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その他の男優たち

『シティ オブ ゴッド』Vol.2|70年代にブラジルで大流行したハンテン

その他の男優たち
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スラム街に住む若者を集めて生み出された奇跡の作品。

この作品は、フェルナンド・メイレレス監督にとっても、もう二度と作ることが出来ない環境の中で生み出された奇跡と言えるでしょう。スラム街に住む若者を集めるというかなり危険な試みの中から、一つの作品の形にする作業はとてつもない情熱と行動力を必要とするものです。

それは、日本において芝居に素人な芸能人(アイドル)を集めて撮っている作品とは、同じ素人映画というジャンルであっても、目指している次元が果てしなく違います。

本作を見ると、私たちは恐ろしい真実に気づかされます。「こんな怖い現実がブラジルという国にあるんだ」と最初に感じ、さらに「こんな作品は、ブラジルじゃないと作れないよね」という真実に到達します。それは、それだけ創作に対する生命力に彼らが満ち溢れているのです。

生命力が失われるということ。それは何事においても、サイクルが早くなり、計画的になることです。それは、まるで現在のコントロールされた、ラグジュアリー・ファッション業界のPR至上主義そのものであり、この作品の制作姿勢とは全く逆の姿勢なのです。

今、ファッション業界に求められているのは、ナマの臨場感であるような気がします。

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リトル・ゼ スタイル3

ピチピチのTシャツに短パンに金のネックレス
  • ネイビーブルーのTシャツ。ショルダーに赤と白のライン
  • 薄い水色の短パン
  • 羽振りがよくなり、金のネックレスを付け始める

撮影は実際の「神の街」では、危険すぎて行えませんでした。

どこか、中学生の息子に、母親が買ってくるシャツの雰囲気が漂っています。いわゆる「お母さんシャツ」です。

洗練されたストリート・ファッションなんかいらねえ!

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リトル・ゼ スタイル4

デニムシャツ
  • オレンジ色のステッチの入った半袖のデニムシャツ
  • 金のネックレス

デニム・スタイル。通称「囚人デニム」スタイル。

囚人シャツのようなデニムシャツ。

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70年代のリオデジャネイロとハンテン

麻薬中毒になり、最後はリトル・ゼの戦闘員として射殺されるチアーゴ(写真左)。

ベネ(写真右)は、麻薬を買いに来た彼のオシャレさに眼をつける。

ハンテンのシャツを着るチアーゴに大金を与え、オシャレなシャツとスニーカーを購入させる。

若者がボーダーに夢中になった70年代。

チアーゴが買い出ししてくれたハンテンを・・・

大切に着ているベネ。本当にイイ奴なのです。

1960年にアメリカのサンディエゴにて、サーファー青年のデューク・ボイドが、耐久性の強いサーフトランクスの縫製をドリス・ペックに依頼したことがきっかけとなり、創業されたサーフ・ファッション・ブランド〝ハンテン〟。足の裏のロゴは、サーフィンの高難度な技であるHANG TEN(ロングボードの先端に足指10本揃えて波に乗るテクニック)からインスパイアされたものです。

1967年よりライセンス事業が開始され海外展開がスタートし、70年代にはブラジルにおいても大流行しました。

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ベネのティアドロップのサングラス

かなり特徴のあるベネのティアドロップのサングラス。

さらに超絶似合っているアフロヘアー。

ただし、頑張りすぎると、ちょっと微妙な時もあります。

〝神の街一のイイやつ〟ベネのファッション・センスが実に魅力的です。特にティアドロップのサングラスが最高にカッコ良く、個性的で、今ではなかなか見つけることの出来ない形であり、人を選ぶデザインです。

そんなベネを演じるフィリップ・アージェンセン(1984-)自身も、この作品に出演する前は、本作に出演した兄ジョナサン・アージェンセン(カベレイラ役)と共に、〝神の街〟の丘の頂上にあるリビングルームしかない小さな家で母と共に生活していました。食事も睡眠もこの一室で家族全員で過ごしていたとフェリピは回想しています。そして、この作品に出演後、ベッドルームのある家に引越しました。

この作品の熱気は、作られたものではなく、出演者のバックグラウンドにより生み出されたものでした。こういう言い方はかなり語弊があるのかもしれませんが、ひとつの感覚として言うならば、貧困の中のイケメンほど魅力的なものはありません。

作品データ

作品名:シティ・オブ・ゴッド Cidade de Deus(2002)
監督:フェルナンド・メイレレス、カティア・ルンド
衣装:ビア・サルガド、イネス・サルガド
出演者:レアンドロ・フィルミノ・ダ・オーラ/ドゥグラス・シゥヴァ/フィリップ・アージェンセン