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ブリジット・バルドー11 『セシルの歓び』1(3ページ)

ブリジット・バルドー
ブリジット・バルドー
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作品名:セシルの歓び À coeur joie(Two Weeks in September) (1967)
監督:セルジュ・ブールギニョン
衣装:アルレット・ナスタ/ピエール・カルダン
出演者:ブリジット・バルドー/ローラン・テルジェフ/マイケル・サーン/ジャン・ロシュフォール

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バルドーのスウィンギング・ロンドン

60年代のポップセンスに満ちた公開当時のポスター。

バルドーは実生活においても、白檀のキャンドルをつけて何時間も入浴する人でした。

『シベールの日曜日』で大成功を収めていたセルジュ・ブールギニョンが、スコットランドでロケし、ローラン・テルジェフと共演する『九月の二週間』と仮題がつけられたつまらない作品の話が来ていた。・・・ブールギニョンは気に入らなかったが、つぎにジョゼフ・ロージーが監督したがっている『鱒』を読んで、食指を動かされた。・・・だが、『鱒』はぽしゃり、私は『九月の二週間』のシナリオを読み直し、修正し、タイトルを『心ゆくまで』と改題して出演を決めた。この題名は気に入っていたが、作品のほうはいまいちだった。

ブリジット・バルドー

この作品の撮影に入る寸前の1966年7月14日に、ブリジット・バルドーはラスベガスでドイツの大金持ちの御曹司であるギュンター・ザックスと結婚しました。しかし、夫の不実等で、早々に新婚気分も消えうせ、マリッジ・ブルーに浸っていた時期に撮影に望んだこの作品は、バルドーにとって「まったくどうでもいいと思っていた」作品でした(ギュンターとの結婚生活についてバルドーは「二年間の結婚生活を通して、私は彼と過ごしたのは合計して三ヶ月程度であろう」と語っています。)。

映画の撮影には楽しい思い出も、心温まる思い出もなかった。

ブリジット・バルドー

しかし、バルドーの気持ちがどうであれ、フランスを代表する舞台劇の天才俳優ローラン・テルジェフ(1935-2010、どこかベニチオ・デル・トロに雰囲気が似ています)がその才能を持て余しているかったるい演出であろうとも、ブリジット・バルドーがスウィンギング・ロンドンを着たという一点において、この作品は、今もなおファッション・ムービーの頂点に君臨しているのです。

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60年代はブリジット・バルドーの時代だった。

撮影時、バルドーは、ボラボラ島の新婚旅行帰りでした。

どこか野球拳をしそうな楽しげなムード。

60年代といえば、ミニスカートにゴーゴーブーツ!

セシル・ルック1 ボーダーミニドレス
  • 薄紫とオレンジのボーダーミニワンピ、ロングスリーブ
  • ゴーゴーブーツ

巴里祭(7月14日)にゴーゴーを踊るブリジット・バルドーの姿からはじまるこの作品は、60年代のスウィンギング・ロンドン・スタイルで、オープニングから疾走するのですが、ピエール・カルダンのウエディング・ドレスが登場してから、急激に、全てがスウィンギングしなくなります。

しかし、このバルドー・ルックを見ていると、彼女がタイムレスな理由が良く分かります。つまり彼女こそが、60年代ファッションを体現していた女優ということなのです。

確かに、60年代前半は、オードリー・ヘプバーンの『ティファニーで朝食を』や『シャレード』のジバンシィ・ルックがファッションシーンの中心でした。しかし、60年代半ばになるとファッション・アイコンの座は、完全にブリジット・バルドーへと移行していったのでした。

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親友パトリシアのファッションにも注目!


セシル(ブリジット・バルドー)の親友のファッションモデル・パトリシアを演じるジョージナ・ウォード(1941-2010、イギリスの舞台女優ですが、ソルボンヌ大学で勉強していたので、フランス語はペラペラだった)のファッションもまた魅力的です。カラーブロックミニドレスがとても60年代的でステキです。

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これぞBBスタイル=ニット×スエードパンツ

物語のはじめと後半に登場するカジュアルなパンツルック。

ベルトだけが時代を感じさせるハトメの太ベルト。

極めて60年代的なのはベルトとブーツのロックテイストによるものです。

バルドーの魅力は、パンツルックのカッコ良さにもあります。

60年代の男は、スーツスタイルがクールでした。

セシル・ルック2 ロックテイスト・パンツルック
  • グレーニット、ロングスリーブ
  • 黒のハトメ太ベルト
  • ブラウンのベルベットパンツ
  • ブラウンレザーブーツ

1966年9月にスコットランドからはじまった撮影は、2週間のロンドンロケをピークに、僅か数日のパリ撮影によって終了しました。そして、この頃、世界はまだフレアパンツの時代ではありませんでした。だから、バルドーのパンツルックもフレアではありません。ただし、60年代後半から爆発するロックテイストの萌芽がすでに見て取れます。