グリ モンテーニュ
原名:Gris Montaigne
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:125ml/31,500円
ディオールの聖地=モンテーニュ通り30番地の香り
ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」といった3種類の香りが発売され、2009年に「アンブル ニュイ」が発売されました。そして、2010年に一挙7種類の香りが発売され、「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」が廃盤となり全9種類となりました。
その翌年の2011年に「パチョリ アンペリアル」が発売され、2012年には2種類の香りが発売されることになりました。そして2013年に発売されたのが「グリ モンテーニュ」です。ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。
一方で、「ミッツァ」が廃盤となりました。さらに、2017年には「グリ モンテーニュ」が、「グリ ディオール」へと名称変更されました。それは「グリ モンテーニュ」をユニセックス仕様にした少しソフトな香り立ちとなりました。
メゾンとしてのディオールは、クリスチャン・ディオール(1905-1957)によって、1946年12月16日にモンテーニュ通り30番地で創業されました。この建物を包み込むパールグレーは、やがてモンテーニュ・グレーと呼ばれるようになりました。そして、1947年2月12日にこの建物で「ニュールック」が発表されたのでした。
そんなディオールのアイコニックカラーのひとつであるグレーを香りの名に付けたこのシプレフローラルの香りは、輝かしいディオール・フレグランスの扉を開いた〝不滅のシプレ〟「ミス ディオール」への永遠の愛の誓いの香りです。
ムッシュ・ディオールが生きていた『ディオールの世界』へようこそ
〝色褪せないグレー〟の香りは、スプレーをひと吹きした瞬間から、あっという間に1946年12月16日から1957年10月24日にかけてのクリスチャン・ディオールが生きていた『ディオールの世界』へと運んでくれます。
マレーネ・ディートリッヒが愛したパリのエレガンスとシックを体現した〝不滅のルック〟を伝えるエスプリが全身に振りまかれてゆくのです。まずは、心のキャンバスを真っ白に清めてくれるようなベルガモット、グレープフルーツの爽快なスパークリングからはじまります。
すぐに清濁併せ持つ墨のようなパチョリと苔むすオークモスが、ひとつに混ぜられ、限りなく透明に近いグレーのモーニングシャワーを降らせるのです。そしてターキッシュローズとインド産ジャスミン・サンバックが朝露を滴らせながら花を咲かせてゆくのです。そこにほんのりとストロベリーの香りが添えられてゆきます。とても謎めいた空気に満たされてゆきます。
やがて、クリーミーなサンダルウッドとドライなシダーが、限りなく透明に近いグレー=モンテーニュ・グレーにパールのような質感と輝きを与え、素肌の上に引き伸ばされてゆくのです。最後に、その素肌の上に、砂時計シルエットのクチュードドレスを着た女神が誕生するように、凛としたシプレローズが開花してゆくのです。
うっとりさせるほど美しいピンクローズ(若々しい)がそこにおられます。それは、カラフルな色彩を放つ映像を、モノクロの世界に変えていた頃の、クラシカルなフレンチムービーのような〝幻影のような色褪せないグレー〟が放つ、シックなオーラが満ち広がってゆくのです。
実に興味深いのは、この香りのローズは、大地よりも天空をイメージさせるところにあります。21世紀の新しいローズ、それは高層ビル(商業施設も含む)に咲くローズ(笑顔と涙の中で生き生きと咲き誇る女性)たちの香りともいえます。土っぽさよりも、洗練された空気を連想させる〝生きているバラ〟の香りなのです。
香水データ
香水名:グリ モンテーニュ
原名:Gris Montaigne
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:125ml/31,500円
トップノート:ベルガモット、グレープフルーツ
ミドルノート:ダマスカスローズ、インド産ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、ストロベリー、イランイラン
ラストノート:インドネシア産パチョリ、アンバー、シダー、サンダルウッド、マケドニア産オークモス、ホワイトムスク