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ロジャー・ムーア14 『007 オクトパシー』2(2ページ)

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド
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やはりジェームズ・ボンドにはスーツが似合う。

東西に分裂していた時代のベルリンを訪問するボンド。

この時だけスーツは、ダブルです。

後ろに見えるのはブランデンブルク門。

80年代スーツとローファーの組み合わせがトレンドでした。

ジェームズ・ボンド・スタイル8 ダブルスーツ
  • ダークネイビーのダブルスーツ、ピークラペル、ダブルベンツ
  • 白と水色のヘアラインストライプ・ドレスシャツ
  • 白のポルカドット・ネイビータイ
  • ブラック・レザースリッポン

この作品の撮影は、1982年8月10日にベルリンの壁からスタートしました。

そして、作品自体も、ドイツ・シーンから東西分裂ならぬ作品の分裂の様相をなしていきます。その傾向についてポーリン・ケイルの興味深い評論を引用させていただきます。

この映画はいささか分裂症ぎみである。ここでのボンドはゴリラにされたり、ワニにされたりする。森の中でロープにぶらさがり、枝から枝へ飛び移りながら、ターザンまがいのヨーデルも歌う。また、機関銃を撃ちまくりながら階段の手すりをすべりおり、気球に乗って旅をする。気球にはモニター・テレビがずらりと並んでいて、下界のアクションが見物できる仕掛けだ。しかし、製作チームはそれと同時に、ボンドに崇高なスピーチをやらせ、もしオルロフの仕掛けた核爆弾が爆発すれば、何万もの罪のない人々が殺される、と怒りを表明させる。学校の教師がばか話で生徒をたのしませておいて、なぜ笑ったのか、と叱りつけるようなものだ。観客がいっせいにげんなりするのも無理はない。

ポーリン・ケイル

この評論が、この作品の全てを物語っています。

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なんとピエロに変装してしまうボンド

同時期にパインウッドスタジオで撮影していた『スーパーマン III/電子の要塞』のクリストファー・リーヴと悲しきピエロ姿のボンド。

しかし、ロジャー・ムーアのピエロ姿は以外に似合ってました。

エマ・ポーテウスによるデザイン画。

ボンドムービー史上最大のブーイングを浴びた衣裳が、ピエロ・コスプレです。ジェームズ・ボンドが越えてはならない一線を越えてしまった瞬間です。

しかもこの姿で、『太陽を盗んだ男』サイズの原子爆弾の解体作業にのぞむのです。そこには、『ジャガーノート』でリチャード・ハリスが爆弾を解体したような緊張感は全くなく、ただ引っ張って抜き取るだけの子供だましな展開があるだけでした。

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ボンドガール改めQガール

アクロスターBD-5に乗るQとボンドガールたち。

この作品における影の主人公はQ(デスモンド・リュウェリン)でしょう。ボンドムービー史上最もQの出番が多い作品でした。そして、最後には、「女だらけの大運動会」の果てに、ボンドガールと結ばれるのです。

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しかし、ショーン・コネリーには勝ったロジャー・ムーア

オクトパシー軍団とボンド。

最後の決戦においてもスリッポンを履くボンド。

ジェームズ・ボンド・スタイル9 ブルゾンスタイル
  • ダークネイビー・ブルゾン、フロントジップ
  • フランク・フォスターの白のドレスシャツ
  • ダークネイビーのトラウザー
  • 黒のレザースリッポン

1983年に、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に復帰した番外編『ネバーセイ・ネバーアゲイン』とボンド頂上決戦が繰り広げられたのですが、結果的に、世界興行成績は、『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』に次ぐ第2位として本作は、1億8750万ドルの売上を記録したのでした(予算2750万ドル。アメリカだけで6780万ドルの売上を記録)。そして、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は第4位でした。

ちなみに撮影中も、ロジャー・ムーアとショーン・コネリーは、何のわだかまりもなく、一緒に夕食に出かけていたのでした。そして、このノーテンキなムードこそが、この作品のジェームズ・ボンドを包み込んでいた雰囲気そのものなのでした。おおよそスパイとしては、7回は余裕で死んでそうな貧弱なボンドがここにはいます。そういった意味においては、この作品は、ボンドムービー史上最も弱いジェームズ・ボンドを見ることが出来る貴重な作品なのです(そして、ボンドムービー史上最も強いQが見れる作品)。