『スカイフォール』のメイン・ボンド・ガールは、ジュディ・デンチ
ジュディ・デンチ(1834-)は、イギリスでも有数のシェイクスピア女優です。その圧倒的な存在感で、『007 ゴールデンアイ』(1995)より、Mを演じました。彼女の〝大いなる母(M=Mother)〟のようでありながら冷酷なスパイの長を演じる独特な存在感が、ボンドムービーに格式を与えました。
彼女が出演するシーンには、緊張感が程よく存在し、ジェームズ・ボンドの世界にリアリティを生み出していました(本作のMは、デスモンド・リュウェリンが17本の映画でQ役を演じた総時間よりも、遥かに多くの時間出演していました)。
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ブルドッグの卓上アクセは、彼女の死後ボンドに遺品として残された。それを貰ったボンドのかなり微妙な表情が印象深い。
そんな彼女が死ぬ本作において、ついにジュディ・デンチは最年長(当時70代後半)のボンドガールへと到達したのでした。イギリスのリビング・レジェンドである彼女の存在感に勝てる女性はなかなかいません。
だからこそ、二人のボンドガールの存在感は、少し薄れてしまったのでした(特にベレニス・マーロウの扱いがかわいそうでした)。しかし、公式ボンド・ガールの二人のファッションを見てみると非常に興味深いものがあります。
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独特の存在感を誇るベレニス・マーロウのハイネケンのCM用レッドドレス。
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ボンド・ガールに相応しいオーラ。
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十字架のイヤリングも違和感なし。
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女豹のような独特な存在感。
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髪をアップにすると解き放たれる圧倒的なエレガンス。
東洋と西洋の血と文化が融合されたエキセントリックな容姿
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
もう一人のボンドガール、ベレニス・マーロウ(1979-)は、カンボジア人と中国人のハーフの父親とフランス人の母親を持つエキゾチック美女です。10歳から18歳までピアニストとしての教育を受けており、絵画の腕もプロ並みの、芸術家肌の女優です。本作が映画デビュー作であり、後に『5時から7時の恋人カンケイ』(2014)では素晴らしい存在感を見せています。
そんな彼女にしては、実に勿体無い役柄(国籍不明のマカオの売春宿育ちの美女。ラウル・シルヴァから身請けされ飼われているらしい)です。どうしようもないボロ雑巾のような扱いです。しかし、そんな扱いであっても存在感を示せるベレニス・マーロウの魅力は、東洋と西洋の血と文化が融合されたエキセントリックな容姿によるものです。
ちなみに彼女はフランスで8年間オーディションに挑戦してきたが、なかなか受かることができず苦労してきました。最終的にロンドンのパインウッド・スタジオで2回オーディションを受け、2回目はダニエル・クレイグと共演し、ボンド・ガールの座を射止めたのでした。ハイネケンのCMの二人も素敵です。
悪役を演じることが大好きな美女
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
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BERENICE MARLOHE in OMEGA Campaign 2013 Photoshoot
ベレニスが挙げる特に尊敬するボンドガールを知ると、彼女がいかに個性的な人かわかるでしょう。「私は、グレイス・ジョーンズとファムケ・ヤンセンが大好きでした。 どちらもスクリーン上で素晴らしい存在感を示していました。 ファムケ・ヤンセンは、『ゴールデンアイ』でゼニア・オナトップを演じる際に素晴らしいユーモアのセンスを示しました。 彼女はその美しい脚の間で人々を殺し、彼らを殺すときに動物的で性的な獣声を上げました。 それは彼女にとってとても面白い選択でした。 私は観客を満足させるためにリスクを冒すことをためらわない女優を尊敬します」。
「私は、想像力に富み、狂気の要素を持った役が大好きです。『レオン』のゲイリー・オールドマンや、『ジョーカー』のヒース・レジャーは私がこれまで見た中で一番好きな映画のパフォーマンスのひとつです。 そうした役割には喜びがあり、信じられないほどの自由な感覚があります。 『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツも素晴らしかったです。 私はそういうキャラクターに特別な思い入れを持っています」。
ボンドガールのファッション1
リトルブラックドレス
- ローレン・スコットの黒のリトルブラックドレス、スクエアショルダー(ローレン・スコットは、ミック・ジャガーの恋人としても有名で、本作の2年後に自殺しました。)
- 黒のクロップドジャケット、袖にファー
- 黒の少し太めのレザーベルト
- 黒のハイヒールパンプス
- ブラックグローブ
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上海でボンドが向かいのビルで発見する美女。
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黒いドレスの女
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とんでもない存在感です。
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リトルブラックドレスの上に来ているクロップドジャケットも素敵です。
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とても細いウエストライン。
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撮影休憩中のオフショット。
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スティレットヒールのハイヒールパンプス
素晴らしいスワロフスキーのアクセサリー
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コブラの指輪とバンブー・ネックレス
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スワロフスキーのバンブー・イヤリングとクイーンコブラ・ネックレスリング
素晴らしいとしか言いようのないブラックドレスとアクセサリーのデザイン。実に神々しいファッションであり、ベレニスのエキゾチックなルックスと、スモーキーなメイクアップに文句なしにフィットしています。
彼女は、シャーロット・ランプリングのような女優を目指している人であり、カクテルドレスに対して「私はああいった気取ったスタイルは嫌いなんです」と発言している知的美女が、いざドレスアップしたら、とてつもないオーラを発散するという究極のギャップ。
カクテルドレスが似合う女性の鉄則は、普段はドレスには興味がなさそうな人が、身に包む驚愕感にあるのではないでしょうか?
