獣の牙のブレスレット

    「母親がアパッチだった」であり、父親は黒人だと思い込んでいる男ドレクスル・スパイビーが登場する。

    ウィリー・ワン・ブラッド

    ゲイリー・オールドマン(1958-)は、トニー・スコットとビバリーヒルズのフォーシーズンズでお茶を飲みながら、「キミに演じてもらいたい役は、自分自身のことを黒人だと思い込んでいる白人で、コイツは人を殺すことはなんとも思わないポン引きなんだ」と聞き、大笑いしながらオールドマンは即決で役柄を引き受けたのでした。

    そして、彼は、白人のレゲエシンガー、ウィリー・ワン・ブラッド(後に『レオン』(1994)で共演する)のスタイルを参考にし、彼自身のアイデアでドレクスル・スパイビーの全ての外観を作りあげていきました。ドレッドロックスに顔面の傷、金をかぶせた歯にストリート・ファッションです。

    早速、ドレッドロックスのウィッグを『ドラキュラ』(1992)のウィッグを作ってくれたスチュアート・アーティンストールに依頼し、48時間で製作してもらいました。さらに役作りのために、オールドマンはこの時『蜘蛛女』を撮影しており、ブルックリンにいたので、ドレクスルの台詞を、何人かのストリートの若者に見せて、「こんな話し方するかな?」とセリフや話し方のチェックをしていました。

    撮影当日にはじめてドレクスルになったオールドマンを見たトニー・スコットは、「私が求めていたのはこれなんだ!」と大絶賛しました。更に、ここからが、オールドマンらしいのですが、当時70歳だった自分の母親を毎日セットに連れてきて、自分の演技について、意見を聞いていたのです。

    ブラック&ホワイトミックスのさきがけ

    クラレンスがドレクスルの売春宿を訪れるシーン。箸を持ち中華を貪るドレクスル。

    『ワンピース』にも大いなる影響を与えたドレクスル。

    カンゴールのベレー帽は、後にタランティーノ監督の『ジャッキー・ブラウン』でサミュエル・L・ジャクソンもかぶっています。

    レオパルド柄のガウンの下は白のトランクスです。

    このスタイルこそ、ブラック&ホワイトミックスの元祖。

    カットされたのでしょうか、子犬を抱いているドレクスル。

    ドレクスル・ルック2
    • 黒のカンゴールのレザーベレー
    • レオパルドロングコート、ブラック・サテンのショールカラー
    • 白のトランクス
    • ブラウンのレザースリッポン
    • 獣の牙のネックレスを重ねづけ
    • 獣の牙のブレスレット

    マーティ、こいつを知ってるか?チャールズ・ブロンソンだぜ。そう、ミスター・マジェスティックのお出ましさ!

    ドレクスル・スパイビー

    トランクス一丁にレオパルド柄のロングガウンにブラックレザーベレーという強烈にパンチの効いたピンプ像は、ひとつのアンダーグラウンド・スタイル・アイコンとして不動の地位を高めました。

    そして、僅か10分にも満たないこの作品のドレクスルが、映画史上において、白人が黒人ファッションをどんどん取り入れていく風潮を加速するきっかけを生んだのでした。1993年以降、ファッションシーン及び映画&ミュージック・シーンにおいて「黒人と思っている白人」が増殖するようになりました。

    2011年のアメリカン・フィルム・インスティチュートとのインタビューで、オールドマンは、「私のお気に入りの役柄は、『JFK』(1991)のリー・ハーヴェイ・オズワルドとドレクスル・スパイビーでした」と答えています。ファッションが人種の壁を取り除いた瞬間でした。


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