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カルバン・クライン

【カルバン クライン】トゥルース(ティエリー・ワッサー/アルベルト・モリヤス/ジャック・キャヴァリエ)

カルバン・クライン
©CALVIN KLEIN
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トゥルース

原名:Truth
種類:オード・パルファム
ブランド:カルバン・クライン
調香師:ティエリー・ワッサーアルベルト・モリヤスジャック・キャヴァリエ
発表年:2000年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:30ml/6,300円

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西洋のオリエンタルと東洋のグリーンが融合した香り。

©CALVIN KLEIN

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2000年にカルバン・クラインから発売された「トゥルース」は、当時、フィルメニッヒ社の若手調香師だったティエリー・ワッサーを、アルベルト・モリヤスジャック・キャヴァリエの二人のベテラン調香師たちがサポートするというドリームチームにより生み出された香りでした(ちなみに2002年に発売された「トゥルース フォー メン」はミシェル・アルメラックにより調香されました)。

この香りは、女性の温かい生肌に浸透する若草の香りのコントラストというテーマにより生み出されました。バンブー(竹)がメイン香料なだけあり、ししおどしの竹筒に水が溜まり、竹筒が頭をさげ、水は流れ落ち、空になった竹筒が元に戻る際に石を打つあのポンッとなる瞬間を連想させる香りとも言えます。

初夏の雨上がりの涼しいある日の日本庭園で、日本文化にとても興味のあるカルバン・クラインの国からやって来た女性が、浴衣を着て佇んでいる風景を連想してみましょう。

ベルガモットとレモンに唆されるように、緑の香りが流れるようにやってきます。そんな緑香に誘われるように、竹林の香りがどこからともなくやって来ます。異国から来たこの女性はその新鮮なグリーンノートに衝撃を受けます。まるで、心を透かして煌くような新緑の風です。

竹と水と石と庭園があれば、日本に来た目的は達成されたも同然と言わんばかりに、竹林に到着した彼女の心は、石の上に横たわり、山水に浸されていくのです。ベチバーとパチョリはそういった一連の儀式を支える裏方の役割を、最初から最後まで全うしています。

ししおどしがポンっと鳴り、竹林を抜けるとそこには、百合、ピオニー、(蜂蜜のような)ミモザ、ネムノキの花といった花々が静かに咲き誇る日本庭園があります。

そして、太陽の光を全身で浴びた彼女は、自身の肌の香りを解き放ちます。その生肌から立ち昇るサンダルウッドと(パウダリーな)アンバーの香りが、グリーンフローラルにクリーミーウッディーさ(西洋のオリエンタル)を対比させるように香り始めまるのです(バニラとムスクが間違いなくこの香りの異文化交流の仲介役を果たしています)。

どこまでも静寂を感じさせる空気の中、西洋の心が、日本の自然と同化していく、複雑な二面性をこの香りは伝えています。日本の香りと心(『スター・ウォーズ』シリーズや寿司、刺身、そして、禅を含め)に惹かれた、21世紀はじめの西洋人女性のための香りです。

だからこそ、2020年代の私たちがこの香りを身に纏うと、妙な、懐古的な気分に浸ることが出来る香りなのです。

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ティエリー・ワッサー覚醒前夜の香り

©CALVIN KLEIN

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最後に、若きティエリー・ワッサーに、二人の重鎮が「竹と西洋的なオリエンタルを対比させるとは大変なことにチャレンジするんだね」と言いながら、協力している姿を連想すると、より楽しくなる香りです。

カルバン・クラインの中でも最も売れなかった香りであり、ニッチ・フレグランスを楽しむ人々にとって、今こそ、再評価される可能性を秘めた名香のひとつとも言えます。

ティエリー・ワッサーは、この香りを作ることによって、あの忌まわしき「サルバドール ダリ プールオム」の呪縛より解き放たれたのかもしれません。

広告キャンペーンにはフランスのスーパーモデル、オーレリー・クローデル(1980-)が起用されました。ボトルデザインは、横たわる女性のシルエットからインスパイアされたものでした。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「愚かなほど気取ったネーミングと、ちぐはぐした広告イメージに足を引っ張られ、ヒットするには至らなかった。」

「清潔感漂うシンプルなボトルのせいで、大層清潔な香りを想像してしまう。たいていの真実が単純ではないように、このフレグランスも、単純な香りではない。まず、印象的だったのは、複雑なトップノートの衝撃的な調和と透明感だった。その後、トゥルースはドライダウンまで、並列する2つのアコードの均衡を保っていく。」

「エスティ・ローダーの秀逸でありながら、これまたあまり売れなかった「ダズリング シルバー」(1998)に似た、グリーンでシャープな花屋の香りのフローラルアコードが上層で、クリーミーなウッディオリエンタルのアコードが下層で香る。このアコードのおかげで、フレグランスが派手になり過ぎずに、落ち着いた香りになっている。」

「80年代前半の、「イボワール」などの石鹸調のフローラルの香水を、よりモダンで、透明感のあるものとして再現しようと試みたのだと思う。結局、対象となった購買者層には、あまりに複雑で、あまりに成熟し過ぎていたのだろう。とはいえ、本当によい香水だ。 」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:トゥルース
原名:Truth
種類:オード・パルファム
ブランド:カルバン・クライン
調香師:ティエリー・ワッサーアルベルト・モリヤスジャック・キャヴァリエ
発表年:2000年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:30ml/6,300円


トップノート:バンブー、クローバー、ベチバー、ベルガモット、レモン、パチョリ
ミドルノート:百合、ピオニー、サンダルウッド、ミモザ、ネムノキの花、ブラックベリー
ラストノート:ムスク、バニラ、ホワイトアンバー