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【ウビガン】エッセンス レア(ジャン=クロード・エレナ)

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©Parfums Houbigant Paris
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エッセンス レア

原名:Essence Rare
種類:オード・パルファム
ブランド:ウビガン
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:1928年、1976年、2018年
対象性別:女性
価格:100ml/34,100円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP

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シャネルNo.5に対抗して生み出されたウビガンの香り

©Parfums Houbigant Paris

1775年に創設されたウビガン。この世界最古のフレグランスブランドから1928年に発売された「エッセンス レア」は、1921年に発売されたシャネル「N°5(No.5)」に対抗するべく、ルール・ベルトラン社の調香師ポール・シュビングにより調香された強いシベットとムスクによるアニマリックなフローラル・アルデヒドの香りでした。

それは〝稀有なるエッセンス〟という名に相応しい荘厳たる花々のクラシック交響曲のような香りでした。

トップノート:アルデハイド、ベルガモット、スズラン
ミドルノート:ゼラニウム、ローズ、アイリス
ラストノート:サンダルウッド、アンバーグリス、バニラ、オークモス、ムスク、トンカビーン、ベチバー、シベット


さらに、ボトル・デザインも荘厳であり、20の面を持つダイヤモンドのようなバカラボトルが特徴でした。

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ジャン=クロード・エレナのデビュー作

©Parfums Houbigant Paris

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この香りには、完璧な調和と確かな味わい、そして大胆さを恐れることなく、1968年5月以前の数年間の私の香りに対する情熱が込められています。

私の夢を実現するためには、私が身につけた長年の調香トレーニングの成果を発揮しなければなりません。私は「エッセンス レア」でついにそれを実現する機会に恵まれたのでした。

ジャン=クロード・エレナ

やがて第二次世界大戦が終わり廃盤になっていたこの香りを蘇らせたのがまだ無名の時代のジャン=クロード・エレナでした。

1973年に、ジボダン社のニューヨーク支社で働くようになったばかりのエレナの最初の仕事は、アメリカ人の同僚の助けを借りて、ウビガンのために香水を創ることでした。

そして、エレナは70年代にクラシック香水としての地位を確立していた「カレーシュ」「マダム ロシャス」「No.5」「アルページュ」を想わせるローズ、ジャスミン、スズランの3つの花をベースにした香り「エッセンス レア」の再生に乗り出したのでした。

それは「オリエンタル香水よりも、フローラル香水が好きだった」というエレナにとっても、最高の栄誉でした。彼は、アンバーの官能的な香りよりも、花の囁きと愛撫を好んでいました。かくして1976年にフローラルアルデヒドシプレの復刻版が生み出されたのでした。

アルデハイドの爆発と共に、ベルガモットとオレンジが弾ける中、パウダリーなアイリスとシベットの柔らかな魔法の粉が空気に溶け込んでゆきます。そして、スズランを中心にローズ、ジャスミンが軽やかにロマンティックな花を咲かせてゆきます。

やがて、香り全体はシプレの星雲に飲み込まれ、三種類の花々は、個々の香りを認識させない〝神秘の花の世界〟へと私たちを導いてくれるのです。

トップノート:アルデハイド、カモミール、ベルガモット、グリーンノート、オレンジ
ミドルノート:ブルガリアンローズ、ゼラニウム、スズラン、オリス、メイローズ
ラストノート:フィグリーフ、サンダルウッド、アンバーグリス、バーボン、シベット、ムスク、オークモス、トンカビーン、ベチバー

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2018年にエレナ自身の手により復刻した「エッセンス レア」

©Parfums Houbigant Paris

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2005年にウビガンを再建するために買収したペリスグループのジャン=ルカ・ペリスが、ウビガンの香水イベントで、ジャン=クロード・エレナと初めて対面した時、エレナから1990年に廃盤になっていた「エッセンス レア」が「私のデビュー作だったのです」と聞かされびっくりしました。

今なら新しい形でこの香りを生み出せるでしょうと提案するエレナの情熱に対して、ジャン=ルカは、『ラ・コレクション・プリヴェ』という新しいコレクションのプロジェクトを始動させ、そのうちのひとつの香りとしてこの香りを復刻させることにより応えたのでした。

かくして、エレナの再調香により2018年に生み出されたのが現行版の「エッセンス レア」です。エルメス退任後はじめて調香した香りとなります。この香りにおいて、水彩画のようなエレナ・タッチとは全く違う、色々な花々の息吹を感じさせる新しいエレナ・タッチが披露されることになりました。

この香水は、かつて存在したその姿ではなく、私が望む姿にアップデイトされています。香水の処方を進化させるという夢を実現しました。一般的に香水の処方を変えることは好まれないと思いますが、個人的には〝匂いを書く人間〟として、この可能性に興味がありました。

作家が自分の作品を訂正するように、あなたは一生、同じように考え、同じように感じることはないでしょう。私の経験は私を作り上げ、私の感性は進化してきました。

進化した「エッセンス レア」は、クラシックなフレンチスタイルはそのままに、よりクリアに、より読みやすく、より繊細に、コンセプトよりも花や森といった素材に誇りを持ったものに書き直したものです。

ジャン=クロード・エレナ

明るい春風を想わせるマンダリンと共に、柔らかな陽光に温められた清らかなスズランを中心に、気品溢れるローズとインドールの効いたなジャスミンが広がってゆきます。

同時に、ロマンティックな時代を越えたパウダリーフローラルの軽やかな優美さが、アイリスにより演出されてゆきます。アイリスによりこれまでになくパウダリーグリーンな魅力を開花させるスズランがそこにあります。

やがて、サンダルウッドとオークモス、そして、バニラパウダーに温められた花々は、〝きらめくような緑の息吹=シプレ〟の美しさを肌の上に残してくれるのです。穏やかな花々の開花を全身で感じ取ることができる非常に贅沢な香りです。

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香水データ

香水名:エッセンス レア
原名:Essence Rare
種類:オード・パルファム
ブランド:ウビガン
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:100ml/34,100円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP


トップノート:マンダリン
ミドルノート:ジャスミン、ローズ、スズラン、アイリス
ラストノート:サンダルウッド、オークモス、アンバー、バニラパウダー