アンナ・カリーナ

アンナ・カリーナ1 『気狂いピエロ』1(2ページ)

    アンナ・カリーナ登場。

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    このエスカルゴヘアーのアンナ・カリーナの〝静の魔性〟。

    俺には見るための〝目〟がある。そして、聞くための〝耳〟話すための〝口〟がある。それが全部バラバラに動くような感覚にとらわれる。動かしているのは俺なのに、俺が何人もいる感覚になる。

    フェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド)

    女子高生のようなブレザーとプリーツスカートで登場するアンナ・カリーナ。憎らしいほどに完全無欠に似合っています。それにしても、どうしてゴダールの中のジャン=ポール・ベルモンドは魅力的なのでしょうか?他の作品の自信に溢れている彼よりも、どこか頼りない女性的な雰囲気が漂うベルモンドに私は魅力を感じます。

    そんなフェルディナンの前に登場する女の名はマリアンヌ・ルノワール。ヘアスタイルはエスカルゴヘアー。このシーンのオフィシャルな写真は一切存在しないと思うのですが、私は、この佇まいに、フレンチ・ロリータの系譜を強く感じます。フレンチ・カジュアルの一つの潮流に存在するのは、大人の女の中に奇妙に同居する少女の魅力なのです。そうなのです。アンナ・カリーナとは戦場なのです。

    アンナ・カリーナ・ルック1 フレンチ・ロリータ
    • ネイビーのブレザー。鷲のワッペン
    • 白シャツ、レースのラウンドカフス
    • 赤系のプリーツスカート
    • バレエシューズ

    ゴダールの色彩感覚を体験し、自分の新しい色を見つける!

    水色のバスローブ。夜会巻き(フレンチ・ツイスト又はフレンチロール)。

    ピカソ、モディリアーニ、マティス、シャガール、ゴッホ、ルノアールといった絵画と銃の中で、水色のバスローブを着て、突然歌い始めるアンナ・カリーナ。ゴダールの色彩。それは、色を感じない世界に生きている私たちに色を思い出させてくれる体験。

    どうして私たちは色を感じなくなってしまったのだろうか?もしかしたら、すべてが現実的過ぎて、もう色に対する幻想を失ってしまったのだろうか?昔は、映画には色が存在しました。白黒映画の中に存在する多くの色。その中には、幻想的な赤もあれば、青もありました。フィルムによる独特な色彩も色に幻想性を生み出していました。今の映画にある色は、現実世界の色だけです。色を失い、私たちはファッションを失った。今、私たちが色と呼んでいるものは、色の抜け殻なのでしょうか?

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    この作品のファッションは南に向かうのです。

    PIERROT LE FOU, Jean-Paul Belmondo, Anna Karina, 1965

    この目で見つめられたら、男性は心を奪われることでしょう。

    (stills 117826n) Jean-Paul Belmondo, Anna Karina

    常に犬のポーチを持ち歩く。

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    タバコをふかす時も犬のポーチを片時も離さず。

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    この瞬間。二人の破滅への扉は開かれたのでした。

    当初ゴダールは、マリアンヌ役にシルヴィ・ヴァルタン(1944-)を考えていました。そして、フェルディナン役にはリチャード・バートン(1925-1984)を。

    アンナ・カリーナ・ルック2 ラッフル・ワンピース
    • ペールピンクのワンピース。白のライン。ノースリーブでフリル。縦に白レースが4連。ローウェストでラッフルスカート
    • くすんだ水色のカーディガン
    • メリージェーンシューズ
    • 常に犬のポーチ(ミラーとリップしか入らない)を持ち歩く

    時代の遥かに先を行くミリタリー・スタイル

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    ミリタリーテイストに、タータンチェックのアンサンブル。

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    アンナ・カリーナの動きがペットのようで可愛いのです。

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    なぜか突然ダブルのスーツにチェンジしているベルモンド。あまり似合っていません。

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    アンナのカラーリングが絶妙というよりも創造的です。

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    演技指導するジャン=リュック・ゴダール(右端)。

    発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目を持つことなのだ。

    マルセル・プルースト

    もし仮に、映画を見る意味が、分かりやすいストーリーが生み出す爽快感であったり、悲劇や喜劇を楽しむことだけであったならば、それは人間の思考能力を奪う愚かな産物に過ぎません。本来映画を見るということには、二面性があり、一つは爽快感であり、もう一つは混乱なのです。そして、それはファッションにも当てはまります。

    ファッションの本来の面白さとは、自分自身の手により自分を裏切ることが出来ることなのです。果たして自分らしさとはなんでしょうか?それは鎖につながれた人を意味するのでしょうか?もっともっと新しい目を持ちたい。誰かを裏切るためには、裏切る対象を知る必要があります。自分を裏切るために自分を知らなければなりません。色々なスタイルを持っている人。それは常に自分への反逆者であり、混乱の中を生きることが出来る人なのです。

    「あなたなぜいつも犬のポーチを持っているの?」「分からないわ」「ただ持ちたいから持ってる訳じゃないことだけは確か」それがファッションの反逆なのです。自分が分からないことだからこそする精神。もっとはっきり言うならば、自分の知らなかったファッションを見ること。ただこれをすることだけがファッションの反逆精神なのです。

    アンナ・カリーナ・ルック3 ミリタリー・スタイル
    • 迷彩の中国帽
    • USARMYと書かれたフィールドジャケットM-1943 。ベビーコットン(モッズパーカーはM-1951)
    • 赤と黄と黒のタータンチェックのパンツ、短め
    • 赤のシャツ
    • 水色のソックス
    • 白のスニーカー



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