ド派手なスーツの次はモードなサングラス!
「これからノシあがるぞ!」オーラ全開のトニー・モンタナが、次に変えたファッションは、サングラスをつけるということでした。
リンダファローのサングラスの登場です。リンダファローとは、元々ファッション・デザイナーだった彼女が1970年に立ち上げたサングラス・ブランドでした。当時、ハイ・ファッションとサングラスを結びつけることがなかった時代に、それを結びつけた革新的なイギリスのブランドです。
それはアヴァンギャルドなデザインを売りとし、オノ・ヨーコとのコラボや、ディオールやイヴ・サンローラン、バレンシアガ、ソニア・リキエルなどのアイウェア・デザインも担当しました。
80年代に子供の養育を優先しクローズしていたビジネスを、2003年にリンダの息子サイモン・ジャブロンが再建し今に至ります。最近ではサカイやドリス・ヴァン・ノッテン、ラフ・シモンズ、フィリップ・リム、アレキサンダー・ワン、イーリー・キシモトとのコラボで話題を集めています。
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リンダファローの6031
トニー・モンタナのファッション5
リンダファロー
- サンドベージュのボタンダウンシャツ、ロールアップ、白ボタン
- サングラス:リンダファロー6031
- 白パンツ
- ブラウンの細レザーベルト
- タン色のスエードの革靴
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サンドベージュのボタンダウンシャツとの相性もばっちりです。
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この表情こそ、トニー・モンタナです!
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ここぞとばかりに成金ヤクザルックが加速していきます。
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しかし、まだ18金の腕時計はつけていません。
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マイアミなのでジャケットは必要なさそうです。
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マニーのポロシャツの色が素敵!
世界で最も薄い高級腕時計
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世界で最も薄型のゴールドウォッチを見せつけるも、まったく無視のエルヴィラ。
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コンコード デリリウムのティファニー社の広告。当時、世界で最も薄い腕時計でした。
このスーツは二度登場します。最初はエルヴィラに自分自身の金回りの良さを見せるためにカーディーラーに行くシーン。そして、二度目は潜入捜査に引っかかり逮捕されるシーン(赤のドレスシャツと赤のシルク・ポケットチーフ)においてです。
スーツでキメているにも関わらずトニーも相棒のマニーも競い合うように、シャツのボタンを外し、胸毛を誇示しています。
さて、このシーンから登場するのが、コンコルドのデリリウム マリナーという1978年に誕生し、当時世界最高の薄さを誇った1.98mmの薄型の18金ボディにわに革のベルトのものを付けた黄金の腕時計です(かつてこの時計は、オメガのラ・マジークという、1981年に僅か261本だけ作られた、21世紀にはもはや100本も残存していない〝幻の黄金時計〟と言われていました)。
トニー・モンタナのファッション6
コンコルドのデリリウム マリナー
- タンカラーのスーツ。80年代前半に流行したスタイルで、ノッチラペル。低めの2つのフロントボタン、ダブルベンツ、ローライズ・トラウザー
- クリーム色のシルク・ポケットチーフ
- ダークブラウンシャツ、胸ポケット、ラージカラー
- ブラウンの細レザーベルト
- コンコルドのデリリウム マリナー
- 2つのイエローゴールド・ネックレス
- タンカラーのスエードのポインテッド・キャップトゥシューズ
- ティアドロップ・アビエイター・サングラス
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無表情・無感動の女エルヴィラに恋した瞬間。トニーの終わりは始まった。
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エルヴィラのために黄色の1963年キャデラック・コンバーチブル(内装はゼブラ!)からポルシェ928に乗り換えようとするトニー。
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銀行に大金を運ぶシーンでも、赤のシルクのシャツに合わせてこのスーツを着ています。
ドラッグ・ディーラー・ファッション
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このスカーフェイスの位置がもう絶妙です!
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絶対に向かいから歩いてきたら目を合わせたくない男。
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究極のモノトーン・ヤクザ・スタイル。
その後のホワイト・スーツとは違いシングルなのですが、ヤクザ指数はMAXです。アル・パチーノという俳優のひとつの象徴になった、チビががに股で歩くという〝チンピラ歩き〟はこの作品から始まりました。
以後、『グッドフェローズ』(1990)のジョー・ペシをはじめとする多くの俳優がこの歩き方に憧れ、特に黒人のギャングスタラッパーに継承されていきます。
しかし、このトニー・モンタナという男。なぜかギャングという呼び方よりも、ドラッグ・ディーラーや麻薬密売人という呼び方よりも、〝ヤクザ〟と呼ぶほうがしっくりきます。
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『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタ。
ちなみにこのスーツは、『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)でジョン・トラボルタが着ていたディスコ・スーツに対するオマージュとも言えます(彼は作中、『セルピコ』のポスターを貼り、アル・パチーノへの崇拝を表明していました)。
トニー・モンタナのファッション7
モノトーン・ヤクザ・スタイル
- 白の3ピース・スーツ、ノッチラペル、シングル、ダブルベンツ
- 黒のポケットチーフ
- 黒のシャツ
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誰にも愛されなかった成り上がりヤクザの寓話。
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ジレのボタンをすべて外しているトニー。
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この格好で母親に会って、「カタギだ」と言っても、そりゃ説得力ないでしょ。
作品データ
作品名:スカーフェイス Scarface (1983)
監督:ブライアン・デ・パルマ
衣装:パトリシア・ノリス
出演者:アル・パチーノ/ミシェル・ファイファー/スティーヴン・バウアー/ポール・シェナー
- 【スカーフェイス】トニー・モンタナ帝国とアル・パチーノ
- 『スカーフェイス』Vol.1|アル・パチーノとアル・カポネ
- 『スカーフェイス』Vol.2|アル・パチーノとアロハシャツとチェーンソー
- 『スカーフェイス』Vol.3|トニー・モンタナと世界で最も薄い高級時計
- 『スカーフェイス』Vol.4|トニー・モンタナと『白と赤の美学』
- 『スカーフェイス』Vol.5|アル・パチーノ=トニー・モンタナ愛用香水
- 『スカーフェイス』Vol.6|アル・パチーノのトニー・モンタナ伝説
- 『スカーフェイス』Vol.7|ミシェル・ファイファーのショートボブ
- 『スカーフェイス』Vol.8|ミシェル・ファイファーのディスコ・ドレス
- 『スカーフェイス』Vol.9|ミシェル・ファイファーの元祖ウェイフルック