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デルフィーヌ・セイリグ2 『去年マリエンバートで』2(2ページ)

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作品名:去年マリエンバートで Last Year in Marienbad / L’Année dernière à Marienbad (1961)
監督:アラン・レネ
衣装:ココ・シャネル
出演者:デルフィーヌ・セイリグ/ジョルジュ・アルベルタッツィ/サッシャ・ピトエフ

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「黄泉の国への待合室」を描いた作品

1920年代のサイレントムービーの世界観が、効果的に取り入れられています。

蝋人形のように動かない人々の中で、ただ一人動くA。

デルフィーヌ・セイリグ・ルック3 ブラックシフォンドレス
  • デザイナー:ココ・シャネル
  • ブラックシフォンドレス
  • バイカラーパンプス

全くもって危険な作品としか言い様がありません。一歩間違えると凡庸さに支配されかねない撮影手法が取られています。つまり、登場人物たちが、監督の指示通りにただ単にこっちを向いてあっちを向いて動いているだけだと観客に感じ取られたならば、ハイそれまでよというような、ちまたのアート志向の作品が陥りやすい、狙い過ぎで、独りよがりな空気を生み出しかねない作品でした。真の芸術とは、この危険な山を登りきった作品のことを示します。

本作からは、揺るぎない意志の力が感じられます(それ故に眠気を誘発する)。どこまでも、登場人物それぞれが、その不思議な世界観に同居しています。それは、白黒映像、意外に少ないカット割り、ヘアメイク、衣裳、音楽、カメラワーク、演者の演技力、舞台といった全ての要素が、パズルのピースのように効果的に組み合わさった結果生み出された真の芸術性ゆえにです。

実に不思議なことなのですが、意志の疎通を描いた黄泉の国への待合室のような不思議な世界観=それぞれが違った方向を向いていたり、動かないその世界観を創造するために、出演者たちは強固な共犯関係を築き上げた上で撮影されているのです。

その結果として、生み出された世界観は、まさに同じ空間にいるが、各々がスマートフォンを見ているかのような現代の世界の縮図のようでもあり、それが、この作品を見て、「そこにいるのは、まさに私たちではないか?」と感じさせるのです。

現在のファッション・フォトやムービーの多くが、本作の世界観を参考にしていても、なかなかこの領域に達することが出来ない理由は、まさに狙い過ぎている世界観に、あらゆる要素がついていけていないからです。シャネルの2011年春夏コレクションは、まさにこの好例だと言って良いでしょう。

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実際に二人は去年マリエンバートで会っていたのだろうか?

シャネル社にとってこの作品は、芸術以上の価値を持つ作品である。

どこかイネス・ド・ラ・フレサンジュにも似ている。

ドレープよ!ココ・シャネルのミニマリズムの意図が理解できる瞬間。

白黒映像の効果を生み出すために、壁にはピンクが塗られていた。

まるでラグジュアリー・シューズの広告のような絵。

どこか死人を連想させる蝋人形のようなメイクアップ。

アラン・レネに対して振り返るデルフィーヌ。ドラマティックな瞬間。

デルフィーヌ・セイリグ・ルック4 ホワイトシフォンドレス
  • デザイナー:ココ・シャネル
  • ホワイトシフォンドレス
  • バイカラーパンプス

名もなき男が、突然美しい人妻に、「去年マリエンバートであなたに会いました」と声をかけます。しかし、この女性は「私はあなたを知らない」とこたえます。本当は会ったことがあるのか?それとも本当に会ったことがないのか?知る由もありません(アラン・レネは、たぶん会ったことがあるのだろうと答えています。一方、脚本を担当したロブ=グリエは、会ってないだろうと答えています)。

しかし、最も重要なことは、彼女がこの男の繰り返し尋ねる同じ質問に対し、「確かに、昔彼と会っていた。そして、愛し合った」という答えを共有しあうようになるのです。この作品の素晴らしいところはこの一点にあります。それは「女はそれを待っている」という平凡な主題を、芸術の域にまで昇華させたところにあるのです。

もっともアイコニックなリトルブラックドレス

鏡の国のデルフィーヌ。

もっとも印象的な、4回連続ベッドに倒れこむシーンもこのドレス。

どこか悪魔的なメイクアップです。本当の死神は彼女だった。

果たして死人に影は存在するのだろうか?

シャネルらしいバイカラーのスティレットヒール。

デルフィーヌ・セイリグ・ルック5 リトルブラックドレス
  • デザイナー:ココ・シャネル
  • リトルブラックチュールドレス、スクエアネック、Xストラップ・バック
  • 2連のアクセサリー
  • パールのドロップイヤリング
  • バイカラーパンプス、スティレットヒール

明らかにこの作品のデルフィーヌ・セイリグは、美しさのためにメイクをするのではなく、美しさを封印するためにメイクを施しています。それがゆえに時に老けて見えるほどに、どこか悪魔的なメイクなのです。

もしかしたらこの集まりは、悪魔の集まりかもしれません。そして、Xと呼ばれる男こそが、天使なのかもしれません。物語が進むにつれて、デルフィーヌ扮するAの表情には若さ=生気が蘇ってきます。彼女は最後に死に支配された世界を抜け出て、人間になったということなのでしょうか?

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