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【グタール】フォラヴリル(アニック・グタール)

アニック・グタール
©Goutal Paris
アニック・グタール
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フォラヴリル

原名:Folavril
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1980年
対象性別:女性
価格:未定

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アニック・グタールのいちばんさいしょの香り

アニック・グタール


ピアノの神童として、英才教育を受け、ファッションモデルとして、若き日々を英国で過ごし、グラースで出会った、香水文化に一瞬で恋に落ち、生涯を〝香り〟に捧げたアニック・グタール(1946-1999)。

彼女の記念すべきいちばんさいしょの香り「フォラヴリル」は、1980年に生み出されました(一般的には1981年と言われているがどうやら1980年が正しいらしい)。

「フォラヴリル」とは、〝エイプリルフール〟の意味ですが、アニックが、かつてパリでオープンしていたアンティークショップの名前でした。それは彼女が敬愛するボリス・ヴィアンの小説「赤い草」(1950)の主人公の名を取ったものでした。

時は経ち、1975年にカミーユ・グタールが生まれ、すぐ後に乳癌になったため「フォラヴリル」を閉めました。そして、闘病生活を経て、アニックは人生の短さとはかなさを知り、自分が最も行いたいと思っていたことに挑戦したのでした。

アニックが父親から30,000フラン借り『アニック・グタール』が創業されたのは1979年のことでした(公式にはベルシャス通りに一号店をオープンした1981年を創業日としています)。そして、1980年に「フォラヴリル」と「オーダドリアン」を、ごく少量生産しました。

あまりに少量のため、工場生産できず、友人たちと共に、香料を計量し、ボトルに詰め、ラベルを手で結び、ボトルをセロハンで包むという文字通り全て手作りで生み出されたのでした。

この香りが極めて上品な化粧品を連想させるのは、もともとアニックの親友ミシュリーヌ・ペロー(カミーユの名付け親)が作った、スイスの高級化粧品の流れを汲む自家製フェイスクリームのための香りとして生み出されたためでした。

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元々はフェイスクリームの香りとして生み出されたもの

©Goutal Paris

とろけてそそるようなフルーティーなマンゴーの中に、フレッシュなジャスミンとイランイランが溶け込んでいくようにしてこの香りははじまります。そこに、一筋の光が差し込むようにトマトリーフが(苦くて酸っぱい)グリーンとスパイスのシャープなコントラストを加えてゆきます。

どうやらこのマンゴーには、バターやシュガーを感じさせる徐に(パッションフルーツのような)トロピカルなムードは存在しないようです。実にしなやかで豊かな自然のマンゴーがそこにあります。

それはまるで黄色い太陽の光彩が白いヴェールに包まれふんわりと甘い香りを放つ中、緑色の時限爆弾が音もせず爆発するような、実に洗練されたフルーツとフローラルとグリーンのハーモニーのようです。

そして、ゆっくりと(アルデハイドにより)発泡する三重奏を、(ピーチやラズベリーのような香りがする)ボロニアがふんわりとパウダリックに、鮮やかに包み込んでゆくのです。それはとても美しく、爽やかにソーピィーな余韻を肌に残してくれます。

マドンナがスター街道を駆け上る間、そして、スターになってからもずっと愛用している香りです。

『クリーン』というブランドの香水が好きな方々のハートを鷲掴みにするような香り。『クリーン』の源流とも言える香りです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ほとんどが天然原料で構成されているのに、柔軟仕上げ剤にこれほど近いなんておもしろい。陽気な男性用香水を作れるかも。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:フォラヴリル
原名:Folavril
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1980年
対象性別:女性
価格:未定


シングルノート:トマト・リーフ、マンゴー、ジャスミン、ボロニア