ザ ワン
原名:The One
種類:オード・パルファム
ブランド:ドルチェ&ガッバーナ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/14,740円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
〝かわいい悪女な気分〟の時に使いたい「悪が華やぐ」香り
ドルチェ&ガッバーナから2006年に発売された「ザ ワン」は、意中の男性とひとつになるための香りです。「この香りを身に纏ったならば、かならず男は振り返る。たとえ、その男が恋人と一緒に歩いていようとも・・・」そんなコンセプトで作られた男性の浮気心を擽る香りなのです。
それは、イイオンナに格上げするといった肩肘の張ったものではなく、その時の気まぐれな気分で、自分自身のオンナの悪の要素を振りまき、男を振り向かせて、楽しみたい…そんな〝かわいい悪女な気分〟の時に使いたい、「悪が華やぐ」香りです。
オリエンタルフローラルフルーティの香りは、クリスティーヌ・ナジェルにより調香されました。
ただひとつの完璧なもの=〝愛〟を求める女性の香り
60年代のイタリアの甘いカンツォーネの歌声が流れる優雅な世界に、一吹きであなたを誘ってくれます。
ミーナの「しあわせがいっぱい (Il cielo in una stanza)」イーヴァ・ザニッキの「愛の別れ(Non pensare a me)」オルネラ・ヴァノーニの「逢いびき(L’Appuntamento)」が、紺碧の空と海をバックに、地中海のきらめきを濃縮したようなベルガモットとマンダリンと共に流れ出すのです。まるで太陽が香りを放っているようです。
すぐにあでやかに露もしたたるライチとピーチが注ぎ込まれ、ピーチのシャンパンが裸体に黄金の輝きを与えていくように豊満さを増してゆきます。そして光りつつ舞い立つようにパウダリーなムスクとアンバーが注ぎ込まれ、マドンナリリーとジャスミンで作り上げたレースのホワイトガウンを第二の肌のように重ね合わせていくのです。
美しいフレッシュグリーンな鈴の音がスズランによって、小さな胸のときめきを高めてくれます。
やがて、バニラが甘く引き伸ばされていく中、スモーキーなベチバーとジューシーなプラムによりすべてが円やかに溶け合い、艶やかに華やかな官能性に包まれていくのです。
身にまとうたびに、とても良い意味で、世界でいちばん女性の肌を天国に近づけてくれる香りです。美しき女性が、その美しさを、ただひとつの完璧なもの=〝愛〟を求める女性の香りなのです。
21世紀のリタ・ヘイワース
キャンペーン・モデルとして登場する、初代ジゼル・ブンチェン、二代目スカーレット・ヨハンソンの二人のヴィジュアル・イメージが物語るのは、21世紀のリタ・ヘイワース。
特にジゼルのキャンペーン・フィルムは素晴らしく、最後には、ドルチェ&ガッバーナのサングラスを装着し、ランウェイを歩くその姿は、魅惑の瞳を隠しても尚、隠し切れぬ「悪の華」の圧倒的な存在感を醸し出せる超絶美女の姿。
それはまさにその威風堂々としたボトル・デザインと、金色に輝く香水そのものです。モニカ・ベルッチやソフィア・ローレンのようなオンナを楽しむオンナにこそ相応しい香りです。
そしてもう一つ、ミーナの「しあわせがいっぱい ( Il cielo in una stanza)」の曲が流れる中、スカーレット・ヨハンソンとマシュー・マコノヒーが登場するマーティン・スコセッシによるキャンペーン・ムービーも秀逸です(2008年から「ザ ワン フォーメン」の顔だったマシューとスカーレットはこの時はじめて一緒に登場することになります)。
ちなみにこの曲は、スコセッシの傑作『グッドフェローズ』(1990)の中でも、効果的に使用されていました(主人公のマフィアのダチ達がカッコ良く紹介されるシーンで)。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「現在ドルチェ&ガッバーナの中で、おそらく唯一身につけるに耐えられるフレグランス。新鮮なスズランノートをミドルノートに用い、ナルシソ・ロドリゲスの「フォーハー」をスケールダウンしたような、たいへん軽いタッチのモダンなフローラルオリエンタル。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
ローンチ当時、「ザ ワン」を扱っていたスペシャリスト様の声。
最後にこの香りがブルーベルからローンチされた時、ブルーベルで実際にその現場に立ち会われた、カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様による、「ザ ワン」に対する貴重な回想と解説をご紹介させて頂きます。以下彼女のお言葉です。
「ザ ワン」は、ローンチから関わっていた香りなのでとても思い出深いです。「ロー ザワン」「ローズ ザ ワン」までが特に印象的でした。
私の「ザ ワン」のイメージはまず一言で〝DIVA!〟歌姫の存在感そのものです。線が細い美しさではなく、ゴージャスでグラマラス!そして柔らかな印象のセンシュアルではなく、華やかオーラ全開のセクシーで大胆なイメージです。
当時ビヨンセが流行っていたので、華やかさやゴージャスでキラキラと素肌が輝くような女性性を描いた香りだと感じました。
個人的な印象としては、その頃日本ではグルマンがあまり主流ではなかったので私達スタッフからすると〝こんな甘い香り、日本人女性がつけるの?〟という難しい位置にあった香りでした。正直一作目と二作目はあまり注目される香りではありませんでした。
しかし、三作目の「ローズ ザ ワン」。これが「クロエ オードパルファム」旋風がまだまだ吹き荒れる中、「私はこちらの方が好き!」と選ばれる方が結構いらっしゃったのでした。
華やかでゴージャス!大胆でセクシーな一作目から、二作目は〝水〟エッセンスを加えた「ロー ザワン」、そして三作目はどのようなものになるのかと思っていたら、バラを主役に用いて優しさを手にした印象でした。
「ザ ワン」の〝オーラを放つ強い女性〟から、内面的から滲み出る優しい美しさや穏やかな中にも存在感がある女性を感じさせる香りが「ローズ ザ ワン」でした。
さて、最後に、実は「ザ ワン」シリーズは私の個人的な感覚ではウィメンズよりも「ザ ワン フォーメン」という香りこそキーになっている気がしていました。それは「ブルガリ マン」にもよく似た感覚でした。
所謂、香水を選ぶとき、個性や男性らしさよりも、清潔感や好感度などの〝安心感〟を優先してきた日本人男性が、「ブルガリ マン」やこの「ザ ワン フォーメン」で単なる柑橘系やマリンノートから抜け出していった気がします。
つまり「男性らしさ」が日本人男性にも受け入れられるようになった香りの奔りなのかもしれません(ただし、当時、日本人男性は女性程吟味して選べる環境がなかったのも事実です。購入できる場所が百貨店のコスメフロアか、もしくは並行輸入店かのほぼ2択でしたから…)
香水データ
香水名:ザ ワン
原名:The One
種類:オード・パルファム
ブランド:ドルチェ&ガッバーナ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/14,740円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
トップノート:ライチ、マンダリン・オレンジ、ピーチ、ベルガモット
ミドルノート:マドンナリリー、プラム、ジャスミン、スズラン
ラストノート:アンバー、ムスク、バニラ、ベチバー