ルール フォル
原名:L’Heure Folle X
種類:オード・トワレ
ブランド:カルティエ
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml /36,465円
公式ホームページ:カルティエ
13まで数字が存在する〝香りの時計盤〟の『10』の香り
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/3089c6eeddb2a83d0da6a6c30e189c6d-scaled-e1688526216514.jpg)
2009年発売当時のボトル・デザイン ©Cartier
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/arton4057.jpg)
発売当時のマチルド・ローラン様 ©Cartier
クレイジーで、牧歌的で、だらしなくて、ざわざわしていて、ふさふさしていて、決して熟すことのない果実が弾けるような、私の好きな自然。
2009年発売当時マチルドがこの香りにあてた言葉。
ハイジュエリー・ブランド、カルティエが、2009年からスタートしたブランド初のラグジュアリー・コレクション「レ ズール ドゥ パルファン〝香水の時間〟」は、通常の12までではなく、13まで数字が存在する〝香りの時計盤〟です。
13の親密な香りを表現する13の時間。それはかつて経験したことがある感情への道しるべのように全感覚に広がる〝香りのアート〟のコレクションとして五種類の香り(ムスク、レモン、フルーツ、パチョリ、ベルガモット)からはじまりました。そのうちのひとつが「ルール フォル」です。
〝ルール フォル=狂乱の時間、クレイジー・アワー〟は、数字の〝10〟が振り当てられている香りです。
〝それらは肌を美しく飾るミラクルメーカーで「女の子にとってのベストフレンド」―「ププッピドゥ」〟という公式サイトの文章が暗示するように、それは、まるで『紳士は金髪がお好き』(1953)の中で「ダイアモンドは女の親友」を唄い踊り、『お熱いのがお好き』で「ププッピドゥ」と囀る〝カルティエの永遠のベストフレンド、マリリン・モンロー〟のすべてを身にまとう香りです。
弾けるシャンパンのこの香りは、カルティエの専属調香師マチルド・ローランにより調香されました。
トゥッティフルッティ・コレクション
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/FC1_HJ_geometry_slideshow_01c.png.scale_.1600.800.high_-e1688708087431.jpg)
©Cartier
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/f7551b90-bc1d-4bb3-91c9-596131909cf4-e1688708134971.jpg)
©Cartier
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/9f2cc1f5-3ef8-4803-aae6-01e8b72dce31-e1688708178881.jpg)
©Cartier
さらに「ルール フォル」には、もうひとつのインスパイアの源があります。
それはカルティエ・ロンドンにおいて、創業者の孫のひとりジャック・カルティエが、〝狂騒の20年代=Les Années folles〟1920年代から30年代にかけて、ムガール帝国の流れを汲む、サファイア、エメラルド、ルビー、ダイヤモンドを中心とした、鮮やかな色彩のインド風ジュエリーのアールデコのコレクションを生み出していたことから始まります。
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/Daisy-Fellowes-e1688715475248.jpg)
コリエ・ヒンドゥーのネックレスとデイジー・フェローズ ©Cecil Beaton/Sotheby’s
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/le-collier-hindou-de-daisy-fellowes-par-cartier-1280x1223-1-e1688716545655.jpg)
コリエ・ヒンドゥーのネックレス ©Cartier
特に、ミシンの発明者、アイザック・シンガーの孫娘デイジー・フェローズ(1890-1962)がこのスタイルを上流階級の中で広げるインフルエンサー的な役割を果たしました。彼女は、セーターに宝石をつけるという前衛的なアイデアなどジャン・コクトー曰く「世界中のどの女性よりも多くの流行を生み出した」人でした(しかし、コカインと他の女性の夫を好む人でもあった)。
1936年に、デイジーは、カルティエに依頼したコリエ・ヒンドゥー(Collier Hindou)で、インドでは縁起が悪いとされていたサファイアをふんだんに使うことを望みました。
1970年代にこのコレクションは「トゥッティフルッティ(フルーツづくし、すべて果物)」と呼ばれるようになりました。それはジャックがインドから持ち帰ったカラージュエリーがふんだんに使われており、石それぞれのクオリティよりも、花や葉、フルーツの模様を彫刻し、全体的なエキゾチックなセンスを重視するカルティエとしては異色のコレクションでした。
カルティエの永遠のベストフレンド、マリリン・モンロー
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2023/07/b3417087-e6aa-46cc-b796-52ae2c0fcc07-e1688695321565.jpg)
©Cartier
![](https://cahiersdemode.com/wp-content/uploads/2022/08/cc04.jpg)
©Cartier
フルーティーな香水は嫌いです。それはセクシーではないからです。でも、嫌いなものに手を加えて、違う側面を引き出すのが私は大好きなの。カルティエのトゥッティフルッティを〝見えない宝石〟にしたこの香りは、葉っぱや緑色のもの、茂みに生えているものなら何でもいい。少し歯が痛くなるような果物が欲しかった…
これが私のベリーの記憶です。私が愛する自然だ。私は祖父(101歳で死去)の庭のラズベリーしか食べません。ある意味、「ルール フォル」はラルチザンの「ミュール エ ムスク」の後継者なのです。
マチルド・ローラン
ティファニー、ハリー・ウィンストンと共に、カルティエの名が、ショッキングピンクのイブニングドレスを着たマリリン・モンローの真紅の唇から解き放たれた瞬間〝カルティエは女性たちのベスト・フレンド〟になりました。
そんなマリリンの無邪気な陽気さと、妖艶でありながらちっとも下品ではないエレガンスを身にまとう『女性のベストフレンド・フレグランス』は、トゥッティフルッティのカラフルな精神反映するようなブラックカラントを中心としたレッドカラント、ブルーベリー、ブラックベリーのベリーカクテルの甘酸っぱさからはじまります。ほんの少しグレープフルーツが添えられているのがこの香りに素敵なアクセントを生み出しています。
そこに、ツタとアイビーのフレッシュグリーンな輝きが加わり、甘さに〝誕生したばかりの宝石〟のようなみずみずしいエレガンスを加えてくれます。
すぐに発泡するアルデハイドとピリっとしたピンクペッパー、さらにグレナディンシロップが注ぎ込まれ、シャンパンのように豪奢な煌めきを解き放ってゆきます。
まさにトゥッティフルッティのように、フルーティーなベリーでも、食べたくなるような甘ったるいベリーのパティスリーでもない摘み立てのベリーで生み出した〝大自然の果実で作り出したシャンパン〟のような美しい衝撃が、走ります。
ダイヤモンドが素肌の上で輝き、奇跡を起こしてくれるように、シャンパンのお風呂に入った後のような、全身がきらきら輝く、エレガントな気分で満たしてくれるのです。
香水データ
香水名:ルール フォル
原名:L’Heure Folle X
種類:オード・トワレ
ブランド:カルティエ
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml /36,465円
公式ホームページ:カルティエ
シングルノート:ブルーベリー、グレナディン、アイビー、ブラックカラント、レッドカラント、セイヨウツゲ、シソ、ヴァイオレット、アルデハイド、ピンクペッパー