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『里見八犬伝』2 日本の美17(2ページ)

    作品名:里見八犬伝 (1983)
    監督:深作欣二
    衣装:森護/豊中健/山崎武
    出演者:薬師丸ひろ子/真田広之/夏木マリ/志穂美悦子/岡田奈々/京本政樹/千葉真一



    日本のファッション・アイコン、夏木マリ。



    夏木マリ様は1952年に生まれました。ということはよく考えてみると、この作品の撮影当時のマリ様の年齢は、31歳なのです。しかし、この作品で玉梓を演じているマリ様は、年齢不詳な色香と美に包まれているのです。

    60代になっても夏木マリ様は、ソフィア・ローレンやシャーロット・ランプリング、イネス・ド・ラ・フレサンジュのように魅力的です。その美の疑念が、明らかにアンチエイジングではなく、エイジング・ビューティーであるところが、素晴らしいわけです。そして、なによりも、スタイリッシュで個性を持っているところが、スタイリストから聞いた表面的なファッションの流行にのっかかっている一般的な日本の芸能人のお粗末なファッション感度(よくファッション誌なんかでうんざりするほど記載されている「スタイリストさんに教えてもらって・・・」なんていう低レベルなあの感覚)との格の違いなのです。

    真にファッション感度の高い人は、歴史的、文化的、芸術的アプローチでファッションと言うものを捉えるものなのです。ただスタイルが良くて、スタイリストが推してくれた服を着る人たちは、ただのマネキンです。ファッションとは、内面から滲み出る知性であり、それ以上でもそれ以下でもありません。それは間違っても、自撮りしたスタイリングを見せびらかして喜ぶ類の、安っぽいファッショニスタ感覚とは相容れないものなのです。



    すべてのアンチエイジングに必死な野郎どもに・・・






    「もとふじ~~」と息子を呼ぶその声の妖艶なこと。更には、真田広之にすごく近い位置で語りかける姿の妖艶なこと。至近距離に強い女・夏木マリ様。1970年代から80年代はじめにかけて日本女性の妖艶さを体現していたのが〝Wナツキ〟と私が呼ぶ二人でした(もう一人のナツキは、夏樹陽子様です。詳しくは、「トラック野郎・度胸一番星」(1977)か、江戸川乱歩シリーズの「エマニエルの美女」(1980)を見て頂ければ、ご理解いただけるでしょう)。

    本作のハイライトと言えるシーンは、「血の池で若返るシーン」です。こういうシーンをサラッとやってのけるのが、夏木マリ様という女優の凄さです。そして、この血の池シーンこそが、世界中に溢れかえるアンチエイジングに夢中な人々に対するアンチテーゼとも言えるシーンなのです。アンチエイジングに励む有閑マダムたちの本質。それは、玉梓の近親相姦的な精神構造と似たようなものではないでしょうか?嗚呼・・・しかし、この頃の夏木マリ様は、雰囲気が、「テオレマ」(1968)「ベニスに死す」(1971)のシルヴァーナ・マンガーノに似ていて、素晴らしいです。



    もっとも妖艶な夏木マリ様の御姿。

    素藤の衣裳は、「魔界転生」のジュリー風です。

    素藤に扮する目黒祐樹(1947-)は、マリ様より5歳年上です。

    玉梓の髪飾りがとても魅力的と感じるのは私だけでしょうか?

    妖艶さで迫る夏木マリ様に、本気で怯えてそうな真田広之。

    日本のクレオパトラの誕生。

    この真田広之を見て、ほとんどの男子は「ボクだったら完落ちだな」と考えたはず。

    玉梓スタイル2 若返った母親スタイル
    • 炎の形をした黄金の王冠、左右にはビラかんざしのような飾り、英語風に言えばかなり豪奢なヘッドドレス
    • 黄金の襟巻きのついたピンクの打掛、お引きずり、裏地は真紅
    • 水色の着流しスタイル
    • 脇差と扇子
    • 金と黒の帯
    • シルバーのヒールパンプス

    本作は、「魔界転生」(1981)の時のように衣裳アドバイザーとして辻村ジュサブローに師事を仰いだわけではありません。しかし、衣装を担当した東映京都の衣装部長だった森護は、「魔界転生」とジュサブローの人形劇「新八犬伝」(1973-75)を参考にして、和服の持つ魑魅魍魎性を追求した着物を作り上げました。



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