そして、玉梓は、永遠の美のシンボルとなった・・・
本作は、「魔界転生」(1981)の時のように衣裳アドバイザーとして辻村ジュサブローに師事を仰いだわけではありません。しかし、衣装を担当した東映京都の衣装部長だった森護は、「魔界転生」とジュサブローの人形劇「新八犬伝」(1973-75)を参考にして、和服の持つ魑魅魍魎性を追求した着物を作り上げました。
玉梓ルック2
若返った母親スタイル
- 炎の形をした黄金の王冠、左右にはビラかんざしのような飾り、英語風に言えばかなり豪奢なヘッドドレス
- 黄金の襟巻きのついたピンクの打掛、お引きずり、裏地は真紅
- 水色の着流しスタイル
- 脇差と扇子
- 金と黒の帯
- シルバーのヒールパンプス
玉梓ルック3
バトル・キモノ
- 炎の形をした黄金の王冠、左右にはビラかんざしのような飾り、英語風に言えばかなり豪奢なヘッドドレス
- 白の襟巻きのついたブラック&シルバーの打掛、お引きずり
- 赤色の着流しスタイル
- 脇差と扇子
- 茶金の帯
- シルバーのヒールパンプス
京本政樹と志穂美悦子
ラストバトルにおいて、『レイダース』や『スター・ウォーズ』の要素を入れたスケールの大きな戦いが繰り広げられるのですが、ここらへんの演出は、『戦国自衛隊』(1979)でアクション監督をつとめたサニー千葉には、遥かにかなわない単調な流れに終始しています。あれほどのぶっとんだ演出と、死んでいく仲間達のカタルシスは、ここでは生み出せていません。
薬師丸ひろ子の白と真田広之の黒。
最後のシーンは、後日譚なしで、玉梓との壮絶なバトルを繰り広げてほしかったと思うほどに、真田広之の黒忍者服も薬師丸ひろ子の白い姫様ルックも似合っていました。
かくして、締まりのないエンディング=阿蘇国立公園で結ばれるお姫様と忍者というご都合主義極まりないエンディングを観て、思う気持ちはただひとつ「もう一回玉梓よ蘇えれ!」でした。
作品データ
作品名:里見八犬伝 (1983)
監督:深作欣二
衣装:森護/豊中健/山崎武
出演者:薬師丸ひろ子/真田広之/夏木マリ/志穂美悦子/岡田奈々/京本政樹/千葉真一