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『ティファニーで朝食を』Vol.4|オードリーとニューヨーク五番街のティファニー本店

オードリー・ヘプバーン
オードリー・ヘプバーン
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史上初のティファニー本店ロケ撮影

1940年にオープンしたニューヨークのティファニー本店内が、本作において史上初めて公開されました。基本的にどれほどの信頼関係があろうとも盗難保険等の関係で宝石店が、映画のロケ撮影に協力することはありません。

営業時間を避けて、夕方5時から早朝まで、2週間、五番街の交通を遮断して行われ、お客様の役も含めてエキストラは全て店員(盗難防止のため)が扮しました。有名なオードリーのリトルブラックドレス姿の写真の多くが撮影され、結果的に、ティファニーにとっても、現在に至る有用な宣伝材料を手にすることになったのでした。

原作は当初『ハーパーズ バザー』で掲載される予定でしたが、大きな広告主であるティファニーが内容に不快感を抱くのではないかと編集者が危惧し、掲載拒否されました。

その時、作者のトルーマン・カポーティ「そのうちにティファニーは僕の本をウィンドウに飾るようになるよ」と述べたと言われています。そして、このロケこそが、ティファニーが原作を認めた結果、実現したことだったのでした。

ちなみに、原作の中でポールがホリーにクリスマス・プレゼントとして渡したティファニーの商品は、聖クリストフォロスのメダルでした。

〔この映画で〕私は期せずして世界のファッション界の大物たちのなかに混じり、ある日突然、オードリー・ヘプバーンが選んだ衣装の数々を目にすることになった。もちろん、「すごいなあ。僕はこういうことには疎いんだ」などと間抜けなことを言うつもりは毛頭なく、静かにしていたよ。〔ファッションのことは〕この映画を撮って、おおいに勉強になった。

ブレイク・エドワーズ

史上初めてティファニーの店舗内で撮影された映画。

10ドル以下の商品を求める二人に真摯に対応するティファニーの店員の対応が素晴らしいシーン。

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ホリー・ゴライトリーのファッション8

ピーチナイトガウン
  • デザイナー:イーディス・ヘッド
  • ピーチカラーのナイトガウン



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「今までしなかったことをしよう!」→心からのキス

オードリーとジョージ・ペパードは、全く違う演技スタイル(ペパードはメソッド演技法)でしたが、生涯に渡る親友となりました。

男性と女性が子どもじみた遊びを楽しむ瞬間、恋ははじまる。

ポール・バージャックの原稿が売れたことを祝い、2人は早朝から街に繰り出すことになりました。〝今日は一日したことないことをするのよ。変わりばんこに〟ということで、まずティファニーで買い物をする2人。所持金が2人合わせて10ドルしかなかったので、コーンキャンディーのおまけの指輪に刻印をいれてもらうのです。

その時のティファニーの販売員の言葉が素晴らしいのです。「コーン・キャンディーにはまだおまけがついてるのですか?懐かしいですね。何か不思議な気持ちがしますよ。私の子どもの頃にあったものがまだあるなんて」と感慨深げな気持ちになり、特例で、購入品じゃないものに刻印を入れてもらうことになるのです。

最後に雑貨屋で、お面をかぶり、そのまま店を出て、万引きする2人。一心不乱に駆けて逃げ、玄関先で、そのお面を取って、「今まで心を覆っていたものも一緒に取って」キスをする2人。

利害関係のキスで生きてきた2人が、心のキスを交わした瞬間でした。そして、それは2人が今までしたことのないことを共有した瞬間でした。

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ホリー・ゴライトリーのファッション9

コクーンコート
  • デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
  • オレンジのウールコート。ファンネルネック(バレンシアガの影響)。大きめのボタン。ダブルで4つ。3/4丈のスリーブ。バルーンシルエット。ウエスト部分の切り替えでメリハリ
  • グレーのツイードドレス
  • ブラウン・ファーハット。釣鐘型
  • ブラック・ローヒールパンプス
  • パテントの黒のハンドバッグ。シャネル2.55バッグ(1955年2月に誕生したことからこの名前が)
  • オリバー・ゴールドスミスのサングラス「マンハッタン」(1960年)

ポールのアイビールックも素敵です。

見事なファンネルネック

コートのエレガントなバックシルエット。

お面を盗んで雑貨屋から逃亡する二人。

コートの中に着ているツイードドレスが分かります。

ドレスとコートの絶妙なバランス。

グレーのツイードドレス

シャネル2.55バック。この作品によりリバイバル・ヒットする。

ジョージ・ペパードがとても魅力的です。

持ち手がチェーンのハンドバッグや、大きなフレームのサングラスが、本作の影響により大流行しました。

1961年6月。撮影のため待機中のオードリーとジョージ・ペパード。

映画で使用されたジバンシィのコート。

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ホリー・ゴライトリーのファッション10

図書館ルック
  • デザイナー:イーディス・ヘッド
  • 抹茶色のカーディガン、黒のワンポイント入り
  • ハイウエストのブラックカプリパンツ
  • オリバー・ゴールドスミスのサングラス「マンハッタン」(1960年)

オードリー・ヘプバーンという存在のすごさ。それは、図書館でサングラスをかけていても全く違和感を感じさせないところにあります。

彼女はサングラスをかけたまま、机の上に書籍を砦のように積み上げていた。そしてそれを片っ端からとばし読みしていった。まるで上下が逆さまに印刷された本を読んでいるみたいに見える。

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 1958年(村上春樹訳)





最後に、ホリーがポールと喧嘩した時に言う台詞が面白いです。

ここからドアまで歩いてだいたい四秒かかるんだけど、二秒だけあなたにあげる。

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 1958年(村上春樹訳)

作品データ

作品名:ティファニーで朝食を Breakfast at Tiffany’s(1961)
監督:ブレイク・エドワーズ
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ/イーディス・ヘッド/ポーリーン・トリジェール
出演者:オードリー・ヘプバーン/ジョージ・ペパード/パトリシア・ニール/ミッキー・ルーニー/マーティン・バルサム