作品名:修羅雪姫 怨み恋歌 (1974)
監督:藤田敏八
衣装:記載なし
出演者:梶芽衣子/原田芳雄/吉行和子/岸田森
フレンチ・シックな着こなしができる梶芽衣子様
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この作品を見ると、それぞれの着物がいかにしてその女性の印象を変えるかということがよく分かります。
1970年代の鬱屈した空気が良いほうに働いていたのが一作目であるならば、二作目は完全に悪いほうに転んでいます。何も、修羅雪という魅力的なキャラクターを使って、反権力を謳いあげる必要はなかったのです。修羅雪の魅力は、間違いなく〝怨み〟を果たすために生まれてきたという一念であり、彼女は、一作目で死に終えるか、もしくは、逆に復讐される立場にでも陥るべきでした。
あくまでも時代の波とは関係なしに、私怨の世界で生きていたからこそ、修羅雪=梶芽衣子様は、タイムレスな魅力を放つに至ったのです。
しかし、この続編は完全に失敗作でありながら、依然として、梶芽衣子という女優は、本作においても、失敗作だから「ハイ、それまでよ」と言わせない魅力を放っていたのです。
まさにあるシーンにおいては、陳腐なストーリーを突き抜け「21世紀の東洋人女性にとっての着物との付き合い方」を教えてくれるPVの要素を持ち合わせています。着物には、現代浴衣のような可愛さもあれば、花魁のような豪華絢爛さもあり、大奥のような威風堂々としたものもあります。そして、また、修羅雪姫のようにフレンチシックな魅力もあるのです。
それにしても、あの、黄色い蝶が舞う着物が脳裏に焼きついて離れません。出来ることならば、トリコロールの着物を梶芽衣子様には着てもらいたかったんです。私は・・・
時代劇で、アンニュイさを表現した史上最初の女優。
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復讐を果たし、大切な人々を失い、抜け殻になった修羅雪からこの物語ははじまる。
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アンニュイさを漂わせながら・・・
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実にダルそうに刺客達を斬っていくその姿は、どこか拝一刀のようでもある。
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なぜか太鼓結びの帯は、若々しく陽気です。
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フレンチシックの窮み。
修羅雪姫ルック1 紫の縞の着物
- 紫の縞の着物、半衿
- 白地にカラフルな草花文様の帯、赤色の帯締め、太鼓結び
- 薄ピンク色の裾よけ
- 珊瑚の玉簪
- 仕込み刀の蛇の目傘
- 素足に黒塗りの二枚歯の下駄
クールという英語や、幽玄という日本語よりも、アンニュイというフランス語こそが相応しく、まるで抜け殻のようなムードを漂わせながら、刺客を斬って斬って斬りまくる。
本作のアイコニック・キモノ。
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大海原を背景に、おみ足をチラつかせながら警官を斬る修羅雪。
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こういうムードで全編を包み込んでいたならば、この作品は傑作になったでしょう。
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そして、三匹のうさぎの死体と共に、原田芳雄が登場します。
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この佇まいこそ修羅雪姫です。
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アースカラーの着物の色使いが粋です。
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藤田敏八監督と梶芽衣子様。
修羅雪姫ルック2 黄色の縞の着物
- 黄色の縞の着物、半衿
- 薄い黄色の花柄の帯、紫色の帯締め、太鼓結び
- 白色の裾よけ
- 珊瑚の玉簪
- 仕込み刀の蛇の目傘
- 草履
本作における最も修羅雪姫的な着物は、この縞の着物だろう。大海原を背景に、太ももを剥き出しにしながら仕込み刀を振る姿は、本作のハイライトです。
そして、本作のストーリー的な魅力は、この着物の登場をもって終了するのでした。