No.1 ジャスミン サンバック
原名:No.1 Jasmine Sambac
種類:オード・パルファム
ブランド:Crazy Jasmine(伊藤園)
調香師:非公表
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:8ml/6,820円
公式ホームページ:Crazy Jasmine

ジャスミンに夢中な『伊藤園』の人が作った香りのブランド

©2025, Crazy Jasmine
世界中にジャスミンをメインにしたフレグランスは数多くあれど、実際に、咲きたてのジャスミンの香りを素肌の上で再現してくれるフレグランスはほとんどありません。そんな〝枯れることのない、咲きたてのジャスミン〟を生み出したいという思いを胸に秘め誕生した香りのブランドが『Crazy Jasmine』です。
17年間、伊藤園でマーケティング部門のデザイナーとして、「Relax ジャスミンティー」のために、女性の手にもフィットする〝ゆらぎボトル〟などを手掛けてきた女性がたった一人で、伊藤園がはじめて試みる社内ベンチャー制度に応募し、その狭き門を突破し、社内の期待を一身に受けスタートしたプロジェクト、それが『Crazy Jasmine』です。
彼女は伊藤園初の〝香りのブランド〟を立ち上げるにあたり、「Relax ジャスミンティー」と同じテーマを〝飲む〟から〝香りの中に身を置く〟に広げてゆきたいと考えていました。
かくして2024年春に、ルームフレグランスとロールオンフレグランスから『Crazy Jasmine』はスタートしたのですが、最初はとても苦戦していました。
しかし2025年3月に三種のオード・パルファムのフレグランスを発表し、その香りが〝咲きたてのジャスミン〟そのものでありながら〝フレグランスとして見事に成立している〟という、ジャスミン畑がそのまま素肌へと続いているようなバランスの良さにより、SNSを中心に話題を呼び、全国のポップアップで大変反響を得ています。
ちなみに香師さんは、製造販売元であり、調香は担当していないとのことです。そんな『Crazy Jasmine』が誕生した背景について、すこしおさらいしてゆきましょう。
「ジャスミンティー」の〝ゆらぎボトル〟を考えた人

初代〝ゆらぎボトル〟500ml ©伊藤園
伊藤園(1966年創業)は、「お~いお茶」で有名な茶製品および清涼飲料水メーカーです。「お~いお茶」は、1990年に発売された世界初のペットボトル入り緑茶であり、2024年12月末時点で累計販売本数が450億本を突破した世界No. 1の無糖緑茶飲料ブランドです。
その伊藤園からジャスミンティーが発売されたのは、1985年のことでした。2013年4月にはジャスミンの花の香りをより豊かにし、リラックス要素を高めた製品として「Relax ジャスミンティー」の名に刷新され、今に至ります。
『Crazy Jasmine』を立ち上げた女性の方は、この〝ゆらぎボトル〟のデザインだけでなく、ラベルのジャスミンの花のデザインも担当しておられ、そのデザインのインスピレーションを得るために自宅で実際に育てた10種類のジャスミンに対する〝深い愛〟が昂じて、〝素肌で飲むジャスミン〟を誕生させたいと考えたのでした。
現在(2025年10月)は、二人目の女性の仲間が加わり、まさに梁山泊のように仲間が集う、熱いムーブメントが生み出されつつあります。またそれは次回の記事でお伝えさせて頂きます。
ジャスミンサンバックの香りについて

