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【カルティエ】パンテール(アルベルト・モリヤス)

アルベルト・モリヤス
©Cartier
アルベルト・モリヤスカルティエブランド調香師香りの美学
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パンテール

原名:Panthere de Cartier
種類:パルファム
ブランド:カルティエ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:1987年
対象性別:女性
価格:不明

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カルティエの偉大なる香りの遺産

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フランスのハイ・ジュエリー・ブランド カルティエのフレグランスの歴史は、1981年に「マスト」からはじまりました。そして、ブランド創立140周年を記念して1987年に誕生した「パンテール」により、ひとつのハイライトを迎えることになりました。

この香りほど、フレグランスの歴史上過小評価(もしくはその存在も知られていない)されている香りはありません。カルティエでフレグランスを販売するようになった今こそ、まず何よりもカルティエの販売員のために、その真髄を伝えるためにも、マチルド・ローラン様に香りを再現してもらうべきです。

パンテール(パンサー=豹)とは、カルティエのアイコニックなデザインです。それは躍動感溢れる豹のモチーフを使用することにより、ジュエリーに命を吹き込んだという点において画期的でした。

そんなパンテールの世界観を香りに投影させるために、若き日のアルベルト・モリヤスが召喚されたのでした。オリエンタル・シプレー(「シャリマー」に「ミツコ」をブレンドしたような!?)の香りです。

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あなたの中に潜む、女豹を解き放て!

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熟成されたマンダリン・オレンジの中に、シュワーっと酸味の効いたグレープフルーツが溶け込んでゆきます。と同時に、柔らかなローズとフランキンセンスの風に乗り、ペッパーやジンジャーといったスパイスが運ばれてきます。そんなスパイスの効いたオレンジリキュールの酔わせるような濃厚さからこの香りははじまります。

やがて、ボトルの中に存在するジャングルの世界が解き放たれていきます。ジャスミン、ガーデニア、チューベローズ、フリージア、アイリス、水仙、イランイランといったさまざまなジャングルの花々が円やかに華やかな香りを放ちます。チューベローズがこの香りの中の女豹です。そして、カーネーションが彼女の蜂蜜のような甘さをたえず刺激しているのです。

まるであなたの中の女豹が呼び覚まされるように、オークモスとベチバーに、スパイシーなナツメグが注ぎ込まれ、獲物を渇望するように、全身に活力が漲ります(それはメイクもファッションも完璧に上手くいったので、沢山の人に見てもらいたいような気分です)。

さぁ!時は来た!今こそ獲物に飛び掛るのです!という天啓と共に、アニマリックなムスク、シベット、アンバーが炸裂します!とその瞬間、全ての香りは動きを止め!あなたに寄り添うように甘く官能的な余韻で包み込んでくれるのです。

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世界一官能的な女性を生む香り

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間違いなく、キリアン・ヘネシーはこの香りの愛好家であり、だからこそ、アルベルト・モリヤスにキリアン史上最も官能的な香りである「グッド ガール ゴーン バッド」の調香を依頼したのでしょう。

より分かりやすくこの香りを説明します。それはアルベルト・モリヤスという後に皇帝になる男が「世紀末覇者」を目指すようになった最初の一歩とも言える香りなのです。つまり

  1. フローラル(ローズ、カーネーション、チューベローズ、アイリス、ガーデニア、フリージア、ジャスミン、ヘリオトロープ、イランイラン、水仙)
  2. フルーツ(グレープフルーツ、マンダリン)
  3. スパイス(ジンジャー、ペッパー、ナツメグ)
  4. オリエンタル(アンバー、フランキンセンス、ラブダナム、バニラ、トンカビーン)
  5. アニマリック(ムスク、シベット)
  6. ウッド(パチョリ、シダー、サンダルウッド)

といった様々な香調が、交響楽団のように優雅なる調べを奏でるのです。それはまるで様々な宝石が散りばめられ、生み出される一体のパンテールのように、繊細さと大胆さを併せ持ち、光沢のある官能性と陶酔感に満ちた稀有な香りを生み出しているのです。

それは間違いなく天才の技であり、然るべき場所でしか付けることが出来ない香りなのです。

そんなとんでもなく使い勝手の悪い〝香りのハイジュエリー(=大富豪の娘の香り)〟を生み出してしまったからこそ、アルベルト・モリヤスは、「シーケーワン」へと辿り着くことになるのでした。

この香りを身に纏うことが出来る女性の筆頭は、70年代の高峰三枝子様です。テレビ版『人間の証明』や映画版『犬神家の一族』の彼女の香り。もしくは、映画『華麗なる一族』の京マチ子様のような重量級マダムの香りです。とにかく昭和のマダムの香りです。

健康的に引き締まった美魔女(もはや死語?)は所詮は草食動物なのです。程よく脂の乗った昭和マダムこそが、真の肉食獣であり、野生のパンサーなのです。

58面のカットが施されたダイヤモンドのようなフロントガラスと、それを取り囲むように黄金の台座の上で息を潜める二頭の黒豹で構成されたボトルデザインが圧巻です。

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パンテールと呼ばれた女

ジャンヌ・トゥーサン

カルティエの最も有名かつ重要なジュエリー・シンボルであるパンテール(=豹。なんとその歴史は1914年からはじまる)の名が世界の上流階級に響いたのは、1933年から1970年にかけてカルティエのクリエイティブ・ディレクターをつとめたジャンヌ・トゥーサン(1887-1976)の力量によるものでした。

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彼女は1949年に、ウィンザー公爵夫妻のために152.35カラットにもなるカシミア産サファイアのカボションを使ったプラチナ製パンテール・ブローチを製作しています。そして、その自由かつ独立心の強い性格から〝ラ・パンテール〟と呼ばれていました。

この香りは、そんな彼女に捧げられた香りでもありました。1990年代に廃盤となりました。

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香水データ

香水名:パンテール
原名:Panthere de Cartier
種類:パルファム
ブランド:カルティエ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:1987年
対象性別:女性
価格:不明



トップノート:ラブダナム、ジンジャー、オレンジ・ブロッサム、マンダリン・オレンジ、ペッパー、グレープフルーツ、ローズ
ミドルノート:ナツメグ、カーネーション、チューベローズ、アイリス、ガーデニア、フリージア、ジャスミン、ベチバー、ヘリオトロープ、イランイラン、水仙
ラストノート:サンダルウッド、トンカビーン、アンバー、パチョリ、ムスク、シベット、バニラ、オークモス、インセンス、シダー

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