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【ディオール】サクラ(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
@DIORBEAUTY
クリスチャン・ディオール
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サクラ

原名:Sakura
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/25,300円、100ml/45,100円、200ml/63,140円
公式ホームページ:ディオール

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グランドハイアットの桜の花から着想を得た香り

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日本に滞在していたある春の日、私ははっと息を飲むような桜と出会いました。その桜の木は小さく華奢でありながら、何千本もの桜が咲く絶景を想起させるような驚くほど存在感のある香りを放っていました。繊細で心惹かれる香りはどこまでも私のあとを追いかけてきました。「サクラ」は、その長く漂うやさしい調べにローズのニュアンスを添え、あの時の桜へオマージュを捧げたいと思い創った香りです。

フランソワ・ドゥマシー

ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」という3種類の香りからはじまりました。そして、2009年に4作目「アンブル ニュイ」が発売され2017年までコンスタントに新作がリリースされていました。

このコレクションが、2018年に「メゾン クリスチャン ディオール」として一新されました。その新作のうちのひとつとして「サクラ」が発売されました。日本が大好きだと常々公言していたディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーが、あるイベントのため日本滞在時に遭遇した、桜の香りから着想を得て生み出されたサクラの香りです。

それは東京のグランドハイアットに宿泊した時の話です。時差ぼけのため初日の夜、まったく眠れなかったドゥマシーが、トイレに行く途中で、玄関口に生けてあった桜の花を発見します。そしてその匂いをかぎ、トイレの中で、どのようにしたら桜の香りを作れるだろうか?と何時間も思案したことが、すべてがはじまりました。

ちなみに、2025年2月7日にコレクション名は「メゾン クリスチャン ディオール」から「ラ コレクシオン プリヴェ」の名に戻り、原点回帰しました。

©DIORBEAUTY

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ディオールのキモノドレスへのオマージュ

クリスチャン・ディオール 2007春夏オートクチュールコレクション。冨永愛様。

2007年1月22日。冨永愛様。

デザイナーは、当時就任10周年を迎えていたジョン・ガリアーノ。

舞い散る桜の中で映えるディオールのキモノドレス。

2006年秋にガリアーノは日本を訪問しました。

エヴァ・グリーン、2007年。

メイクアップはパット・マクグラス。モデルは、ナターシャ・ポーリー

600種以上ある桜の中で、日本で見かける桜の8割以上は染井吉野です。他にも八重桜、枝垂桜、山桜、大島桜といった桜が有名なのですが、その中でも特に大島桜が淡くも甘い香りを漂わせてくれます。

ドゥマシーが愛した桜。それは、大島桜です。この桜が舞い散る中、芸者が舞っているような幻想的な香りそれが「サクラ」のイメージです。つまりは日本を代表する二つの美=桜と芸者を体現した香りなのです。

それは、ジョン・ガリアーノがディオールの主任デザイナーになり10周年を迎えた2007年に、満を持してディオールの春夏オートクチュールコレクションにおいて、冨永愛様をはじめとするスーパーモデル達によって体現されたあの世界観。

ガリアーノの天才性により、ディオールの美学と日本の美意識を結びつけたあの伝説のコレクションが生み出した〝日本の美〟を、香りによってデュマシーが再解釈したのがこの「サクラ」なのです。

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日本を代表する二つの美〝桜と芸者〟を体現する香り

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ディオールのサクラは、静かな小春日和に、青空の晴れやかさを感じさせる、きらきらと輝く新緑の香りからはじまります。

すぐにローズとジャスミンの〝春の調べ〟がはじまります。甘やかで凛とした気品溢れる〝美〟がそこに生まれてゆきす。そして二つの花が到来するのです。チェリーブロッサムとヴァイオレットです。

チェリーブロッサムは、フレッシュでパウダリーな甘やかな花の輝き(桜餅のような)とほのかな酸味のあるチェリーの煌きを広がらせてゆきます。一方で、ヴァイオレットが、芸者の白粉のようなパウダリーな和の静謐さを広がらせてゆくのです。

そしてホワイトムスクが禅寺のような清らかな空気を解き放つ中、ミモザとアーモンドが甘い花蜜のような温かさとほろ苦いパウダリー感を追加してゆくのです。やがてローズの香りが華やいでゆき、淡いピンクに染まる桜が舞い散る中、ディオールのキモノドレスを着た芸者が、心に向かって、幻想的に舞いはじめるのです。

ただの春の桜の香りではなく、新春に新たなる桜を生み出す、心機一転の桜の香りと言えます。

でありながら、小さな池と芝生と砂利と松の木と薔薇などの花々といったまわりのうつくしいものの邪魔をすることはない、その真ん中に満開に咲く、気高き桜の木の香りなのです。

間違いなく、ふとした所作にフワッとこの香りが舞うと、その柔らかな匂いに引き込まれ、その奥に潜むあなたのすべてを確かめたくなる〝桜のようにあなたが舞い、相手を散らす香り〟です。

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香水データ

香水名:サクラ
原名:Sakura
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/25,300円、100ml/45,100円、200ml/63,140円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:グリーンノート
ミドルノート:ジャスミン、ローズ、ジャパニーズ・チェリーブロッサム、ヘディオン
ラストノート:ミモザ、ヴァイオレット、ホワイトムスク