ブリオーニ、チャーチ、オメガ・・・そして、Q、マネーペニー
新しく五代目になったジェームズ・ボンドのレザーシューズは全てチャーチです。スーツはブリオーニ、腕時計はオメガ、そして、ボンドカーはBMVと、全てかつてボンドが愛した物ではない時代に即したブランド品を身に付けています。
そして、Mとマネーペニーも新しくなりました。しかし、ここにひとつだけ古き昔からの伝統が残されていました。Qの存在です。この作品にとって、Qの存在は、最重要と言い切ってもいいほどのものでした。
ショーン・コネリーの時代から2作品(『007 ドクター・ノオ』『007 死ぬのは奴らだ』)以外の全てに出演してきた彼の存在があり、いたずらっ子のようなボンドの姿をお披露目したときにはじめてボンドは、ボンドの座を継承することが出来るのでした。
ジェームズ・ボンド・スタイル6
チャコールグレースーツ
- ブリオーニ、チャコールグレー、ブルーウィンドウペーンウールスリーピーススーツ、シングル、ノッチラペル、低めの3つボタン、ダブルベンツ、チケットポケット、6つボタンのシングルベスト、ダブルリバースプリーツパンツ
- ブルーシルク・ポケットチーフ、パフドスタイル
- Sulka(シュルカ)、ホワイトコットンドレスシャツ
- Sulka、赤と黄色の複雑な柄の入ったダークブルー・タイ
- チャーチのブラックのディプロマット
- オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00
ステレオタイプなアメリカ人キャラ
『007 リビング・デイライツ』で、敵役ブラッド・ウィティカーを演じていたジョー・ドン・ベイカー(1936-)が、サンクトペテルブルクでボンドを助けるCIA局員として登場します(『突破口!』の冷酷非情の殺し屋はサイコーでした)。
英国人が連想する、ファッションセンスとは無縁のステレオタイプなアメリカ人キャラを演じています。そして、こういったキャラにこそ、スタイリングに対する地雷を踏まないためのおさらいの機会は存在するのです。
- ウシャンカ・・・バランスを考えずにその国特有のものをとにかく身に付ける
- しわくちゃのコート・・・上質な生地と手入れの重要性(特に現在では、コスパが良いといって、ゴミ袋のような服を着ている人が多い)
- ウインドペーンのグレースーツ・・・いかにも量販店で購入した感がすごい
- オレンジ色のしわしわのシャツ・・・上質なシャツは基本的にしわになり難い(もしくはしわが美しい)
- 派手なネクタイ・・・女性ほどネクタイを見ている種族はいない
ジェームズ・ボンド・スタイル7
ウールコート
- ブリオーニ、ネイビーブルーのウールコート、ノッチラペル、シングルベント、低い3つボタン
- ブラック・レザー・グローブ
- ブリオーニ、チャコールグレー、ブルーウィンドウペーンスリーピーススーツ、シングル、ノッチラペル、低めの3つボタン、ダブルベンツ、チケットポケット、6つボタンのシングルベスト、ダブルリバースプリーツパンツ
- ブルーシルク・ポケットチーフ、パフドスタイル
- Sulka(シュルカ)、ライトブルーウーブンシャツ
- Sulka、赤と黄色の複雑な柄の入ったダークブルー・タイ
- チャーチのブラックのディプロマット
- マザーオブパールの正方形のカフリンクス
- オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00
アラン・カミングのパーカーの着こなし
フラットな紺色のパーカーの上に、薄手のVネックシャツを重ねています。90年代のオタク文化の中で、大流行した〝重ね着スタイル〟です。
コレ、何の変哲もないユニクロのパーカーで試してみたらとんでもないモードパーカーに化けそうです。それにしてもこのピースシャツがとんでもなくカワイイです。
イタリアンスーツは殺しのライセンス
60年代においてもイタリアンスーツはすでにクールでした。現在、一周してショーン・コネリー時代のスーツが流行するようになりました。だからこそ、サヴィル・ロウよりもよりモダンな生地を使い、効率的なスキルを持つイタリアのスーツブランドに仕立てをお願いしたのでした。
リンディ・ヘミングス
この作品の成功は、どこまでも愚直にイタリアンスーツ姿で戦うジェームズ・ボンド像にありました。そして、ピアース・ブロスナンからボンドムービーに夢中になった人たちにとって、ボンドとはスーツを着て戦う男の理想であり、スーツに対する憧れを体現するアイコンになったのでした。
ちなみにこの作品は、ボンドが殺害したボディカウントが最も多い作品です=47人。
ジェームズ・ボンド・スタイル8
タンクスーツ
- ブリオーニ、ネイビースーツ、バーズアイ、スコフィールド&スミスの生地、ダブルベンツ、3つボタン、チケットポケット、ノッチラペル、シングル、ダブルリバースプリーツ・パンツ
- Sulka(シュルカ)、クリーム色のコットンドレスシャツ
- Sulka、ネイビーとゴールドの幾何学模様のネクタイ
- ブラック・レザーベルト
- ブルーシルク・ポケットチーフ、パフドスタイル
- チャーチのブラックのディプロマット
- オメガのシーマスター プロフェッショナル 2541.80.00
作品データ
作品名:007 ゴールデンアイ GoldenEye(1995)
監督:マーティン・キャンベル
衣装:リンディ・ヘミングス
出演者:ピアース・ブロスナン/イザベラ・スコルプコ/ファムケ・ヤンセン/ショーン・ビーン/アラン・カミング
- 【007 ゴールデンアイ】五代目ニュー・ボンド=ピアース・ブロスナン登場。
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.1|五代目ボンド=ピアース・ブロスナン登場
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.2|ブリオーニを着るピアース・ブロスナン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.3|イタリアンスーツがニューボンドの戦闘服
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.4|ピアース・ブロスナンとオメガとBMW
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.5|サンローランの赤リップの殺し屋=ファムケ・ヤンセン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.6|ニューM=ジュディ・デンチとファムケ・ヤンセン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.7|KENZOを着るイザベラ・スコルプコ