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【007 スカイフォール】ジェームズ・ボンドの愛で空が落ちてくる

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグボンド ガール
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【007 スカイフォール】

Skyfall 前作『007 慰めの報酬』から4年ぶりの作品となる、007シリーズ23作目。六代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグ(1968-)の第三弾となる本作は、当初2010年公開を目処に製作されていたのですが、MGMの破産により、紆余曲折を経て、サム・メンデス(過去にアカデミー監督賞を受賞したことのある監督が007シリーズを監督するのは史上初である)を監督に、2011年11月7日から2012年5月6日まで撮影されました。

ダニエル・クレイグが「これが私の最後のジェームズ・ボンドだ」と宣言したこの作品は、44歳と、最も脂の乗り切った姿で、再びトム・フォードという最高の仕立て屋により、最初から出し惜しみなくボンドスーツで、スーパーアクションを見せてくれます。

さらに本作で新しいQ(ベン・ウィショー)とマネーペニー(ナオミ・ハリス)が登場します。トルコのイスタンブールから上海、マカオ、軍艦島を経て、英国でクライマックスを迎えるこの作品でM(ジュディ・デンチ)は7作目にして死を迎えます。

敵役のハビエル・バルデムも抜群の存在感を示す中、ボンドガールのベレニス・マーロウ扮するセヴリンが、ファムファタールの余韻だけを残して、大した役割も果たさず消えてゆきます。本作の真のボンドガールは、Mと新しいマネーペニーなのでしょう。

1962年に『007/ドクター・ノオ』で始まったシリーズの50周年記念作品として、2012年10月23日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでプレミア上映され、日本では12月1日に公開され、シリーズ最大のヒット作となりました。

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あらすじ

トルコで、NATOの工作員の情報が収められたハードディスク争奪戦の任務についているジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、新人の女性フィールド・エージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、ディスクの強奪者・パトリスを追跡する。そして遂にパトリスを列車の屋上に追い詰めた!

しかし、ボンドとパトリスが肉弾戦を行っているため、イヴは援護狙撃が上手く出来ずあたふたしているところ、指揮官のM(ジュデイ・デンチ)に発砲を急かされ、誤ってボンドに銃弾は当たってしまう。そしてボンドは峡谷へと落下し、行方不明になる。

3ヶ月後、ジェームズ・ボンドの死亡が認定された。一方で、Mが率いるMI6本部がハッキング攻撃を受ける。そんな中、情報国防委員会の新委員長であるギャレス・マロリー(レイフ・ファインズ)からMは引退を勧められ拒絶する。その直後、MI6本部が爆破され、多くの職員の命も失われる。

一方、実は死んでおらずギリシャで隠居生活を送っていたボンドは、ロンドンに戻ることを決意し、第二次世界大戦中の古い地下壕を利用したMI6新本部に入り、諜報部員として復帰テストに臨むが、寄る年波には勝てず、不合格の成績となる。しかし、Mは、すべてをボンドに託そうと独断で彼の職務復帰を承認する。

ボンドは列車の上でパトリスに撃たれた弾丸の破片を、肩に残していた。それを利用し、新任の若きQ(ベン・ウィショー)の協力を得て、パトリスの潜伏地が上海であることを突き止め、かの地へと赴く。そして見事パトリスを仕留めるが、彼の雇い主が分からず、所持品のカジノのチップを手掛かりにマカオへと向かう。

カジノで、上海で見た謎の女・セヴリン(ベレニス・マーロウ)に接触し、彼女の導きによりハードディスクの持ち主のいる廃墟の島に向かうことになる。しかし、向かう船上でセヴリンともども囚われの身となる。遂に目指すサイバー・テロリストの敵ラウル・シルヴァ(ハビエル・バルデム)と対面するボンド。

シルヴァは元MI6エージェントでMに見捨てられた過去を持つ。そのため復讐の鬼となりMを深く恨んでいた。そしてこの島からサイバー犯罪を行いながら復讐の機会を待っていたのだ。セヴリンは命を落とすがシルヴァの捕獲に成功したボンド。しかし、あっさりと捕獲されたシルヴァには秘策があったのだ。彼は拘禁されているロンドンのMI6新本部から、恐るべき作戦を実行しようとしていた。

まんまと脱走するシルヴァによって襲撃されるM。さあボンド君、Mの命を救うことが出来るか?崩壊寸前のMI6の運命はキミに託されたのだ!

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ファッション・シーンに与えた影響


トム・フォードを着たジェームズ・ボンド第二弾は、さらにスーツのシルエットが、実用性よりも、映画的な視覚と心に訴えかけるように研ぎ澄まされています。最も闘いやすい服装で闘わない美学=スーツで闘う男の美学。地球上で最も美しい中年男がココにいます。

ダニエル・クレイグのボンドの魅力は、スーツとタキシード以外のカジュアルな装いも、〝不滅のメンズ・アイコン〟としての輝きを放っているところにあります。バブアーやビリー・リード、アクネを着こなす、オン・オフの男の作り方。

一方で、本作のもうひとつのファッション的な魅力は、ボンドガールと同じくらいに魅力的な新しいQのファッション・センスの爽快さです。ベン・ウィショーが演じるこのハイテク貴族が着るドリス・ヴァン・ノッテンメゾン・マルジェラのチョイスがボンドと正反対の〝闘わない男の美学〟を教えてくれます。

そんな本作が、ファッション・シーンに与えた影響は、以下の四点でした。

  1. トム・フォード×ダニエル・クレイグのコンビが生み出したスーツの未来形=ボディコンシャススーツ
  2. 44歳のダニエル・クレイグが示す〝中年男の不滅のオフ・スタイル
  3. 新しいQが教えてくれる〝ハイテク貴族の正しいハイファッションの愛で方
  4. ナオミ・ハリスが着るベルスタッフが教えてくれる〝肌を露出せずに闘う女の美学

この作品の最大の魅力はトム・フォード×ダニエル・クレイグのファースト・コラボ作『007 慰めの報酬』と本作のスーツ・スタイルの比較にあります。実用性を考えての正解のシルエットが前作の中にあるとしたら、こちらのシルエットは、理想とロマンを詰め込んだシルエットと言えます。

メンズ・ファッションの中にもファンタジーを!中年男のスーツ・スタイルの中にファンタジーを与えるトム・フォードの一大野心。ディオールオム時代(2001年~2007年)のエディ・スリマンが、若い男性がスーツをドラマティックに着る流儀を示したのなら、トム・フォードは本作を通して、中年男がスーツをロマンティックに着る流儀を示したと言えます。

作品データ

作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス