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【アエデス デ ヴェヌスタス】パリサンドルゥ ドール(アルベルト・モリヤス)

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©Aedes de Venustas
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パリサンドルゥ ドール

原名:Palissandre d’Or
種類:オード・パルファム
ブランド:アエデス・デ・ヴェヌスタス
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/29,700円

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「嗅覚の寄せ木細工」=〝架空の木の香り〟

©Aedes de Venustas

1995年に創設されたアエデス・デ・ヴェヌスタスとは、ニューヨークにあるニッチ・フレグランスのラグジュアリー・セレクトショップです。

セレクトショップでありながら、有名調香師に依頼し、オリジナル作品をすでに四作品発表していました(ベルトラン・ドゥシュフール、ロドリゴ・フローレス=ルー、ラルフ・シュワイガーが調香を担当した)。

そして、2015年に発表した第五弾が「パリサンドルゥ ドール」でした。「嗅覚の寄せ木細工」=〝架空の木の香り〟を生み出すべくアルベルト・モリヤスに調香を依頼した渾身の作品でした。

「パリサンドルゥ ドール」とは、フランス語で「黄金のパリサンダー(紫壇)」の意味です。パリサンダーとは、別名インディアンローズウッドで、木の香りではなく、薔薇のような香りがするのが特徴です。特定のエッセンスではなくこの言葉から連想する、東南アジアの繊細な彫刻や静かな木立をイメージした香りです。

この香りのアクセントとして3種類のシダーがブレンドされています。

  1. 清涼感のあるヴァージニアシダー
  2. ラプサン・スーチョンのようなチャイニーズシダー
  3. ロシアンレザーのようにスモーキーなアラスカシダー

このシダーのスペシャル・ブレンドにミルキーなスリランカ産サンダルウッドが加わり、今までどこにも存在しなかった〝架空の木の香り〟が生み出されているのです。

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森に言葉を語らせるためにモリヤスが考えたこと

パリサンダー(紫壇)

私が最も苦手な調香は、とても華やかな香りを作ることです。なぜなら私にとって香水はメロディなのです。

この香りはシルクのように磨き込まれた木を通して見える乳白色の光。儚いようでいて、〝流動性、透明性、力強さ〟の三つの言葉で表せる存在感のある香りです。

アルベルト・モリヤス

通常はラストノート(ベースノート)に使用される、透き通るように煌くアンブレットの植物性ムスクからこの香りははじまります。それはローズと洋ナシとアイリスの側面を併せ持つ魅惑のムスクです。

その背景に静かに展開してゆく3種類のシダーウッドがこの香りの最初から最後まで漂う爽快感溢れるスモーキーレザーの荘厳な美しさを演出してゆきます。

そこにシナモンを中心にフルーティーなピンクペッパー、コリアンダー、ナツメグといったスパイスが加わり、馥郁なスモーキーローズの芳香が生み出されてゆきます。そこにはどこかライトボディのワインのような円やかさがあります。

すべてが騒がしくなく静かに進行していくのがこの香りの特徴です。あらゆる香料の目的がスモーキーなローズに夢幻のような儚さを与えていくかのように、温かくクリーミーなサンダルウッドとミルキーなコパイバーム、シルキーなパチョリがそこはかとない存在感を示してゆきます。

そして、いよいよ最後に、最初から脇役に徹していたアンブロキシドが最後の魔法の粉を振りかけるのです。太陽に照らされた雪に覆われた苔の生えた石のようなミネラルと、温かくも湿り気もある樹木の甘い息吹を肌の上に感じさせるように、太陽に照らされた石と樹皮と肌が一体化していくのです。

ムエットに乗せると濃厚でスパイシーかつスモーキー&アーシィーローズなのですが、肌に乗せると一転して軽くふんわりと広がる〝魔法のスモーキーローズ〟の香りとも言えます。それはまるで古代の大聖堂で焚かれているエリクサーのようでもあります。

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香水データ

香水名:パリサンドルゥ ドール
原名:Palissandre d’Or
種類:オード・パルファム
ブランド:アエデス・デ・ヴェヌスタス
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/29,700円


トップノート:アンブレット
ミドルノート:ピンクペッパー、コリアンダー、ナツメグ、シナモン
ラストノート:サンダルウッド、コパイバーム、シダー、パチョリ、アンブロキシド