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【ニシャネ香水聖典】2012年からはじまる香りのトルコ革命

ニシャネ
ニシャネブランド香水聖典
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ニシャネ

Nishane 2012年9月に創業された「ニシャネ」は、トルコ初の香水ブランドです。そして、2015年に最初のコレクション(16種類の香り)を発表し、瞬く間に、世界中で販売される人気香水ブランドになりました。

この香りの特徴は、トルコ・イスタンブールという東洋と西洋が結びつく土地柄を生かした個性的な香りです。しかし、ただそれだけではなく、ひとつのフレグランスに対して75%~80%の天然香料が使用されている上に、アルコールに溶かした香料の割合が30%強(通常パルファムで15~25%、オード・パルファムで10~15%、オード・トワレで5~10%)という高濃度で調香されているところにあります。

ニシャネとはトルコ語で〝シンボル〟という意味です。それは、ニシャネの香りが自分のシンボルになるようにという願いからつけられたものです。そして、ブランドの精神は、神秘主義詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの言葉である「自分の神話を作っていこう」なのです。

代表作

スルタン ベチバー(ベチバーの皇帝)(2013)
チュべローザ(2014)
ウーロンチャ(烏龍茶)(2015)
パチュリ コージャ(2015)
ハジワット(2017)
ヴェイン アンド ナイーブ(2018)
アニ(アニ遺跡)(2019)
エーゲ(エーゲ海)(2020)

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さぁ、自分の香りの神話を作っていこう!

マート・グゼルとムラット・カトラン


2012年9月に創業したニシャネは、調香のトレーニングを受けていない二人のトルコ人男性によって創業されたブランドです。そして、そのようなブランドが、僅か3年後で、いかにして世界的に注目を浴びる香水ブランドを作り上げたか(ニューヨーク・タイムズの2015年12月の記事において「世界で最も注目すべき5つのフレグランス・ブランド」のひとつとして列挙された!)を分析していきます。

まず最初に創業者二人のプロフィールを見ていきましょう。マート・グゼルはイスタンブールに生まれ、トルコのガラタサライ大学で社会学を学び(2003年~2009年)、卒業後すぐにトルコの高級ホテルのコーヒーテーブルブックを作る会社を設立しました。

私は高級レストラン経営に興味があり、調理の勉強もしていました。しかし、イスタンブールにはすでに十分すぎるほどの高級レストランが存在し、まだ誰も挑戦していない分野に挑戦したいと思っていました。そして、私は常に興味を持っていた香水という分野に焦点を合わしたのでした。

マート・グゼル

一方、ムラット・カトランは、トルコの東京大学と喩えられるボアズィチ大学(全て英語教育)で国際貿易を学びトルコ最大の製鉄会社の輸出部門のマネージャーとして働いたあと、製鉄の輸出会社を起業しました(そして、海外出張のたびにフレグランスを収集するようになりました)。さらに在学中に、イスタンブール・シティ・シアターズのプロの俳優になり、以後13年間に渡り活躍し、TVにも出演していました。

そんな二人が2010年に初めて出会い、お互いに仕事柄、世界中を旅する中で、フレグランスに並外れた興味を持っていることを知り、意気投合したのでした。そして、共に、トルコではじめての香水ブランドを創業するために2年間の月日をかけ、2012年9月にブランド設立したのでした。

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第三の男・ジョージ・リー



そして、2013年から2年の月日をかけて16種類の香りを作る計画を立てたのでした。この時、彼らの計画に協力したのが、当時、トルコ最大の香料会社MDインターナショナル・フレグランス・カンパニー(2020年フィルメニッヒ傘下に)の調香師になったばかりのジョージ・リーでした。

コロンビア・ボゴタのロス・アンデス大学を1995年に卒業し、クエスト・ボゴタのセールス・アシスタントとして入社した彼は、2000年にニューヨークのクエストで調香師のトレーニングをスタートします。

そして、2002年に無事調香師となり、2008年以降、ジボダン・フランスで働くようになり、2013年にMGに移籍し、以後イスタンブールに住んでいます。

コロンビアと英国の国籍を所有し、スペイン語、英語、フランス語、そして、トルコ語が話せるということも、ニシャネとの関係にプラスに働いたのでした。

こうして出来上がった16種類のエキストレド パルファムを携え、(2009年から開催されている)ミラノ香水展示会 ESXENCE(エクセンス)に2015年に参加し、最初から話題を勝ち取ることに成功したのでした。

ちなみに2017年がニシャネにとってターニングポイントの一年であり、「カラギョズ」「ゼン」「ハジワット」の三作品が発売して僅か2週間で、一年間の予想在庫を消費したのでした。

現在、イスタンブールに路面店があるのですが、トルコでの販売率は、全体の1%にも満たないほどにグローバル・ブランドとして成功を収めています。2020年12月現在50ヵ国以上に販売代理店を広げており、日本においてはnose shop様が専属的に取り扱いされています。