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『トゥルー・ロマンス』Vol.3|ナイスボディじゃない女性の守護神 アラバマ・ウィットマン

その他の現代の女優たち
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ナイスボディじゃない女性が、10倍増しするスタイル

この作品のファッション史における偉大なる記録、それは1990年代のバービースタイルの記録でした。それは低身長で、スタイルが抜群に良いわけではない女性にとってのバービースタイル=10倍増し美人になるための実践方法としてのアラバマ・スタイルでした。

リアル・バービーのようなスーパーボディの女性が、バービースタイルで闊歩している姿はとても魅惑的ですが、生活観が感じられず、ただマネキンが歩いているようにしか見えず、非現実的過ぎて、すぐに飽きてしまうきらいがあります。

スタイルを創造するということは、物語を全身を使って一瞬で伝えることなのです。両親はろくでなしで、栄養状態も良くなく低身長で、喫煙者で、人が良く騙されやすく、幸運から見放され、コールガールにまで身を落としたアラバマ・ウィットマン。

彼女は、そんな不幸の中でも、雪のデトロイトでトゥルー・ロマンスを夢見て生きてきました。

ファッションとは、恵まれた容姿とステイタスを持つ人々の特権ではないと言うことを、私たちは忘れがちです。

物語のはじめに出てくる生気のない女性は、クラレンスと出会えなかった場合のアラバマの未来の姿のようでもありました。

お揃いのロカビリー・ファッションで憧れのハリウッドに到着する二人。

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アラバマ・ウィットマンのファッション5

ウエスタンルック
  • 赤のウエスタンシャツ
  • ターコイズブルーのブラトップ
  • 水色サングラス、ウェイファーラー
  • ホルスタイン柄のタイトハイウエストミニ
  • 水色のパテントの太ベルト
  • 水色のハートイヤリング
  • ブルーのカウボーイブーツ

左はクラレンスの幼馴染の親友ディック役のマイケル・ラパポート。

『トイ・ストーリー』のジェシーのようなウエスタン・ルック。

一パトリシア・アークエットの身長は156cmです。

エルヴィスルックとの相性は抜群です。

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フーディとミニワンピのコンビネーション

メキシカン・スタンドオフがはじまる瞬間。フードを被っているアラバマがとてもかわいい。

パープルピンクのキャデラックとバービーのようなアラバマ。

アラバマの最後のファッションこそが、彼女の特筆すべき3つのスタイル(1.カウボーイルック、2.バービー・レギンスルック)の決定版です。

キャンディピンクのポルカドットミニワンピースに白のハイヒールサンダル。そして、ターコイズブルーのフーディーパーカーというストリート・スタイルがとてもアイコニックです。90年代とは、パステルカラーの10年間だったのです。

当時の日本の女子高生たちも、ブリジット・バルドーのようなブラウンヘアー+濃いメイク+長いネイル+ミニスカートに、パステルカラーの小物とブランド品を手にして街中を闊歩していました。

あの時代、日本には、そういった若者達のストリートが存在したのです。

アラバマとは、90年代に10代~20代を過ごした当時のチョイワルギャル達にとっての、甘酸っぱい思い出の象徴であり、現在の30歳までの女性にとっては、ファストファッションをキュートにアレンジするヒントを教えてくれるヨーダなのです。

ちなみに最後の銃撃戦は、1989年に営業を終了していたロサンゼルスにあるアンバサダー・ホテルで撮影されました。かつてこのホテルで、1968年6月5日に大統領予備選を戦っていたロバート・ケネディが暗殺されました。そしてホテル自体は2006年に取り壊されました。

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アラバマ・ウィットマンのファッション6

ポルカドットワンピ
  • ターコイズブルーのフーディーパーカー
  • キャンディピンクの白ポルカドットホルターネックワンピ
  • 水色のハートイヤリング
  • ボーイフレンド・サングラス
  • 白のハイヒールサンダル

すごくかっこいいアラバマ。

オーバーサイズのフーディーパーカーをストールのように・・・

恐らくこのフーディーパーカーは、腰で結べる特殊な形だろう。

ターコイズブルーとキャンディピンクの相性は抜群です。

クラレンスのド派手なエルヴィス・サングラスとフード!

ブロンド×ターコイズブルー×キャンディピンク!

90年代とは、日本中のギャルたちも胸元をこのように強調していた時代でした。

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アラバマ・ウィットマンのファッション7

ビーチルック
  • ストローハット
  • トロピカル柄のホルターネックシャツ
  • アースカラーのデニムのカットオフパンツ

クエンティン・タランティーノの脚本では、最後にクラレンスが死に、アラバマは未亡人になる予定でした。しかし、ストーリーの流れに沿って、順番通り撮影されていく中で、監督のトニー・スコットは主人公の二人に愛着を抱き、助けてあげたいという気持ちになっていたのでした。

そして最終的に両者にハッピーエンドを迎えさせる決断をしたのでした(後日タランティーノはハッピーエンドで良かったと回想しています)。

最後には、メキシコに逃げ延びた二人が、エルヴィスと名付けられた息子と遊んでいる姿が映し出されます(ちなみにこの4歳の少年は、パトリシアの実の息子さんです)。

彼女は果たして念願のカンクーンへ行けたのだろうか?

当初タランティーノはハッピーエンドに大反対していました。

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全撮影が終了し、リラックスしているクラレンスとアラバマ

このアラバマ!!とてもカワイイ~です。

とても仲の良さそうな二人の表情がステキです。撮影中二人は本当に恋に落ちました。

最初にアラバマ役は、ドリュー・バリモアで予定されていました(当時ドリューはスランプからの脱出を図っていたが、スケジュールの都合が合わず)。そして、候補としてジュリエット・ルイス、ブリジット・フォンダ、ダイアン・レイン、キーラ・セジウィック、ジュリア・ロバーツが挙がっていました。ちなみに、ブルック・シールズはこの役柄を秘かに熱望していました。

ドリュー・バリモアは兎も角として、ダイアン・レインが演じるアラバマを見てみたかったです。ちなみにタランティーノが脚本を書いていた時の理想のアラバマは、ジョーン・キューザックでした。

作品データ

作品名:トゥルーロマンス True Romance(1993)
監督:トニー・スコット
衣装:スーザン・ベッカー
出演者:クリスチャン・スレーター/パトリシア・アークエット/ブラッド・ピット/ゲイリー・オールドマン/デニス・ホッパー/クリストファー・ウォーケン/マイケル・ラパポート