プール ムッシュウ オードゥ パルファム
原名:Pour Monsieur Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2014年
対象性別:男性
価格:75ml/16,170円
公式ホームページ:シャネル
ジャック・ポルジュから男たちへの置き土産

©CHANEL
ガブリエル・ココ・シャネル(1883-1971)が存命中に発売された唯一のメンズ・フレグランスが、メンズの定番であるフゼアではなく「No.5」の流れを汲むシプレの「プール ムッシュウ」(オード・トワレ)でした。この香りは、1954年にシャネルが71歳でファッション・シーンにカムバックした翌年に誕生しました(同年、2.55バッグも誕生している)。
1954年にシャネルの二代目尊属調香師に就任したアンリ・ロベール(1899-1987)により調香されました(エリザベス・アーデンの専属調香師になるところをより高額の給与で引き抜きました)。
そのオード・パルファム版として、2014年に新たなる解釈を加え、シャネルの三代目専属調香師ジャック・ポルジュにより再調香されたのが「プール ムッシュウ オードゥ パルファム」でした。そしてこの香りこそが、彼の最後のメンズ・フレグランスでした。
正確には、1989年にジャックが調香した「プールムッシュ オードゥトワレ コンセントレ」の後継ヴァージョンとなります。
すなおで自然な感じのままの〝紳士の中の紳士〟の香り

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どちらもオリジナル版では使用されなかったラベンダーとナツメグ、マダガスカル産のバニラが使用されており、奥行きのある(より紳士指数の増した)シプレを生み出しています。
切れ味の鋭さを感じさせるフレッシュなレモンが、燦々と照りつける太陽の下で弾けていく中、クラシカルな(ハーバルな)ラベンダーがまろやかに包み込んでいくようにしてこの香りははじまります。
レモンは、ベルガモットやマンダリンと見事にブレンドされており、大人の男の優雅さを感じさせる甘い微笑みのなかに、秘めたる苦さと酸っぱさを乗り越えて、包容力を満ち広がらせてゆきます。
やがて、レモンの休息と入れ替わるようにして、甘くスパイシーなナツメグが香り全体に芳醇な深みを与えていきながら、だんだんと存在感を増すベチバーとオポポナックスに自然に溶け込んでいきます。
若さに対するへつらいや、老いに対する恐れを微塵も感じさせない、威風堂々とした中年男性の佇まい=オーラを湛えてゆきます。
ラベンダーによる影響もありどこかフゼア調のこの香りは、品質の良さを容易に感じさせるマダガスカル産バニラとアンバーによる温かいオリエンタルなニュアンスを加えながら、すっきりとした威風堂々たるクリーミーシトラスな余韻で包み込んでくれます。
ジャック・ポルジュが、世界中の男性のための置き土産として生み出したこの香りは、シプレ、フゼア、オリエンタルが、それぞれ静かな佇まいで、肌の上に同居する〝紳士の中の紳士〟の香りで
プール ムッシュウのオード・トワレとオード・パルファムの違い

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オード・トワレ(EDT)版との違いを以下に箇条書きしておきます。
- EDTのはじまりは、シャープなシトラスの短距離走なのですが、EDPのはじまりは、滑らかなレモンがゆったりと身体の周りを周遊するようなうっとりするような至福のひと時(約1時間)のようです。
- EDTは、すぐにスパイシーな石鹸の香りがします。一方、EDPは、レモンとナツメグが混ざり合い、オークモスと絶妙なバランスでひとまとめになります。
- EDTのドライダウンは、アーシィーグリーンな湿った森の余韻ですが、EDPは、バニラが絶妙なバランスで溶け込んでおり、温かみのあるクリーミースパイシーな余韻に包み込まれます。
香水データ
香水名:プール ムッシュウ オードゥ パルファム
原名:Pour Monsieur Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2014年
対象性別:男性
価格:75ml/16,170円
公式ホームページ:シャネル
シングルノート:ラベンダー、ナツメグ、バニラ、レモン、ベチバー