オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン36 『マイ・フェア・レディ』4(2ページ)

    作品名:マイ・フェア・レディ My Fair Lady (1964)
    監督:ジョージ・キューカー
    衣装:セシル・ビートン
    出演者:オードリー・ヘプバーン/レックス・ハリソン/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト



    その夜、オードリーはキャリア最高の夜を迎えた。

    1965年(第37回)アカデミー主演女優賞を獲得したジュリー・アンドリュースを激励するオードリー。右後ろにシドニー・ポワチエ。

    白黒なので分かりにくいが、オードリーは白色、ジュリーは黄色のドレスを着ています。

    ジュリーのオスカー像が落っこちないように優しく手を添えるオードリー。

    舞台版では共演した二人が違う作品で、同じ年の主演男優・女優賞を分け合う奇跡!

    オードリーはアカデミー主演女優賞にノミネートされませんでした。

    内心の悔しさを笑顔に変えることが女をより格上げする原動力になるのです。

    1965年4月5日、アカデミー賞の授賞式が行われました。1964年の話題作は、『マイ・フェア・レディ』一色でした。しかし、時代の新たなミューズは、3月から公開され大ヒットしていた『サウンド・オブ・ミュージック』の主人公であり、『メリー・ポピンズ』の主演を演じたジュリー・アンドリュースでした。他の部門においてはあらかたノミネートされている中、オードリーが主演女優賞にノミネートされていないという異常事態の中、彼女に役柄を奪われたと、世間から同情されていたジュリーは、アカデミー主演女優賞を獲得したのでした。

    そんな中、この年、脳卒中で倒れた、前年度アカデミー主演女優賞の受賞者であるパトリシア・ニール(オードリーとは『ティファニーで朝食を』で共演)に代わって、主演男優賞のプレゼンテーター役を、グレゴリー・ペック(『ローマの休日』で共演)から頼まれます。その申し出を快諾したオードリーは、この日、ジバンシィのAラインのイブニング・ガウンに、64年に購入したばかりのカルティエのダイヤモンドとエメラルドとブルー・サファイヤのイヤリングに、エルメスのロンググローブというシンプルなスタイルで現れました。そして、見事主演男優賞を獲得した共演者のレックス・ハリソンにオスカー像を手渡すのでした。

    この時のレックスのスピーチが圧巻でした。彼は「Two for Lady」とオードリーとジュリーに感謝したのでした。そして、何よりも隣で微笑むオードリーの美しさこそが、『おしゃれ泥棒』(1966)では見る影も無くなる、オードリーの若さと成熟の狭間の美の真骨頂だったのです。『マイ・フェア・レディ』の撮影はセシル・ビートンの日記を読むまでもなく、オードリーにとって生命力を削らせるような大変なものでした。この作品の後のオードリーは急激に老けていきます。それくらいに、彼女にとって、この作品は、命をかけた作品だったのです。

    逆に言うと、30代半ばに突入しようとする自分自身の容姿の急激な衰えを知ったオードリーが、総決算を生み出そうと全力投球した作品だったのです。だからこそ、このオスカーナイトにおけるオードリーの姿は、とてつもない気品と若々しさと美しさに満ち溢れているのです。1965年のオスカーナイトは、ジュリー・アンドリュースのためではなく、オードリーのための夜だったのです。たとえ彼女が、ノミネートされなくとも、そんなことは全く重要ではないと感じさせるほどに彼女は輝いていたのです。



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