ファムファタールを生み出すリトルブラックドレス
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エキセントリックなスモーキーアイ・メイクとの相性も抜群のLBD。
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背中のラインが美しく見えるヌーディーなドレス。
ベレニスはとても美しく、女性らしく、官能的です。彼女はエヴァ・ガードナーに似ています。フィルムノワールの世界から抜け出てきたようであり、非常に50年代的です。
ジェニー・ティマイム
衣装デザイナーのジェニー・ティマイムが本作で最も気に入っている衣装として挙げたのが、セヴリン(ベレニス・マーロウ)がマカオで着ている、背中が露わになるリトルブラックドレスです。このデザインは、監督のサム・メンデスが、セヴリンがボンドと対面することになるこのシーンのファーストショットは「バックシルエットから始めよう」というアイデアに応え、ティマイムが生み出したデザインでした。
東洋と西洋の神秘と妖艶が融合されたこのドレスは、とてもタイトで、着るのが難しく、2ピースになっているものを、ベレニスが着るたびに縫い付けなければならないため、同じドレスが10着用意されました。
このドレスを一旦着てしまうとトイレに行くことは出来なくなるので、朝ドレスを着て、お昼にはドレスを脱いで、午後にはまたドレスを着るということを繰り返し、撮影に臨みました。
ボンドガールのファッション2
タイムレス・ファムファタールドレス
- ハリウッドの衣装デザイナー、ジェニー・ティマイムのデザイン
- 6ヵ月かけて作ったタトゥー柄のシースルーブラックドレス、所々スパンコール、60000個以上のスワロフスキークリスタルを散りばめ使用
- ジミー・チュウのハイヒールサンダル
- スワロフスキーのバンブー・イヤリングとクイーンコブラ・ネックレスリング。デザイナーはスティーブン・ウェブスター
- ピエール・カルダンのブラック ラッカー ライター
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シャンパングラスとカクテルグラスの似合う二人。
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20年代から30年代を髣髴させるショートボブ。
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ファム・ファタールの退廃的なムード。
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後ろから見た『黒蜥蜴』のような衣装も素晴らしい。
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撮影中のオフショット。笑顔が素敵です。
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ベレニス様と傅き×跪きたくなる、圧倒的な全身ショット。
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動くベレニス様。少しナタリー・ポートマンに似ています。
ボンドガールのファッション3
シルクサテンローブ
- ベルギーのランジェリーデザイナー、カリーヌ・ギルソン
- クリーム生地に黒い花柄レースが所々に施されたシルクサテンローブとシュミーズ(当時約20万円)
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美しいシルクローブ
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バックシルエットも素敵。
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花の刺繍が施されています。
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同じシルクローブ
ボンドガールのファッション4
ダナ・キャラン・ドレス
- ワインレッドのダナ・キャラン・ジャージードレス
- ブラックポインテッドトゥハイヒールパンプス
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胸元の生地の巻き込みがドラマティックで美しい。
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本作でほとんど活躍出来なかった悲劇のボンド・ガール。
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プロデューサーも「彼女の出番があまりにもカットされすぎた」と嘆いていました。
作品データ
作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス