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【ペンハリガン】エリクシール(オリヴィア・ジャコベッティ)

ペンハリガン
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エリクシール

原名:Elixir
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:オリヴィア・ジャコベッティ
発表年:2008年
対象性別:男性
価格:不明

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オリヴィア・ジャコベッティ唯一のペンハリガンの香り。

オリヴィア・ジャコベッティ様

世紀末を迎え、再び、ペンハリガンは、時代から取り残されようとしていました。そして、2002年に、ラルチザンと共にフォックス・ペイン・アンド・カンパニー(Fox Paine & Company、アメリカ企業)に買収されたのでした。

レブロンの創立者チャールズ・レブソン(1906-1975)に師事し、エスティローダー移籍後は、グローバル・プレジデントとしてジョー・マローンの世界進出を見事成し遂げたロバート・ニールセンをCEOに据えたコスメ会社クレイドル・グループを発足させ、その傘下にラルチザンと共に入ることになりました。

そしてサラ・ロザラムが2007年よりペンハリガンのジェネラル・マネージャーに就任したのでした。彼女は、2000年から2007年にかけてリテール・コントローラーとして、モルトン・ブラウンの世界進出を手がけ、毎年2桁の売上伸長率を実現させ、2005年に花王に売却させた功労者でした。

早速彼女は、ナタリー・ヴィンチグェッラという元々ロレアルで7年間キャリアを積み、香水に関するベストセラー作家となった女性をクリエイティブ・ディレクターに抜擢し(2007年1月~2015年12月)、2008年に新体制における最初の香り「エリクシール」を誕生させたのでした。〝万能薬〟の意味を持つ名の香りは、オリヴィア・ジャコベッティが調香した唯一のペンハリガンの香りでした。

安息日の香りのようですが、明らかにそれはブラック・サバス=黒い安息日の香りです。あなたの中に宿る静かなる悪の力が養われていく香り。まるで、額に666を刻みつけたかのような、実の母親は犬だったことを知るような黒ミサの香りです。

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悪魔のインセンスと天使のユーカリの対決を見守るピュアローズ


天使が運んできたのではなく、明らかに悪魔が運んできたようなインセンスの香りからこの〝ブラック・エリクシール〟ははじまります。すぐにダークなインセンスに、閃光のように光る、清涼感に満ちたユーカリがぶつかり合います。

悪魔のインセンス(温かい)と天使のユーカリ(冷たい)の対決が、静寂の中行われるのがこの香りの崇高さです。以降、現れる香りに対して、それぞれどっちのサイドに連なっていくのかという楽しみを素肌で感じ取ることができるのです。

さあシナモンがインセンスに甘く囁く一方で、カルダモンとカモミールがユーカリにグリーンの煌めきを与えてゆくのです。そして、いよいよ純真無垢な可憐なる乙女ターキッシュ・ローズの登場と相成ります。

オレンジ・ブロッサムとジャスミンの花の蜜のシャワーを浴びたローズに、スパイシーなインセンスとスーッと爽快なユーカリが襲来するのです。さらにトンカビーン、ローズウッド、ベンゾイン、バニラ、サンダルウッド、ガイアックウッド、シダーが対決を盛り上げるグレゴリオ聖歌のように香り立ち、ステンドグラス越しの光が乱反射する教会のような、くすんだ木とシングルモルトと陰鬱とした甘くも温かい空気で満たしてくれるのです。

純真無垢なピュアローズを巡る悪魔のインセンスと天使のユーカリの戦いが素肌の上で、はかなくしづやかに展開される、非常に珍しい中世ヨーロッパの世界を連想させるゴシック・フレグランスです(ドラキュラのいる古城、ローズマリーの赤ちゃんも連想させます)。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「エリクシール」を「シナモン・ローズ」と呼び、「鼻につんとくるポプリもどき。騒々しいだけ。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:エリクシール
原名:Elixir
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:オリヴィア・ジャコベッティ
発表年:2008年
対象性別:男性
価格:不明


トップノート:ユーカリ、シナモン、カルダモン
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、ターキッシュ・レッドローズ、エジプト産ジャスミン、メース
ラストノート:トンカビーン、ブラジリアン・ローズウッド、ベンゾイン、バニラ、レッド・サンダルウッド、ガイアックウッド、インセンス、シダー