幻のトレンチコート
ジェームズ・ボンド・スタイル2 チョークストライプ・スーツ
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- ネイビー・フランネル・チョークストライプ3ピーススーツ、2つボタン、シングル、ダブルベンツ
- ネイビー地に白とグレーのレップタイ
- フランク・フォスターのライトブルー・コットンシャツ
- ベージュのトレンチコート、セットインスリーブ
ダグラス・ヘイワードによるボンドスーツは、現代の視点から見ると、ジャケットは長めであり、80年代を象徴する低いボタン位置でした。
それにしても、本編においては着用することのなかったトレンチコートが気になります。10ボタンではなく8ボタンが特徴であり、裏地もバーバリーやアクアスキュータムとは違うものでした。
ルパン三世 カリオストロの城から影響を受けたカーチェイス?
ジェームズ・ボンド・スタイル3 スエード・ブルゾン
- オリーブグリーンのスエード・ブルゾン、セットインスリーブ、フロントジップ
- フランク・フォスターのコットンの半袖ジャージシャツ、ボタンはマザー・オブ・パール、左胸にポケット
- 茶色のレザーベルト
- ライトブラウン・リネントラウザー
- サルヴァトーレ・フェラガモの茶色のホースビットローファー
当時スーパーカー・ブームが沈静していたのと呼応するように、せっかく素晴らしいシルエットを見せてくれているロータス・エスプリターボは何の活躍もなく盗難防止装置により自爆してしまいます。
そして、メリナが乗ってきたシトロエンの2CVでカーチェイスが繰り広げられるのだが、『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)のカーチェイス・シーンと良く似ています(クラリスはこの車を運転し、ルパン達は、フィアット・500を運転しています)。本作が撮影されていた1980年において、『ルパン三世 カリオストロの城』は、ヨーロッパで公開されたことはないので、このシークエンスの類似点は偶然の一致としか言いようがないでしょう。
逆に言うと、『ミニミニ大作戦』(1969)のカースタントをコーディネートしたレミー・ジュリアンが、このカースタントを担当したということと、『ルパン三世 カリオストロの城』のカーチェイスシーンは、明らかに『ミニミニ大作戦』の影響下にあることから、真実はどういうことか明らかになるのではないでしょうか?
それにしても、ロジャー・ムーアのジェームズ・ボンドには、カーチェイス中の会釈のお約束が本当に様になります。
ボンドムービーのカーチェイスと他のアクションムービーのカーチェイスの違いを一言で述べよと言われたならば、「会釈」ありかなしかなのです。そして、これがあるからこそ、ジェームズ・ボンドは永遠の男たちの憧れなのです。