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『スカーフェイス』Vol.2|アル・パチーノとアロハシャツとチェーンソー

アル・パチーノ
アル・パチーノ女性目線の男磨き
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今でも衝撃的なチェーンソー・シーン

『スカーフェイス』が、黒人やヒスパニック、そして、アジア人などのマイノリティの男性に人気があるのは、このシーンによってでした。虐げられた男の剥き出しの暴力性が、ここまで見事に描かれた例は極めて稀です。

ただリアルに描くのではなく、映画としての様式美を決して失うことなく、そこには、アル・パチーノ(1940-)という役者を私達の脳裏から忘れ去らせ、トニー・モンタナを見ている気分にさせらせる明確なスイッチが存在するのでした。

この表情こそ、トニー・モンタナそのもの!一度広島弁吹き替えで観たい!

「次はお前の番だ!」と脅される伝説のチェンソー拷問殺人シーン。

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わざわざ、正面に回り込んで眉間を打ち抜くシーン

わざわざ正面に回りこんで、「さぁ、お前の番だ!」と返り討ちにする!

この瞬間!世界中のヤロウのハートは鷲掴みにされた。

本作は、マイマミのイメージをどん底にまで貶めたが、今ではトニー・モンタナのお土産グッズが、マイアミの不動の人気No.1となっています。

チェーンソーで仲間を目の前で生きたままバラバラにされ、「次はお前の番だ!」と脅されるも、何とか窮地を逃れるトニー・モンタナ。逃げようとするチェーンソー男を執拗に追いかけ、後ろから背中を撃たずに、わざわざ正面に回りこんで、「次はお前の番だぜ!」と捨て台詞を残し、眉間を打ち抜いたその瞬間、世界中のヤロウのハートは鷲掴みにされました。

そして、このシーンを最後にトニーはスーツスタイルに終始します。『スカーフェイス』とは、ファッションがその男のステイタスを明確に示す作品なのです。

もう彼は二度とアロハシャツを着ることはありません。トニーは、トニーの望んだ、金と女を暴力で勝ち取る人生を全速力で疾走していくのでした。

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トニー・モンタナ・ルック3

モード・アロハ
  • ヴィヴィッド・オレンジのアールデコ調の椰子の木とサーファーとタイガーが描かれた赤色のアロハシャツ
  • ベージュのトラウザー
  • 黒のショートブーツ

アル・パチーノが血塗れになっていても妙な説得力があります。

意外にモードなタイガー柄のアロハシャツ。

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消えた美少女



このシーンで、マニー(スティーヴン・バウアー)がポカをやらかす原因となったブルービキニの女性を演じたタミー・リン・レパート(1965-?)は、1983年3月のマイアミロケ撮影に参加しました。

しかし、4日目の彼女自身の撮影中に、血の飛び散るシーンを見て、ヒステリックに叫び声をあげ、降板になりました。そして、同年7月6日、当時18歳の彼女は、フロリダ州にて男友達とドライブに出かけて行方不明になります。

撮影に参加する前のパーティーで、麻薬組織関係の見てはいけない何かを見てしまい脅えていたという事実から、麻薬組織に暗殺された説と、当時、連続強姦殺人魔がフロリダ州に何人か存在したことから彼らのうちの一人の犠牲者になった説まで挙げられているのですが、今だに謎に包まれています。

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ラテン系の小男にはジレが似合う


最後までトニーを守る盟友チチ。スペイン語でおっぱいを意味する愛称を持つこの男のファッションはどれも気障で派手なスタイルです。特にこの初登場シーンのファッションは目をひきます。

オレンジ色のフェドーラと、赤茶色のスラックスとジレに、タツノオトシゴがプリントされた黒の半袖シャツというアンバランスなアンバランス。

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いかにもすぎるチンピラルック!

オーバーサイズのスーツスタイルで現れるトニー。

ピンストライプに、チンピラ度全開の襟元です。

一面総鏡張りのディスコ。デ・パルマはこの作品がなければ『フラッシュダンス』を監督する予定でした。

1980年代前半にコカイン中毒になり、ジャンキーとして、どん底の日々を送っていたオリバー・ストーン(1946-)が本作の脚本を担当しました。

暗黒街の顔役』(1932)の設定をキューバ難民に変え、さらにコロンビアに乗り込み徹底的に命がけの取材をしたオリバーは、自身のコカイン中毒を抜くために当時の奥さんとパリのアパートにこもりっきりで脚本を仕上げました。しかし、当初監督に決まっていたシドニー・ルメットは、その脚本のあまりの毒々しさに降板を決意しました。そして、ブライアン・デ・パルマがやって来たのでした。

さてオリバーは、まず小金を得たチンピラが何を買いたがるのかと考えました。その時に思い浮かんだのが、見栄え重視でサイジングは無視した派手なスーツの三つ揃えで決めると言うことでした。

この作品は、つまりはとことんまで無教養・悪趣味な男の成り上がる様を描いた作品でもあり、到底、後世に影響を与えるようなファッション・センスなど存在するはずもない作品でした。であるにもかかわらず、リミッターを振り切った男トニー・モンタナと妻エルヴィラは、タイムレスなファッション・アイコンになったのでした。

『スカーフェイス』のファッション史における、特異性は、決してモードではない成り上がりファッションの極みに対して、黒人、ヒスパニック、アジア人がアンチ・ファッションとして敏感に反応し、それがストリート・ファッションへと昇華し、拡大していったところにあるのです。

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トニー・モンタナ・ルック4

ディスコ・シャツ
  • ピンストライプのブルースーツ、ストロングショルダー、3ピース、ノッチドラペル、オーバーサイズ
  • 白地に70年代風の長い襟のディスコシャツ
  • 黒のヒールブーツ

ディスコ世代のチンピラルック。日本じゃ宇崎竜童か岩城滉一。

トニー・モンタナは、ただ己の野望にのみ忠実に行動し、成り上がっていくのでした。

すごいシャツの襟元のデザインです。

作品データ

作品名:スカーフェイス Scarface (1983)
監督:ブライアン・デ・パルマ
衣装:パトリシア・ノリス
出演者:アル・パチーノ/ミシェル・ファイファー/スティーヴン・バウアー/ポール・シェナー

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