ルンバ
原名:Rumba
種類:オード・トワレ
ブランド:バレンシアガ→テッド・ラピドス
調香師:ジャン=クロード・エレナ、ロン・ウィングラード
発表年:1988年
対象性別:女性
価格:不明
価格:2,970円 |
ジャン=クロード・エレナの80年代最後の香り
1988年にバレンシアガから発売された「ルンバ」は、若かりし頃のジャン=クロード・エレナとジョルジオ・アルマーニの「アルマーニ」(1981)で有名なIFFのロン・ウィングラード(Ron Winnegrad)が調香した作品です。
ジャック・ボガートがバレンシアガを1986年に買収した後、ファースト・フレグランスとして発売されました。そして、2001年にグッチグループにバレンシアガを売却した後は、テッド・ラピドスからリリースされるようになりました。
「ルンバ」は、エレナが、〝太陽に一番近い男〟またはミニマルな調香に到達する前に生み出した「ファースト」期の最後の香りです。
フルーツ・パーカッションの香りの四重奏
香水は、その時代の刻印を持ち、その時代を反映し、調香の芸術における秘密、複雑さ、顧客層によって特徴づけられます。香水を評価するには、その背景を知る必要があります。
1980年代の香水は、音楽がパワフルだったカラフルな時代を表現しており、それゆえ香水は雷鳴を轟かせていました。
ジャン=クロード・エレナ
ベルガモットと共に弾けるプラム、ミラベル、ピーチ、ラズベリーのフルーツ・パーカッションの四重奏からはじまります。それはまるでキャティアミレジム2012が心のシャンパングラスに注がれていくようです。
熟成された果実の複雑味とアロマに身も心も翻弄される中、すぐにオークモスとパチョリのジャジーなリズムが加わり、80年代の重厚なフルーティシプレの渦巻く星雲に飲み込まれてゆきます。オレンジ・ブロッサムとハニーがフルーツ・パーカッションに濃蜜な甘さを与えてゆきます。
そして、「ルンバ」がいよいよ心のシャンパングラスから解き放たれてゆきます。クリーミーなチューベローズを中心としたパウダリーなヘリオトロープ、マリーゴールド、ジャスミン、ガーデニア、オーキッド、マグノリア、スズランといった豪華絢爛たるフローラルがマンボのリズムに乗ってやって来ます。
アンバーとトンカビーンの滑らかな甘い獣性を秘めやかに香らせながら、心置きなく肌と香りを溶け合わせてゆくのです。
やがて、サンダルウッドとラブダナム、スティラックスによりレザーインセンスが魅惑の余韻をすーっと広がらせてゆきます。そして、ここで女盛りを迎えた熟したプラムが忘我の境へと導いてくれるのです。
カラフルな花と果実が、色鮮やかに肌の上で踊る
スモーキーなレザーからちらりと覗く、アニマリックなプラムの剥き出しの白い脚の官能を肌の上に感じ取ることが出来る非常に贅沢な香りです。
1980年代よりももう少し昔の1940年代の華やかで神秘的だったカルメン・ミランダが踊りながら歌うような陽気で懐古的で底抜けな香りです。まるでカラフルな花と果実が色鮮やかに、ハニーとオークモスのリズムに乗って肌の上で踊っているようです。
そして、その背後にうっとりするようなオールドハバナの古い大聖堂のお香の香りが、熱い夜風に乗ってふんわりと通り過ぎてゆくのです。
何よりもエヴァ・ガードナー様そのものの香りとも言えます。もしくは『マレーナ』のモニカ・ベルッチ様でしょうか…
この香りを調香した後、ジャン=クロード・エレナは4年間、新しい自分の可能性と向き合うことに専念しました。そして、1992年にブルガリの「オ パフメ オーテヴェール」が誕生することになるのでした。
香水データ
香水名:ルンバ
原名:Rumba
種類:オード・トワレ
ブランド:バレンシアガ→テッド・ラピドス
調香師:ジャン=クロード・エレナ、ロン・ウィングラード
発表年:1988年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:プラム、ミラベル、ピーチ、ラズベリー、オレンジ・ブロッサム、バジル、ベルガモット
ミドルノート:ハニー、マリーゴールド、チューベローズ、カーネーション、ジャスミン、ガーデニア、ヘリオトロープ、オーキッド、マグノリア、スズラン
ラストノート:プラム、レザー、オークモス、パチョリ、アンバー、サンダルウッド、スティラックス、シダー、バニラ、トンカビーン、ムスク
価格:2,970円 |