©2025, Crazy Jasmine
伊藤園公式ホームページより
ここで香水の世界におけるジャスミンについておさらいしてゆきましょう。それはジャスミンの花についてインドの詩人が「地上の月光」と呼んだように、「素肌を照らす月光」のような役割を果たす、人間の体臭とよく合う、実にミステリアスな香りを生み出してくれる存在です。
まるで素肌にとろけて匂い立つ甘いフローラルの香りでありながら、その奥から閃光のようなアニマリックな匂いと、酔わせるようなリッチな果実の成熟した温かい薫りが同時に感じ取ることが出来る、捉えどころのない、夢中にさせる〝魔性〟があります。
白い花の精油の中では間違いなく〝女王〟の風格があり、花の精油で張り合えるのは他にはローズだけです。そんなジャスミンの〝魔性〟の秘密は、有機化合物インドールを含んでいるところにあります。
ジャスミンの品種が200種以上ある中で、香水のために使用される品種は2種のみです(ジャスミンの近縁種には、オリーブ、ライラック、オスマンサスなどがある)。ジャスミングランディフローラム(ロイヤルジャスミン)とジャスミンサンバック(アラビアンジャスミン)です。
ちなみに花の収穫は、太陽の熱により香気成分が損なわれないように、夜明けに、ひとつひとつを手摘みで摘んでいかなければなりません。そして、数時間以内に精油を抽出しないと、花がしおれて香りを失ってしまいます。主に溶媒抽出、アンフルラージュ、二酸化炭素抽出によって精油を製造してゆきます。
サンバック(Sambac)とは、サンスクリット語で〝酔わせる香り〟を意味するcampakaに由来します。かつて70年代まではエジプトでも生産されていましたが、今ではほぼインドと中国で生産されています。
中国ではマツリカ(茉莉花)と書くジャスミンサンバックは、アラビアンジャスミン、ミッドナイトジャスミンとも呼ばれ、中国でジャスミンティーとして使用されています。
ストロベリー、アプリコット、アップル、ラズベリー、そしてほのかにブラックカラントのニュアンスも感じられるフレッシュでクリーミーなフルーティ・フローラルな香りが特徴のジャスミングランディフローラムに比べ、ジャスミンサンバックは、インドールが多く含まれるだけでなく、青葉アルコールによりオレンジブロッサムに近い、グリーンとアニマリックが繊細なバランスで、フレッシュで官能的な香りを広がらせるのが特徴です。
全体的な香り立ちは、スズランの爽やかさと青み、オレンジブロッサムのすっきりした甘さ、そしてチューベローズの艶やかな甘さが、フローラルブーケとしてひとまとめになり、ラズベリージャムやストロベリージャムのような陶酔感を与えてくれます。
ちなみに中国産のジャスミンサンバックは、インド産のように、インドールが多く含まれておらず、ジャスミン グランディフローラムよりもインドール臭が感じられません。
ゲランの「サムサラ」「ランスタン ド ゲラン」やトム・フォードの「ジャスミン ルージュ」、エルメスの「シダー サンバック」「ヴァンキャトル フォーブル」、ディオールの「ヒプノティック プワゾン」「ジャドール」、キリアンの「インペリアル ティー」、グッチの「グッチ ブルーム」にジャスミンサンバックの魅力が強く感じられます。
まるで咲きたてのような真っ白な清々しい香り

©2025, Crazy Jasmine
No.1からNo.5のナンバリングがされている「Crazy Jasmine」の中に、No.4が存在しないのは〝4〟という数字が与える印象を鑑みてのことです。
さて記念すべきNo.1の香りである「ジャスミン サンバック」は、一重咲き(花びらが重なり合っていない)のジャスミンサンバックの香りです。
一日花であるジャスミンサンバック。一日しか生きることの出来ないその花の咲きたての香りをそのまま忠実に再現することにより、〝素肌と心とひとつになる、誇らし気に光り輝いているジャスミンサンバック〟に満たされてゆきます。
まずはじめに、このスプレーを使用した瞬間、多くの人は、まず香りの前に、スプレーの反応の良さにびっくりさせられることでしょう。ここまで見事に三角形にジュースが広がるミニスプレーボトルはなかなかありません。
フレッシュグリーンな閃光と共に、素肌に咲きたてのジャスミンサンバックが広がる感覚に心とからだが解放されていくようです。それはまるで肌の上を流れるの水のようにフレッシュグリーンなジャスミンサンバックの花のきらめきに包まれてゆきます。
恐らく中国産ではなくインド産のジャスミンサンバックが使用されているのでしょう。強いインドールが低濃度に希釈されたような、ほとんどインドール臭を感じさせない、陶酔させるような温かなジャスミンサンバックの香りが、しずやかに広がってゆきます。
真に美しいジャスミンサンバックの精油が、肌との相性が抜群であるように、着用者の体臭と見事に混ざり合い、すぐに消えずに、寄り添うように、咲きたてのジャスミンサンバックの香りを思ったよりも長く残してくれます。
ムスク系の香料が一切使用されていないにも関わらず、ここまで美しくも儚いジャスミンサンバックの残り香が生まれるということはどういうことなのでしょうか?心に花を飾るように、あなたを一層美しく輝かせてくれる香りです。
ティファニーのハンドクリーム並みに売れているハンドクリーム

©2025, Crazy Jasmine
全国のポップアップで爆発的に売れているのが「No.1 ジャスミン サンバック」の香りのハンド&ネイルクリーム(50g/2,750円)です。
香水データ
香水名:No.1 ジャスミン サンバック
原名:No.1 Jasmine Sambac
種類:オード・パルファム
ブランド:Crazy Jasmine(伊藤園)
調香師:非公表
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:8ml/6,820円
公式ホームページ:Crazy Jasmine

シングルノート:ジャスミン・サンバック
