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作品データ
作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス
本当のボンド・ガールは、ジュディ・デンチ!

独特の存在感を誇るベレニス・マーロウのスチール用レッドドレス。
ジュディ・デンチ(1834-)は、イギリスでも有数のシェイクスピア女優です。その圧倒的な存在感で、『007 ゴールデンアイ』(1995)より、Mを演じました。彼女の〝大いなる母(M=Mother)〟のようでありながら冷酷なスパイの長を演じる独特な存在感が、ボンドムービーに格式を与えました。彼女が出演するシーンには、緊張感が程よく存在し、ジェームズ・ボンドの世界にリアリティを生み出しました。

ブルドッグの卓上アクセは、彼女の死後ボンドに遺品として残された。それを貰ったボンドのかなり微妙な表情が印象深い。
そんな彼女が死ぬ本作において、ついにジュディ・デンチは最年長(当時70代後半)のボンドガールへと到達したのでした。イギリスのリビング・レジェンドである彼女の存在感に勝てる女性はなかなかいません。そして、他の二人のボンドガールの存在感は、見事に薄れてしまいました(特にベレニス・マーロウの扱いがかわいそう)。しかし、公式ボンド・ガールの二人のファッションを見てみると非常に興味深いものがあります。
モード色の強いマネーペニー。

マネーペニーのファースト・クローズ。ジャケットはベルスタッフです。

褐色の肌にオメガのシーマスターの無骨さがカッコいい!そして、肩には、ベルスタッフの〝羽ばたくフェニックス〟のロゴ。

かなり絶妙なバランスのファッションです。

20代の女性の最重要ファッション・アイテムになったレザージャケット。
マネーペニー・ルック1 レザージャケット・スタイル
- ベルスタッフのベージュのワックスコットン・ジャケット「ニューセルシー」
- 白のタンクトップ
- オメガのシーマスター、アクア・テラ・クオーツ
- ブラックワックスコットンパンツ、ブラックレザーベルト
- 白のスニーカー
まず007ムービーと言えば恒例の〝それだけで並みの映画が5本は作れる〟オープニングアクションシーンが始動します。舞台はイスタンブール。ダニエル・クレイグ扮するジェームズ・ボンドはトム・フォードのスーツで登場します。そんなボンドをアシストするフィールド・エージェントとしてナオミ・ハリス(1976-)が登場します。彼女のキャリアは、ダニー・ボイルの『28日後…』(2002)で助演をつとめ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズにも出演し、本作についで『007 スペクター』でも、マネーペニーとして、以後レギュラー出演を果たすことになりました。
ケンブリッジ大学卒の元々の知性が、スーツスタイルになると見事に反映される知性派でありながら、アクションシーンにおいても、<グレース・ジョーンズ並みの>女豹のような敏捷性を表現できる人です。ちなみに彼女自身のマイ・フェイヴァリット・ムービーは『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)です。性格は極めて真面目な人で有名で、お酒や美容に悪いものは、男遊びを含めて、一切摂取せず、もちろんタバコも吸わない自己管理が徹底している人です。
そんな彼女が初登場するファッションの興味深いチョイスが、ベルスタッフのワックスコットン・ジャケットです。1924年、エリ・ベロヴィッチと、ハリー・グロスバーグによってイギリスで創立されたベルスタッフ。そして、この頃ハリーによってエジプト産ワックスコットンを使用したジャケットが生み出されます。後にチェ・ゲバラやスティーヴ・マックイーンも愛用したジャケットです。

ベルスタッフの2006AWキャンペーンに登場したケイト。モス。

通称〝ケイト・モス・ジャケット〟。
2000年代に入り、ベルスタッフのジャケットは、大作映画に登場することになります。主だった所では『M:i:III(ミッション: インポッシブル3)』(2006)『アイ・アム・レジェンド』(2007)『イースタン・プロミス』(2007)。そして、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の主人公が着用します。近年では、本格的に日本進出を活性化しているベルスタッフ。日本でもベルスタッフ旋風を巻き起こす可能性があります。
カラシ色は無条件にオシャレ感を生み出せるカラー。

良質なブーティは、その人のモードを支配する!

シャツインが生み出すハイウエストと清潔感の王道コーデ。
マネーペニー・ルック2 セクレタリー・スタイル
- 白のブラウス、ネックラインと胸ポケットに黒のパイピング
- からし色のタイトミニスカート
- 黒のブーティ
一転して知性的な女性を演じるナオミ・ハリスのブラウスにタイトスカートにブーティの組み合わせ。全てのセンスは、上質のブーティと、からし色から生み出されています。そして、肘までぎりぎりあげないロールアップ感です。これはファッション・コーディネイトの基本なのですが、膝を出しているときは、肘を出さないということです。