エルメス

ツイリー ・ドゥ・エルメス (クリスティーヌ・ナジェル)

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香水名:ツイリー ・ドゥ・エルメス Twilly d’Hermes オード・パルファム
ブランド:エルメス
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2017年8月29日
対象性別:女性
価格:30ml/9,612円、50ml/14,148円、85ml/19,872円
公式ホームページ:エルメス

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トップノート:ジンジャー、ベルガモット、ビター・オレンジ
ミドルノート:チュベローズ、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム
ラストノート:サンダルウッド、バニラ

私がパリの通りを歩いていると、若い女性たちが私の世代が愛用しているものを、彼女たちのひねりやひらめきといった創造性を加えて、全く違ったコーデによって愛用していることを目の当たりにしました。それはグレース・ケリーが頭に巻いていたシルク・カレ(エルメスのシルク・スカーフ)を、エイミー・ワインハウスのようにビスチェのように巻いたり、ベルトにしたり、髪にツイリーを結んだり、バッグのハンドルに巻いたり・・・

「ツイリー・ドゥ・エルメス」は、そんな自由な精神で作られた香りです。私にも、古典的な香りの成分にひねりやひらめきを加えることが出来るはずだと考えました。そしてジンジャー、チュベローズ、サンダルウッドの3つの天然香料で、今までと全く違った香りを創り上げました。

クリスティーヌ・ナジェル

エルメスの専属調香師クリスティーヌ・ナジェルが、自由に結んで楽しむエルメスのアイコニック・シルク・スカーフ〝ツイリー〟からインスパイアされたフローラル・オリエンタルの香りです。

ジンジャーはとても特別な成分なのです。なぜなら、それは通常、香水にフレッシュ感を与えるために、ごく少量しか使用されません。そして、もしジンジャーを使いすぎると、とても石鹸の香りが強く出てしまいます。それは絶対良くないことです。

しかし、私は、あることに気づきました。通常、使用されているジンジャーは乾燥した根から抽出されているということです。だから、私は新鮮な根から抽出してみました。新鮮なものからは、乾燥したものよりも、かなり少ない量のエッセンスしか抽出できません。しかし、その香りは、きらめくような瑞々しいスパイシーさに満ち溢れていたのです。

そして、フローラルノートとして、私は華やかな香料を求めました。甘く官能的な香りを求められるチュベローズから、私は明るさのみを求めました。それは、若い女性の大人っぽさと子供っぽさの二面性を反映したようなものです。

そして、最後に、サンダルウッドを使用しました。これこそが、エルメスのエレガンスにぴったり合致する香料なのです。この香水に使用されているサンダルウッドは、オーストラリアからの特別なものを使用しています。

クリスティーヌ・ナジェル

ジンジャーとチュベローズとサンダルウッドの調合からも分かるように従来の調合ルールを逸脱した香りです。自由で、大胆で、予測不可能な若い女性の精神を反映された20代の女性をターゲットにした香りです。実際の香りとしては若さが弾けるような香り立ちと同時に、絶妙な渋みが現れます。女性よりも男性に合いそうな香りです。それもシルクを肌につけることが出来るレベルの男性にのみ似合う香りとも言えます(サンローランのシルクブラウスなど)。

並の若い女性のファッション=ファストファッションで使用したならば、明らかに香りが一人歩きしてしまうでしょう。これは良い香料の特徴なのですが、ゆったりとした寄せては返す波のように香り立つ「高級感」の到来を知らせる香りです。特にジンジャーの香りが素晴らしく、体の芯から温かくなるような情熱を掻き立てます。

間違っても、はじめてのフレグランスのチョイスとしてこの香りを購入すべきではないでしょう。若さとは複雑さではなく、シンプルな所にその魅力はございます。そういう意味においては、ジョー・マローンの香りは、マッチしても、こちらは、はじめての香りとしては、少し上質すぎます。

そもそもが〝エルメスから自由を謳歌する若き女性たちに贈る新フレグランス〟という打ち出し方が、若い女性からは総スカンを食らうことでしょう。エルメスが考えるほどに、いまどきの若き女性たちは自由など謳歌していないのです。一言言わせていただくならば、客層を広範囲に広げたいということが分かりやすいマーケティング戦略ほど、ブランドイメージを低下させ、浅ましいと思わせるものはありません。

そういう意味においては、この香りは本当にいい香りなのですが、クリスティーヌ・ナジェルの素晴らしいクリエイションは、エルメスのマーケティング戦略の中で、すっかり陳腐なものになってしまっています。ジャン=クロード・エレナのあの〝これが私のスタイルなのです〟的なスタンスこそ、エルメスには相応しいのではないでしょうか?

それにしても、黒の山高帽と、シルクリボンのボトルデザインは本当に可愛らしいです。恐らくこの香水は、チャールズ・チャップリンが『街の灯』(1931)や『モダンタイムス』(1936)の中で、山高帽にチョビ髭の放浪者を演じた、大恐慌の時代にあっても、たくましく生きた主人公のように、貧しいながらも、希望を持って、頑張って生きている不景気の現代の若き女性たちへの、〝最初のエルメス〟という意味でよいと思います。

〝貧しき若き女子たちへ捧げる、元気を与えるエルメスからの贈り物〟と言い換えたならば、この香りはまさにそういう香りなのです。

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