作品データ
作品名:薔薇のスタビスキー Stavisky… (1974)
監督:アラン・レネ
衣装:イヴ・サンローラン
出演者:ジャン=ポール・ベルモンド/アニー・デュプレー/シャルル・ボワイエ
70年代サンローランのミューズ=アニー・デュプレー
イヴ・サンローラン(1936-2008)が映画の為にコスチューム・デザインした作品は多くない。最も有名なものは、カトリーヌ・ドヌーヴの『昼顔』(1967)と『暗くなるまでこの恋を』(1969)である。そして、意外なところでは『ピンクの豹』(1963)だろう。そんなサンローランの参加した映画の中でも、それらの作品に匹敵するほどにサンローランが輝いていたといえるのが本作のアニ・デュプレーのためにデザインしたコスチュームの数々だろう。
元々ファッション・モデルとして活躍していたアニーの、174㎝のスレンダーボディが奏でるその所作の優雅さ。そして、1976年に処女作を発表して以来、小説家として活躍する一面もある、その文化的教養の高そうなルックス。この作品の数々のサンローラン・ファッションは、圧倒的なオーラに包まれています。そして、それはアニーが見事に着こなしていたからこそ生まれたオーラだったのです。
アニー・デュプレーは、1947年6月28日ににフランス・ルーアン(1431年にジャンヌ・ダルクが火刑された町)で生まれました。僅か8歳の時に彼女は不幸に見舞われます。なんと両親二人が、ガス給湯器の欠陥によって、バスルームの一酸化炭素中毒で窒息死したのでした。不幸にめげず聡明な娘として育ち、10代でパリに出て、ファッション・モデルをしながら、フランス国立高等演劇学校で演技を学び、17歳で舞台デビューします。
そして、1966年にジャン=リュック・ゴダール監督の『彼女につい私が知っている二、三の事柄』で映画デビューしました。
サンローラン・エレガンスを体現したオール・ホワイト・ルック
アルレット・スタイル1 アイコニック・ドレス
- 白のホースヘアーのキャプリーヌ
- 白のデイドレス
- 白のミンクのストール
- 白のロンググローブにパールアクセ
- 白のアンクルストラップ・セパレート・パンプス
- パールのネックレス
- ダイヤモンド・イヤリング
本作は、『ペーパー・ムーン』(1973)『スティング』(1973)『華麗なるギャツビー』(1974)で一気に沸点に達した1920年代~30年代のノスタルジー・ブームを反映して作られた作品(1973年秋に撮影)です。映画史においては、ほとんど印象に残らない作品ですが、ファッション史においては、かなり重要な位置を占める作品です。
その理由は、1973年のイヴ・サンローランが、1930年代のノスタルジー・ファッションを再現したからです。それもただ単純に再現するのではなく、そこにサンローラン特有のシャープなシルエットを反映させ、見事なまでにモード化された1930年代のフランス・ファッションを創造したのでした。
ゴルフウェアもサンローランにかかれば・・・
アルレット・スタイル2 ゴルフ・ルック
- 白のベレー帽
- 白のカーディガン
- 白のポロシャツ、オープン・カラー。リブ編み、袖と裾に黒ライン
- 白のウールスカート
- 白のレザーベルト
- 幾何学模様の黒スカーフ
- 左手のみ白グローブ
- 白×黒のバイカラー・ゴルフシューズ