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ジバンシィ

【ジバンシィ】ホット クチュール(ジャック・キャヴァリエ/アルベルト・モリヤス)

ジバンシィ
©Givenchy Beauty
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ホット クチュール

原名:Hot Couture
種類:オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:ジャック・キャヴァリエアルベルト・モリヤス
発表年:2000年
対象性別:女性
価格:50ml/8,500円

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女性のエレガンスを磨く香り

©Givenchy Beauty

ラズベリー・グルマンを全面に押し出した「ホット クチュール」は、斬新かつ創造性に満ちた作品で、今日のネオンのようなグルマンを先取りしたものでした。しかし、それ自体は素晴らしい作品とも言えませんでした。

チャンドラー・バール

1996年から2001年までアレキサンダー・マックイーンがジバンシィの主任デザイナーを務めていました。そんなジバンシィの絶頂期に、パルファム・ジバンシィの敏腕クリエイティブ・ディレクターであるフランソワーズ・ドンシェの指揮のもと作られた香りが「ホット クチュール」です。

その名の通り、香りのイメージは、オートクチュールのドレスのように非常にグラマラスなオリエンタル・フルーティーの香りです。何よりも、グラマラスなのは、ジャック・キャヴァリエアルベルト・モリヤスというゴールデン・コンビによる調香だということです。


2024年現在、リニューアルされたボトルデザインで、ジバンシィの「ラ コレクション パルティキュリエ」が取り扱われている店舗限定で発売中です。

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真の意味での本物のファッション・フレグランス

この香りのミューズであるエヴァ・ハーツィゴヴァ。ジバンシィ1997年SSオートクチュール ©Givenchy

ジバンシィ1996年秋コレクション ©Givenchy

この香りのテーマは、〝洗練が生み出される瞬間〟です。

それはお世辞にも洗練とは程遠い、甘酸っぱくも、フレッシュなラズベリーとバニラのフルーティーなブレンドからはじまります。この香りは、間違いなく『マイ・フェア・レディ』や『プリティ・ウーマン』のような香りなのです。

その甘さをよりセクシー&グラマラスへ導くいていくか、スタイリッシュ&エレガンスへ導いていくかは全てあなた次第なのです。つまり使いようによっては、ただの甘ったるい露出狂のような香りで終わるところが、この香りの最大の魅力とも言えます。

それは持って生まれたスタイルとルックスの良さをどう生かしていくのかまだわからずに派手に着飾った女性が、一流のスタイリストの手によって、余計なものを剥ぎ取られていき、洗練されていく姿を実体験するようです。

つまりこの香りは、真の意味での本物のファッション・フレグランスなのです。

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マックイーン時代のジバンシィの香り

ジバンシィ1997年SSオートクチュール ©Givenchy

エヴァ・ハーツィゴヴァ。一体このカッコ良さは何! ©Givenchy

デザイナー:アレキサンダー・マックイーン ©Givenchy

マックイーンとエヴァ・ハーツィゴヴァ ©Givenchy

やがて、ベチバーが、甘酸っぱいラズベリーの無駄な要素を、ビターなスモーキーさにより削ぎ落としていきます。そして、華やかでフルーティーなマグノリアが、ドライになったラズベリーと見事に結びつく中で、ブラックペッパーがベチバーと結びつきラズベリーリキュールのような独特な存在感を与えてゆきます。

ドライダウンにおいて、アンバーを中心にクリーミーなサンダルウッドとムスクが、ペッパーの効いたラズベリーリキュールに、タバコのようなスモーキーレザリーさを加えてゆきます。

実にロマンティックな大人のラズベリーが磨き上げられた姿を肌の上で体感しながら、ジバンシィ=オードリー・エレガンス風の背筋が伸びるような余韻に包まれてゆくのです。

ジャック・キャヴァリエはこの7年後にトム・フォードでラズベリー×レザーの香り「タスカン レザー」を生み、2016年にルイ・ヴィトンでアプリコット×レザーの香り「ダン ラ ポー」として、フルーティー・レザーの頂に登り詰めることになるのでした。

キャンペーン・モデルとしてエヴァ・ハーツィゴヴァ(1973-)が登場し、ピンクのドレスが裁断されていくキャンペーン広告は当時話題になりました。幾何学的なボトル・デザインはセルジュ・マンソーによるものです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ホットクチュール」を「お粗末なラズベリー」と呼び、「いんちきな50年代のパッケージは、マドンナのヒット曲「Lucky Star」と同類。彼女の美意識がもてはやされた時代のものだ。楽しい人造ラズベリー入りアイスクリームのアイデアをセンスのいいアンバーでうまく包んでいる。」

「私はこの香水が廃番になったと思っていた。どういうことかって?パッケージのデザインが新しくなっていたのだ。面取りされた黒いガラスがピンクの液体入りの透明ガラスになっていたし、アールデコ風のクチュールドレスのデザインが少女っぽいピンクのラベルに変わっていた。ジバンシィはパッケージを一新してさらなる売り上げを狙ったけれど、人気が出なくてそのままにしているのだろう。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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オード・トワレ・ヴァージョン

©Givenchy Beauty

同じ年に発売されたオード・トワレ・ヴァージョンは、EDPと比べると、より明るく、よりフルーティーにスパークリングする甘さがあります。そして、ブラックペッパーは弱く、ベチバーも控えめです。

スモーキーでアンバーが支配的なドライダウンまで、トップノートにアマルフィ・レモン、ミドルノートに、ストロベリー、ローズ、チューベローズが加えられているため、常に若々しくピンク色のイメージの香りです。

ジバンシィ版「ミス ディオール シェリー」、または「ココ マドモアゼル」といった趣があります。


「オード・トワレ」も2024年現在、リニューアルされたボトルデザインで、ジバンシィの「ラ コレクション パルティキュリエ」が取り扱われている店舗限定で発売中です。

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香水データ

香水名:ホット クチュール
原名:Hot Couture
種類:オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:ジャック・キャヴァリエアルベルト・モリヤス
発表年:2000年
対象性別:女性
価格:50ml/8,500円


トップノート:オレンジ、ラズベリー、ベルガモット
ミドルノート:マグノリア、ブラックペッパー
ラストノート:サンダルウッド、アンバー、ムスク、ベチバー