〘緊急〙カイエデモードを応援する

カイエデモードをご愛読いただいているみなさまに、ご一読していただければ幸いです。|2026年5月15日

詳細ページへ

レーヌドゥヴェール|10年早すぎたクワイエット・ラグジュアリーなフレグランス

セルジュ・ルタンス
セルジュ・ルタンス
この記事は約4分で読めます。

レーヌドゥヴェール

原名:Laine de Verre
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/8,800円、100ml/14,300円

スポンサーリンク

10年早すぎたクワイエット・ラグジュアリーなフレグランス

©Serge Lutens

冬の寒さに身を染め尽くされて初めて、ガラスの王は武器を置き、羊毛の貴婦人の足元に、自身の身に霜が降り積もった花やシダを捧げにやって来た。

セルジュ・ルタンス公式サイトより

2010年2月(日本発売は同年4月から)に、セルジュ・ルタンスから〝アンチ・パフューム〟のコンセプトで、最も安いエントリー・プライスのコレクションとして『ルタンスの水(ロー)』コレクションの展開が開始されました。

その第三章として2014年2月に発売されたのが「レーヌドゥヴェール」でした。フランス語で〝ガラスのウール〟を意味します。〝ガラスのウール〟とはグラスウールのことです。それはグラスファイバーの一種であり、断熱材として主に使用されるものです。

そんな変わった名を持つこの香りは、アルデハイドが呼び覚ますメタルと、カシュメランが呼び覚ますカシミアという相反する素材感を素肌の上で同時に感じさせる香りです。

ルタンス曰く「私の女性性と男性性の間の家庭内争い」を表現している香りとして、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。

スポンサーリンク

あまりに早すぎた「AIのために作られたような香り」

私にとってムスクとは、官能性であり、動物的な香りであり、人を魅了するものです。その香りは、最も力強いものから最も爽やかなものまで多岐にわたります。「レーヌドゥヴェール」においては、金属的な空虚感という印象で具現化しています。

セルジュ・ルタンス

超音速コンコルドが、氷で作られたアイスキャッスルを突き破るように、メタリックなアルデハイドが、氷結されたホワイトムスクと衝突し、溶かしていくような感触からはじまります。実際のところ、この香りは、相反する香りの衝突ではなく、ひとつの物体が氷から水へ変わる過程を〝きらめき〟により感じさせてくれます。

それはまるで雪の冷たさが、水の温かさに変わっていくように、「自然の不思議さ」を、爆発するソーピィーさにより香りで表現しているようです。すぐにフレッシュなオレンジ×レモンとコリアンダー、ミントが注ぎ込まれ、シュワシュワと弾ける苦くて青々しい爽快感に満たされてゆきます。

そしてうっとりするようなカシュメランとムスクの奥から、淡いピンクのピュアローズがほんのりと花びらを開かせ、早春の山の小川のほとりで、雪解け水に裸足の足先が触れるような、とても贅沢なミネラル感で満たされていくのです。

洗い立ての何かではなく、とことんシンプルに、自然が生み出す清潔感を、冷たさと温かさのコントラストによって、素肌に転写していくような、10年早すぎたクワイエット・ラグジュアリーなフレグランスと言えます。

もしこの香りが、普段フレグランスを使わない人に向けて、エルメスやシャネルが、ブティックのVIP顧客限定で売り出したら、またはカルティエやグラフがダイヤモンドの香りとして売り出したら、たとえ10万円でも易々と世界的に売り切れたでしょう。

しかし、何よりもこの香りが魅力的なのは、近未来の『2001年宇宙の旅』のような無菌室の機械化された空間を感じさせる所にあります。まさに「AIのために作られたような香り」と言えます。

カルバン・クラインの「シーケーワン」をラグジュアリーにしたような香りであるという印象もあります。私にとってこの香りは、ビバリー・ヒルズにある『ザ ロンドン ウェスト ハリウッド』の香りです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイドⅢ』で、「アルデヒド・カシュメラン」と呼び、「興味深く刺激的なアコードが、香りの五分の一くらいはある」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:レーヌドゥヴェール
原名:Laine de Verre
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/8,800円、100ml/14,300円


シングルノート:アルデハイド、柑橘類、ホワイトムスク、カシュメラン、香辛料