ボクシューズ|プラムにプラムを重ねて作り上げられた、レザーフレグランスの傑作

セルジュ・ルタンス
セルジュ・ルタンス
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ボクシューズ

原名:Boxeuses
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

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見えないグローブをつけて闘う女の香り

©Serge Lutens

セルジュ・ルタンスより、パレ・ロワイヤル本店限定の「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとして2010年9月に発売された「ボクシューズ」は、フランス語で〝女性ボクサー〟の意味です。森林の奥深くから漂う甘いプラムとレザーの香りとして、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。

現在においては、RIZINやUFC、ONEなどにおいてグローブをつけて闘う女性は、クールな存在として見られているのですが、そんな風潮がほとんど存在していなかった2010年に〝見えないグローブをつけて闘う女の香り〟を生み出したルタンスは、やはりモノが違う人です。

シャネルの調香師でもあるシェルドレイクが「キュイール ドゥ ルシー」のアイリスをプラム(ラクトン)とヴァイオレット(イオノン)に置き換えた香りとも言えます。

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プラムにプラムを重ねて作り上げられた、レザーフレグランスの傑作

ブルース・ウェーバー Vogue, October 2009

今こそ戦う時だ!

そのイメージを掴むには、白樺の樹皮でなめされたロシアンレザーを思い浮かべてほしい。そこに、まるで青あざのような強いアニマリックな香りを加えてみよう。つまり、今こそ星が見える時だ!

セルジュ・ルタンス公式サイトより

そんな〝レザーの女性らしさ〟に対して、バッグやシューズといった洗練されたアイテムを連想させるのではなく、女性の素肌から匂い立つレザーの〝獣のしなやかさ〟を蘇らせていくこの香りは、スモーキーなラブダナムとアニマリックなカストリウムが、アンバーにより甘味を増したロシアンレザー(焦げたようなバーチタール)と絡み合うようにしてはじまります。

すぐにヴァイオレットが加わり女性のなめらかな素肌を連想させる香りを広がらせてゆきます。ここで女性の柔肌と獣のしなやかな皮がひとつになった瞬間を表現するために、イソブチルキノリンが、ロシアンレザーの動物的な柔らかさを引き上げる役割を果たしています。

すぐにジャムのように甘酸っぱいプラムとチェリー、スパイシーなリコリス(とシナモンとカルダモン)とミルキーなムスキーバニラとキャラメルが溶け込んでゆき、通常のレザーの香りのドライでスモーキーなニュアンスとは真逆の、ドライフルーツケーキのようなグルマンのニュアンスをレザーに与えてゆきます。

やがてアルコールに浸されたシダーウッドとスモーキーなベチバーにより独特なコクが加わり、クリーミーなサンダルウッドとパチョリがもともとのプラムを主体とするグルマンに見事に共鳴し合い、ロシアン・レザーの獣の分身のようなしなやかさを素肌に蘇えらせてゆくのです。かくして、予想外に、かなりモードでスタイリッシュでドラマティックな、妖しく濃厚なパープルカラーに煌めくレザーの香りの誕生と相成るのです。

恐らくこの香りは、ひとりのための香りではなく、ふたりがひとつになるためのカップル・フレグランスなのでしょう。デートをより楽しいものにし、愛の営みをより獣じみたものにする、さらに喧嘩している時に付けていると、レフェリー不在の中、血生臭い衝動を誘導してしまう事でしょう。

刺激的でありながら心地よい、今は手に入れることが難しい、プラムにプラムを重ねて作り上げられた、まぼろしのレザー・フレグランスの傑作です。

ちなみにロシアンレザーとは、トナカイ(もしくは牛)の原皮をベジタブルタンニン製法で5週間かけてなめし、白樺(バーチ)オイルにより3ヶ月かけて仕上げるという恐ろしく手間暇のかかる希少性の高いレザーです。18世紀の帝政ロシアにおいて生産されていたのですが、20世紀はじめに正確な製法が分からなくなってしまった「幻のレザー」です。

フェミニテ デュ ボワ」の系譜に連なる香りと言えます。

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香水データ

香水名:ボクシューズ
原名:Boxeuses
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:不明


シングルノート:ウッディ・ノート、レザー、リコリス、プラム、ヴァイオレット